第2話 召喚
「サモン、ヘルドッグ」
その声と共に目の前に魔法陣のようなものが現れそこから体高1mほどの大きめなドーベルマンが出てきた。俺を主と認めているようで前まできておすわりをして指示待ち状態だ。
このユニークスキルはコストを消費して手持ちのモンスターや武器などを実体化することができるようだ。召喚するモノの強さに応じて消費コストも増加するようで、コストは時間が経てば回復する。一見便利な能力だが、欠点もある。この能力はカードゲームのようなもので手持ちの上限が5種類で1度使用するとそれを補充するように別の手持ちのモンスターや武器などが加わるというものだ。そのためその時の手持ちに状況に合った手持ちがあるとは限らないということだ。
《モンスターが出現します、殲滅して下さい》
どうやら考察を続けさせてはくれないようだ。声と同時にゲームでよく見るゴブリンが3体出現した。
「チュートリアルは一体ずつにしろよ。ヘルドッグはそっちの2体を相手してくれ。サモン、鉄の剣!て、重たっ」
上限10のコストのうち3をヘルドッグ、2を鉄の剣に消費して残りは5あるがゴブリンが襲いかかってきているためこれ以上召喚する余裕はなさそうだ。
指示を出されたヘルドッグが1体のゴブリンに噛みつき腕を噛みちぎっているがもう一体のゴブリンはこちらに向かって走ってきている。俺は剣を構えて、1歩また一歩と後退する。ヘルドッグがゴブリンを倒し助けに来てくれることを必死に祈る。しかし、石に躓いて尻餅をつく。絶体絶命とはまさにこのことだ。そこにゴブリンが飛びついてくる。慌てて剣をぎゅっと握り目を閉じる。
グチュっという音と共に赤い血が吹き出る。
目を開けると剣がゴブリンの腹が刺さっている。ジャンプしたゴブリンに構え直した剣が丁度刺さったようだ。安心して力が抜け、剣が手から落ちる。
「ぐぁああああああああ」
腿に激痛が走る。見ればゴブリンが腹に剣を刺したまま足に噛み付いている。2体のゴブリンを倒し終えたヘルドッグが首に噛みつきゴブリンの息が絶える。朝からは血が出ているが肉が抉れるほどではない。
「サモン、低級ポーション」
コスト4で低級の回復薬を召喚しすぐに飲み干す。しばらく悶えていると徐々に痛みが引く。心配そうにヘルドッグが顔を舐めてくれる。ヘルドッグがいなければ間違いなく死んでいただろう。今回はたまたま剣がゴブリンに刺さったが恐らく次はない。
《チュートリアル終了、703時間26分45秒後の結合まで生き残って下さい》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます