双月の白銀姫 ~転生したら僕は白髪美少女になってどんな傷も癒せる聖女になってました?~

たぉ

~優という少年・希という少女~

第1話 序章 母へのプレゼント

 月城 優つきしろ ゆう、小学四年生で現在10歳の男の子。


 ゆうは小学生としては極平凡な成績なのだが1つだけ普通ではない事があった。

 それは生まれつきの女顔が超絶にという事だ。


 ゆうはそんな自分の顔を不満に思っていた。

 なぜなら自分に対するが嫌だからだ。

 最近でも男なのに「お前女みたいだな」とか「女子は向こう行けよ」とか言われて喧嘩したばかりだ。

 喧嘩と言っても子供の喧嘩程度だが。


 そんなゆうだが、女扱いさえしなければ誰とでも友達になれる太陽のような明るい子で、先生からも頼られる人気者であった。



 そして現在、季節は夏。ゆうはクーラーの効いたリビングで外行きの服を着てソファに足を掛けてダラダラしている。


 「のぞみ遅いなぁ。今日の予定忘れて寝てるんじゃないよね?」


 のぞみとはゆうの双子の妹でとても物静かな女の子のことである。

 ゆうとは違い、成績優秀・運動神経抜群で小学生にしては異例なまでの人気者であるのだが超絶的なまでの人見知りである。

 

 二人は一卵性双生児の為、非常によく似た美少女姉妹なのだが姉妹ではなく中身が兄妹きょうだいである。

 2人の事を知らない人には分からないが。


 ちなみにゆうは男服を着てこれでもかと男の子アピールをしているのだが、ヤンチャな元気娘にしか見えないのは別の話である。




 ゆうのぞみを呼びに行こうとソファから立ち上がった所で後ろから声がかかった。


 「...待った?(ボソッ)」


 ゆうが後ろを振り向くとそこには自分によく似た女の子が首を傾げて立っている。

 黒髪ロングのお姫様カットが映える10歳の美少女が可愛らしく小首を傾げているのだ。


 困った顔で聞いてきたのでゆうは「仕方ないなぁ」と呟きながらも優しい口調で、「準備出来たなら行こうか」と言って妹と家を出た。


 ちなみに今日の予定とは明日に控えた母の誕生日プレゼントを買いに行く事だ。

 妹と一緒に近くのデパートに買いに行くだけなのだが、ゆうにとっては別の用件もあった。

 

 春に発売された『双月の救世主伝説』というRPGゲームがとても面白いと学校で話題になっていて、母の誕生日プレゼントのに買おうと決めていたからだ。

 


 予定を決めてから少しずつお金を貯めていたゆうは今日の朝までいてもたってもいられずにずっと我慢していた。

 だからゆうは楽しみにしていたゲームがついに出来ると満面の笑みでのぞみの手を引っ張って行く。


 「ちょっと、ゆう、早い」


 のぞみにとっては母の誕生日プレゼントを買いに行くだけなのに何故兄がこんなに嬉しそうなのかは理解できなかったが、母を祝う気持ちが同じなんだと嬉しさが溢れてくる。


 歩いて30分のデパートへ早足に20分で着いた双子は夏の陽射しに負けない笑顔で知らず知らずのうちに運命の道を進んでゆくのであった。

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