~赤い獣人編~
第1話 僕が女の子になってる件。解決法がありません
目を開けると一面の綺麗な空が出迎えてくれた。
雲はゆっくりと流れている。
こうやって空を見上げたのは久しぶりだ。
ぽけーっと空を見ていた僕はハッと我に返り身体を起こした。
(今まで何をしていたっけ?夢を見ていた?
なんだっけ?んー...
あれっ?僕なんで外にいるの?だって、いや...)
今でも鮮明に
たしか、僕は黒い剣を持った人に胸を貫かれて...死んだような?
恐る恐る刺されたハズの胸に手を触れてみた。
開いている
夢だったのかと頬を叩いたけど、たしかに痛い。ちょっと力入れ過ぎた。
だけど僕は生きている。確かにここにいる。
だけど、
僕は気になるトコロを
1つ目、デパートに行った時は男物の服を着てたハズなんだけど。
現在膝丈まである白いひらひらワンピースを着ているみたい。
何で僕が女性服を着ているのか全く記憶にないし、意味が分からない。
(寝ぼけて希の服着たっけ?今までそんな事した事ないんだけどなぁ。誰かが着替えさせたの?え?誰が?何か怖いんですけど?)
それにチラチラ見える白く長い髪が目に映る。
(引っ張ってみたけど、痛いぃ。カツラじゃないの?僕の髪?なんで?)
2つ目、確かに風穴はない。
風穴はないけど、胸にある違和感が消えない。
明らかに大きくなってる。
10歳にしては大きい。子供基準だけど。
(ぼ、僕の身体にお、おっぱいが、ある、んですけど?)
それに肌が白くて、男の割には柔らかい。
(すっごい柔らかい。ってか、僕の筋肉はどうしたんだいッ!?...なんでぇ?)
3つ目、ここが1番の問題だった。
10年共に生きてきた下半身の友が感じられない。
下着越しだけど、まるで感じない。
(下着に当たる感覚がなんか全然違うんですけど?
まるで...?イヤイヤまさか、ね?)
無かったものがあるというのも不思議な話だけど、あったものが無くなるという話は訳が違う。
一瞬にして黒い剣の人の事がどうでもよくなった。
僕はすぐに確認したんだ。服の上から触ってみた。
(え?無い?ウソッ!?はい?まさか?
なんでぇっ?
そんな、馬鹿な...ウソでしょ...?)
意味が分からなかった。
僕は何故か
考えたところで原因が分からないし、どう抗ったところで変わらない。
僕は開き直って受け入れることにした。
(ははは、はぁ。笑いしかないや。)
初めて現実逃避という言葉の意味を理解したよ。
そして黒い剣の人を見つけたら絶対復讐することをここに誓う。
事の原因はどう考えてもあの人だから。
自身の異常についてはどうしようもない。
でも今の状況はさらに分からない。
確かに僕はあの時デパートにいた。
そして死んだと思ったらここにいる。
ここは明らかに外。室内じゃない。
まるで異世界に
落ち着いて周囲を見渡して、見える物はどこにでもありそうな木。
木。木。木。振り返ってそこに見えるものは木。あと草。
正確には森だけどね。
開けた森のど真ん中で寝ていたみたい。
ビルや建物などが全然見えない。
森のど真ん中にいる様にしか見えない。
「ここはどこだっつーのッ‼」
いろんな不安や怒りが混ざって感情が爆発して叫んでしまった。
ここがどこで周りにどんな生物がいるかも分からないのに叫んでしまった。
そしたらゲームでよく見るアイツが出てきたんだ。
緑の小さい奴。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます