偏愛メズマライズの頃「見えた」もの
偏愛メズマライズ
https://kakuyomu.jp/works/16816452220092316197
草食アングラ森小説賞
https://kakuyomu.jp/user_events/16816452220005811476
書いた結果、結果「お題的にはまあ覚悟はつくけど、なんというかこれ、大丈夫か……宣伝して…………」とかよく言っていた気が。講評も出たので振り返り。
<お題の調理>
ここ最近参加したものの中で、屈指のシンプルイズザベストなお題な気がしている。
・テーマは「アンダーグラウンド」
下に金、暴力、アンダーグラウンドとあるが、多分金と暴力なくてもいけてしまう。アングラ……アングラ、そうだなあ。ぱっと思いつくのは
・肉体改造
・薬品
・特殊嗜好
・闇金
あとざっくり「不穏」がイメージにある。ただここまで「アングラの構成要素」な気がする。まだこれだと柱がない。
では、「アングラとは何ぞや」と問われたならば。これには「許容する空間」という答えになった。アングラという場が設定されていないと破綻する要素……暴力や違法行為は普通に出すと話が進むイベントというか、内容的に破壊装置になりがちになる。話の根幹に据えるならば、「それが当たり前」という前提を作る必要がある……ならば成立する空間ができたその場がアングラになるのではないか?なのでアングラと言い張るには空気でなんとかするものだなと理解した。
お題の使い方だが……なにぶん一時創作小説には出戻り状態なので、自分の作風も何もそこまでない。割とまっさらになっている。なので要素として使うよりは根幹に据えてしまうことにした。多分このお題でないと絵は描けど文字は絶対書かないもんな。絵は描けど。うん、絵は描けど。
それと、前2つ(第三回こむら川小説大賞、第一回川辺の創作怪談会の事)が結構お題の調理の仕方をひねったので今回はドストレートパンチを撃ってみる事にした。なので一番最初に出た「肉体改造」の話を書くことに。
<話を「見よう」とする>
さて、肉体改造をメインとした……のだが、思いついたネタがあまりにあんまりなので表には出さないが裏テーマなるものを作ってみることにする。ストレートに行きたいのは変えないのでそれが薬物になるのだが。裏かそれ?
……というのも。「アングラとは空間である」にしっくり来たものの、主人公は「その空間の住人か否か」が結構引っかかることに気が付いた。何しろ、どこまで異常なことを描いても「その空間に当たり前のようにいたら全部日常になる」ので捉え方が変わるのだ。3人称ならなんとかいじりようがあるものの、結構早い段階で1人称と決めていた。理由として、「肉体改造を行われることによる多幸感」を描こうとするとどう幸せなのかを描きづらかったので。
なお、この段階ではまだ「見えて」いない。見えていないが、ここまでで出来た仮の核が「ありのままの人間(の姿)が嫌いな主人公が人から離れる肉体改造にずぶずぶにはまり、原形をどんどん失うも最後に自らの人間らしい思考も嫌いになって脳を破壊する薬品を頭に打たせて話が終わる」という感じだった。
……あーうん。これはこれで書こうと思えばかけるのだが、前後が弱いというか、肉体改造を行う理由がかなりマイナスのままになる。なので、思考を書くのに難儀しそうだなと思って保留とした。何しろ「見えていない」のでこの3行プロットだけなのだ。書いてたらどうなってたんだろうな。
話を戻すと、この打開のために出てきたのが「主人公は話の前はアングラ空間の外の人物=そこから出られなくなる者」、その理由として据えられたのが薬物である。そう、そこから出られなくなるのは本編では鼎圓という魔女あって……のように見えるが、「きっかけは鼎のせいだが、根本的な理由は鼎のせいではない」。以下種明かし。ちらりと残したフラグが感想にあったのでふふっとなった。
薬物と言えば、基本違法薬物なので中毒が関係してくる。で、基本的に描かれる薬物中毒者は明らかに「薬」を求めている。つまり「薬を打てば楽になる」という方程式ができている状態になる。
では、これができなかったら?つまり、「薬を入れられているのに気が付けないが中毒症状は確実に出ている」という状態では一体自分が楽になるために何を求めるのか?
この条件自体がめちゃくちゃ邪悪だが、ここでようやく「自分を導いているように見える」鼎圓という女が出てくる。
浮世離れ気味の美しい容姿を持ちながら、その実おぞましく醜い怪物にのみ恍惚を見出し情欲を向ける歪なキャラクターは、薬物の擬人化から始まった。異形性愛は3行プロットの名残。ちなみに結構最後の話はどきつい行為の描写があったので慌てていろいろ消した。カクヨムその辺厳しいのね、覚えておこう。
打ち込まれたか、蓄積したか……薬自体は調べ倒すと問題が起きそうなのでざっくりとした概念とした。麻酔に混ぜられていたかもしれないし、部屋の食事に混ざっていたかもしれない。鼎の言葉通り「治療をすることにした」ので手遅れになってから薬からは解放される。
ただし、そもそも「最期に自分好みの美しい女に使い倒されたい」欲望から始まったこの関係性、極めて受動的であったが故に薬がなくとも全て絡めとられている。仮にここまで大幅な肉体改造を受けていなくても、姿が変わり果てる度に美しい女が自分だけを愛でるこの沼から主人公は抜けられなさそうではある。そういう主人公だったからこそ鼎圓に出会えてしまったのかもしれない。呼んでしまったあたりでホラーと言い張ることが決定した。
こうすると、とりあえず3行プロットの頃よりは話の流れというか「絡めとられてアンダーグラウンドに沈んでいく」感が出たのでようやく「見えた」。ちょっとぼんやりしていたので、蜘蛛人間は結局設計図をこの後描いた。
……そういう畑出身だったので楽しかった。
余談だが、見えたからと少し書き始めて、肉体改造しながらそれとなく薬漬けにしていくわ、やり取り的にはカウンセリングめいた雰囲気は醸し出しちゃってるわ、明らかに異常行動を起こし始めるメンタルを描写することになったわ、(消す前は)蜘蛛人間に対して生々しい性欲を擦り付けるわで、同時進行で書いていた別の小説に支障が出そうになりました。のでさっさと書こうと頑張った。
いやこれずっと抱えたくはなかったので……
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