第3話 サバイバル

「まずはスマホの電源を切ろう、結合後に使用できる可能性もある。次に水と食糧、寝床か。」

 音声からしばらくは絶望していたが死ぬ訳にはいかず行動することにした。

 拠点はこの木だな。大きく目印になり、見晴らしが良く接敵にすぐに気付くことができる。さらに木の上に穴を掘れば寝床にすることが出来そうだ。ヘルドッグに水源と食糧の確保を頼んだ。俺は木に登り幹を少しずつ剣で掘り出し、休憩がてら手持ちのモンスターを見返す。

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1スケルトン×3 モンスター 安価だが弱い

4テスラ 防衛 拠点付近の敵に雷撃

3墓石 生成 1時間毎にスケルトン生成

2鉄の盾 装備 壊れにくいが重い

8ゴーレム モンスター 拠点付近のみ

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 ゴブリンを考えるとまず優先すべきは安全をすぐにでも確保したいがスケルトン以外は召喚することができずコストが4溜まるまで待つしか方法がない。

「仕方ないか、サモンスケルトン」

 カタカタと音を立て3体のスケルトンが出現する。スケルトンと入れ替わりでコスト2の強化薬ATKが追加された。

 モンスター武器、アイテムの効果は一定時間経つことで消えたりすることはないようなので今後を考えると、強化薬は積極的に使用していきたい。

 召喚されたスケルトン1体に切り出した木をくり抜き穴を開けた器に水を汲みにいってもらう。

「かなり掘ったけどまだまだだな」

30cm程の深さは掘ったが中で暮らすにはまだまだ縦も横も奥行きも全てが足りない。

 少しずつ朝日が顔を出し始め辺りが明るくなってくると瓜坊を咥えたヘルドッグとともにスケルトンが帰ってきた。

「ありがとな」

 一匹は尻尾を振りもう一匹はカタカタと体を震わせ喜びを表現する。

 木のえだに瓜坊を剣で刺し血抜きをする。解体の仕方は分からないが食べることの出来そうな肉の部分だけ切り出せば問題ないだろう。

 木の棒と木の板を擦り合わせ火種を乾かしておいた草につけ火を起こし、木に刺した猪肉を焼く。漫画では簡単そうにしているがこれだけのことに2時間かかった。猪肉を食べながら火にあっていると異世界に飛ばされたことをしみじみと感じる。寝る前にコストが4残っていることを感じる。恐らくだが、2時間毎に1回復するんだろう、これは時計代わりになるな。

「サモン、テスラ」

 魔法陣が浮かび上がり4m程の巨大な鉄塔のようなものが出現した。テスラは巨木から5mくらいの場所に設置し、その間にヘルドッグ達と固まって暖をとった。

「そういえば名前をつけていなかったな、ルークでどうだ?」

 名前を気に入ったのか、ワンッと一度吠え尻尾を振っている。こうしてみると大きめの犬にしか見えない。因みにルークはラテン語で光を導くという意味がある。

「おまえらは一郎、二郎、三郎だな!」

 カタカタと震えている。どうやらそれでいいらしい。

 もうすっかり明るいが安心して睡魔が襲ってきたことで異世界生活の1日目が幕を閉じた。

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