第3話 結果

『チアキさんお疲れ様。昨日は大変だったね』


突然の労いの言葉…見るとそれは義父のNINEだった。


『お母さんそれは酷くない?チアキさん凄い頑張ってるじゃん、それより兄貴の方が問題あるでしょ』


義理の妹からのNINEもきた。


義母の狼狽えが目に見えるようだ、突然の自分の夫と娘の反応に驚いただろう。


私は直接義母のNINEに返さずに家族専用のNINEに返信をしたのだ。


今までの義母の言葉は家族に筒抜け…さぁどうでるかな?


『違うわ、私はただ気をつけるよう注意のつもりで…』


『それはチアキさんではなくマサキにすることだろ』


『お母さんは仕事をした事もないから私達の気持ちはわからないよ』


『お母さんは家の事してるもの!』


そう義母はずっと専業主婦、それを馬鹿になどはしない家事を完璧にこなす義母は凄いと思っていた。


自分が専業主婦でもあそこまではできない…自分も家事をする身としてその大変さはわかっている。


『それはチアキさんもでしょ、仕事もして家事もして手伝わない方が悪くない?』


『でも寝坊してリカちゃんが遅刻したら…』


『寝坊なんて誰にでもあるだろ、お前だって何度か寝坊して俺だって会社を遅刻しそうになった事何度かあったぞ』


『それはお父さんだって起きなかったじゃない』


『ああ、お前に任せきりで悪いと思ってる。でも俺を責めるなら怒るのはマサキだろ』


『だいたいお母さん兄貴に甘すぎなんだよね』


『だってマーくんはお母さんいないとなにも出来ないから…』


もういつの間にか家族の言い合いになっていた。


『とりあえずマサキとチアキさんの事にお前が口を出すことではない、チアキさんに謝りなさい』


義父の一言に義母は黙ってしまった。


『お義父さん、ミチカさんありがとうございます。でも大丈夫です、謝って貰うならマサキさんにですから』


『はっ?なんで俺が?』


ずっと黙ってたあの男がやっと参戦した。


既読は付いてたから見ていたのはわかった、なのにずっと黙ってる…本当にそういう所がイラつく。


『寝坊したお前が悪いだろ!』


やはり謝る気も反省する気もない…この会話を聞いていてもなにも感じていない…この義母がそう育てたのだろう。


『わかった』


私はそう打ってこのNINEを閉じた。


マサキはこれで私がこの件を諦めたと思ったのだろう…でもこれで私は決心した。


それからの私の行動は早かった。


前から契約社員にならないかと誘われていたのをすぐに返事して了承した。


何年か働けば正社員も考えると言われている、これがなければ決心が鈍っていたかも…


娘はやはりあのNINEを見ていて私の決断を受け入れてくれた。


元よりパパの事を何もしない口だけの人だと思っていた娘はなんとも思わなかったようだ。


「いてもいなくても一緒でしょ」


これが本音かはわからない…寂しい気持ちを隠しつつ言ってくれた言葉かもしれない。


こうして私はこの男に離婚届を叩きつけた!


元よりプライドの高い男は何も言わずに判を押した。


慰謝料は取らない代わりに家を貰い、教育費だけは娘が成人するまで払って貰うことでケリがついた。


その後あのわがままな男は実家に戻り、元義母に当たり散らしたらしい、離婚したのは母さんのせいだと…


今も義父と妹のミチカさんとはたまにNINEで連絡をとっている。


マサキや義母にも娘を月に二、三度は会わせるようにしていた。


私のわがままで娘の家族をそこまで離す訳にはいかないから…


たまに会うことでたんまりとお小遣いを貰えると娘はホクホクだ。


生活は前ほど楽ではないけど…私は幸せだ!

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嫁姑問題 三園 七詩【ほっといて下さい】書籍化 5 @nawananasi

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