第2話 序章 死が2人を別ける運命
時刻は11時。
街にある大きなデパートの入り口に2人の美少女が笑顔で入っていく。
一人はボーイッシュな恰好のさわやかな笑顔が目を引く少女。
もう一人は清楚なお姫様を連想させる黒髪ロングの気弱そうな少女。
実際は兄妹なのだが、周りの客には可愛い姉妹が仲良くしているようにしか見えない。
「あー超涼しいー。空調効いててマジ天国~。でも早くアレ買って帰んないとな」
現在兄である
妹の内気な性格を理解している筈の
たしかに暑かった。だがそれ以上に楽しみがあった為に気付かなかった。
そして思い出した。妹の存在を
「あ、ごめん
忘れていた理由は学校で話題になっている『双月の救世主伝説』というゲームの事で頭がいっぱいになっており、早くプレイしてみたいという年相応の反応なのだが。
今
それが
だから早足に
【双子暗黙ルールその1 表は兄が裏は妹が助け合う】
という双子だけの
表というのは主に対人など日常で困ったりした時。
裏というのは主に勉強など日常で困ったりした時。
今
それだけでも兄の違約違反による刑執行の対象である。
~横腹を気が済むまでド突く~
子供の考える罰として舐めて考えるのはよろしくない。
ご機嫌をとらなければあばらの1本は持っていかれかねない。
「この先のクレープにゃ(ゴスッ)ッグ、か、可愛いふゥ(ゴスッ)ッグゥ、ゲーヌゥ(ゴゴスッ)グッハァッ!?」
ヤバいッ、脇をどんなに締めていてもあらゆる角度から執拗に同じ箇所を打ち抜いてくるッ‼
「ぼ、僕がなんでも(ピクッ)1つ言う事を聞くッ‼(ピタッ)」
そして、優しい笑顔で質問する。
「約束、する?」
・・・・・・・・・・
母への誕生日プレゼントを買い、ちゃっかりトイレと偽りゲームを買った
自前のスマホを取り出し時刻を確認すると、今の時刻は11時30分。
思ったより早く買い物が終わったなと考えていると、
異変は起きた。
~~~キィ-ン~~~
頭が割れそうな程の高音が鳴り響く。
突如に起こった耳鳴りに眩暈、吐き気が優を襲う。
平衡感覚を失い立っていることもままならない
しかし誰にも会うことなくホールの見えるエントランスに辿り着いた。
そこで
「な、んだ?これッ!?」
ホールにはおびただしい血痕の跡。
微動だにしない人達は気付いていないのか、全く動かない。
咄嗟に
...見つけた。大丈夫だ。でも
まるで時が止まっている世界に迷い込んだみたいだ。
なんで僕だけ動けるんだ?
理由が、現状が理解できない。
しかし、運命の時は止まる事はなかった。
「違う、コレも。...反応は近いはずだ。何処だ?」
この場に
その者は黒いフードを目深に被り、手には黒い剣を持っていた。
違うと言ったかと思うとその剣で人を切り伏せていく。
しかし
「探した...月...救...」
何て言っているのかよく分からないがソイツだけは
「妹にッ、近づくなァッッ‼」
そんな
「魔素のない
言い終える前か後か、次第に胸が熱くなる。
そして
「ま、待て‼
速すぎて貫かれた事に気付けなかった。
胸から、口から血が溢れ出る。
両膝を付き、薄れゆく意識の中で
「の...ぞ、み...」
足元には買ったばかりの『双月の救世主伝説』が
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