第3話 幕間 ユウの心とやさしい声

 世界が白い

 音もなく、匂いもない

 そんな場所に僕はいる

 何も見えない

 何も聞こえない

 でも不安はない

 僕はこのまま消えていくのかな?

 僕はこのまま?



 やっぱり僕は死にたくない

 やっぱり僕は生きたい

 僕は不安なんだ

 消えたくない




  【案外早かったね?でも私はまた会えて嬉しいよ?】


 頭に誰かが語り掛けてくる?

 誰だろう?


  【10年、だったかな?】


 10年?何のこと?僕の事?


  【忘れた?そうか、そうだったね?】


 あなたは何の事を言っているんですか?


  【君はちゃんと心を掴めたみたいだね?】


 何の事か全く分からないです。何が言いたいんですか?


  【君の身体は壊れちゃったね?】


 僕は多分死にました

 ここは天国、ですか?


  【君の核はここにあるよ?】


 それはどういう事ですか?


  【君は死んでいないって事だよ?】


 僕は胸を剣で刺されて...

 死んでいなかったの?


  【元の世界に帰るために元の身体をつくろうか?】


 身体をつくる?死んでいないのに?


  【落ち着いて深呼吸をしてごらんよ?】


 深呼吸?スー...


  【そうそういい感じ?足に力は入る?】


 はい、動きそうです


  【手に力は入る?体に熱は感じてる?】


 なんだか不思議な感覚です

 ここにいるのにまるで違う所にいるような?


  【またどこかで会えたらいいね?】


 あなたは一体誰なんでしょうか?


  【いつかあなたが思い出して?】


 僕はあなたを知っている?


  【そろそろ起きないと彼女が死んでしまうよ?】


 起きる?彼女って一体誰?


  【私に出来ることはここまでだよ?だから起きて?】


 起きる?

 なんだか明るくなってきた

 ここは夢の世界なのかな?


 僕は生きている?

 

 何故だか心がそう教えてくれている気がした

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