俺だけ乗った方舟〜一足早く異世界へ行き王となる〜

はしまき

プロローグ

──2098年7月31日、神奈川県周りの自然によく調和し程よく古びた建物の一室。


 エアコンの電源もつけず駅前で配られている団扇を片手にベッドに転がりスマホをいじる黒髪黒目の男。顔はそれなりに整っているものの髪はだらしなく伸び手入れされていないことが分かる。名は坂口さかぐち優輝ゆうき、22歳、東京大学4年生。

「あっつ〜、このボロアパートともお別れか」

 男は所謂苦学生で学費は奨学金、生活費も全てバイトで賄っているため世間一般の大学生のように生活に余裕がなく、家から大学まで2時間弱の築53年、駅徒歩25分、家賃3万5千円のワンルームに暮らしていた。電車の時間で勉強し無駄は無かったがやはりこの4年間何かと朝は苦労した。

 今日は大学のテスト最終日で明日から夏休みのため、明日から実家に帰り生活費を削減するつもりでいた。若干の名残惜しさを感じつつ眠りにつく。この後、世界に起こることを誰が予測できただろうか。

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