第6.5話 橘琴羽は眠れない

 目が冴えて、眠れない……!


 七海くんはもう寝ちゃって、起きる気配すらない。喋りとプレイに頭使ってる反動で寝たら全然起きないって言ってたし、ほっぺたつんつんしたりしても何も反応しなかったから、実は起きてました、なんてことはないはず。


 今、私は用意してくれた来客用の布団から、ベッドで眠る七海くんを見ている。五年以上見る機会のなかった寝顔。でも、私が覚えてる昔のそれと、ほとんど同じ。


「寝顔は変わってないなぁ」


 ご親切に私の方を向いて寝てくれているので寝顔がバッチリ。もう何枚か写真撮っちゃったりしたりもする。これはスマホの壁紙行きです。私にとっては国宝級の価値。ハクさんしか勝たん。


 でも、我ながらなぜ気付かなかったんだろ……十七年も片想いしてる相手なのに気づかないとかある? 確かに七海くんの事は避けてたけどね? 嫌われてると思ってたし。まぁ今日そんな事ないってわかったんですけども。


「まぁ、七海くんが私を好きなんてことはないと思うけど」


 そう、そんな事はありえない。一回振られてるんだから、変な期待はしちゃいけない。今日だって七海くんは最後まで私が泊まることを渋ってた。


 七海くんを避けてた五年間の間に、七海くんは変わった。……いや、変わったのは私か。昔は七海くんの呼び方だって違かったし、第一こんなに弱気じゃなかった。今みたいに無駄に考えてクヨクヨすることなんて考えられない、そんな子だった。


「全部、七海くんのせいなんだからね?」


 全部全部、七海くんのせい。好きになっちゃったのも、忘れられないのも、ハクさんを見つけちゃったのも、全部全部。


 だから、今、七海くんの布団に潜り込もうとしているのだって、七海くんのせい。


 起こさないように慎重に七海くんの体を跨いで壁側に、ゆっくり毛布をめくってその中に侵入成功。


 はああぁぁぁ……なにこれすごい、七海くんに包まれてるみたい。久しぶりすぎてすごいキュンキュンする……!


「みゃっ!?」


 と、突然寝返り打つのはやめて……潰されるかと思った……あっでもこれならもっとくっつき安い……。


「いやいやいやいや、それは流石にね……」


 七海くんが仰向けになったおかげで腕枕されるのも胸の上に頭を乗せるのも、全て自由自在。今欲しいものは全て手に入ると言っても過言じゃない。でもこんな寝込みを襲うようなことして何か言われたりしたら死んじゃう……!


「でも、今を逃したらいつやるの?これが最後のチャンスかもしれないんだから……!」


 待って待って落ち着いて! 止まってお願い私の身体ぁぁぁぁぁぁ! 「今を逃したらいつやるの?」じゃないよ! 普通に怒られるよ! 自分自身で次のチャンス潰そうとしてるんだよ気付いてぇぇぇぇ!!


 ……もう目の前まで七海くんの腕は近づいているし、私の腕は七海くんの身体に伸びている。私が私に出来る最後の抵抗は後ろの壁に向かって跳ぶだけ……!


 ふんぬぅぅぅぅ!!!!



 ぽすん(七海くんの腕に頭が落ちる音)



「あっ♡」










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遅れてすいませんでした、作者です。

言い訳はしません、どうぞ罵ってください。

あと作品の評価もください。そうしたらもっと頑張ります。


(割とガチで反省してます二ヶ月以上投稿をせずすいませんでした!!)

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