第1話 接続
8月1日9時、スマートフォンの大きな音に目を覚ます。アラームをかけた覚えはないが反射的に手でそれを掴み取り止めようと試みるがもれなく失敗し起きざるを得なくなった。眠い目を擦りながらスマートフォンを手に取りアラームを止めようと電源ボタンをつける。
「719時間59分42秒後に結合されます?」
文章を読むとともに画面が光り電源が切れる。もう一度スマートフォンの画面を見るも先程の文字はなく現時刻が表示されているだけだ。スマートフォンを開きホーム画面を操作していると入れた記憶のないアプリがNoah's arkと書かれてそこにあった。直訳するとノアの方舟でいいのだろうか。そのアプリについて色々と考察しようとするがそれ以上の情報は得られなかったためアプリを開くとまるでゲームのようでチュートリアルと共に説明が始まる。ゲームの設定では地球が異世界と結合されモンスターが闊歩している世界で生き残るというもののようだ。
「まずはキャラクターの制作か。しまった、俺としたことが」
なぜ普通にアプリを開いてしまったんだ。普通に考えて絶対ウイルスとかハッキングだろ。しかしその場合、時すでに遅し…か。
その事実を認識し、少し興味をそそられているNoah's arkをプレイすることに心を決めた。
────────────────────
lv1 坂口優輝 テストプレイ中
SP 10
ATK:5
DEF:4
MAT:0
MDF:2
SPD:6
unique skill
召喚lv1
skill
─
────────────────────
名前の横にテストプレイ中とあることからテストプレイヤーに選ばれたのだろう。
よくあるRPGゲームのステータスと同じで上から物理攻撃、物理防御、魔法攻撃、魔法防御、素早さ、固有スキル、スキルだろう。
基準がわからないけど、ここに10pt割り振れるとすれば1つのステータスだけに割り振ればオリンピック選手並みになるのだろうか。
SPの説明ではステータスの上昇以外にもスキルのlv上昇、スキルの入手など様々な用途があるようなので迂闊には割り振れない。ステータスはいつでも割り振る事ができるようなので取り敢えずスキップしてゲームを始める。connectというボタンをタップすると本格的にゲームが始まるようだ。
ここで一度アプリを閉じ昼ごはんを食べてから部屋の片付けを始める。殆どは片付け終わっているが、布団などはまだ実家に送れていないため、配送の準備をまとめる。23時発の夜行バスで実家のある兵庫県に帰る。それまではこのアパートの大家、大学の友人達に挨拶と何かと時間がない。
「じゃあ元気でな、また遊びこいよ!俺もそっち行くけどな」
「ゆうくんまたね!就職まで会えないけど私もそっち戻るから待っててね〜」
「ああ、二人とも4年間ありがとな!まあ、会おうと思ったらすぐ会えるしまた連絡するよ」
大学の親友の
「よろしくお願いします。」
23時を少し過ぎバスが出発する。
外では別れを告げながら友人2人が手を振っている。麻紀は神戸発祥の某子供服ブランドのファミリーに就職するらしくこっちに来るそうなので4月になればまた会えるだろう。奏は実家の会社にはいるらしいので時間の融通がきくからすぐ会いにきてくれるらしい。とはいえ大学生活が終わり少し寂しく思いながらスマホを開き先程の2人にLIMEを返信する。
まだ眠くはならないのでアプリを開きconnectのボタンを押す。
《プレイヤーの情報を取得中…》
《対象プレイヤーをHELLWORLDに接続…》
目の前が暗転し、バスの席についていたはずが見覚えのない景色が広がる。ただ風が吹き渡り、柔らかな緑の草がそれに合わせて音もなく揺れている。100mはあろうかという大樹が俺の真後ろに1
《チュートリアルを開始します。ユニークスキルを使用してください》
呆気にとられていると頭の中に直接音声が流れてくる。その音声と同時にユニークスキルの使い方を元から知っていたかのように理解した。
「サモン、ヘルドッグ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます