第6話 七海白兎は幼馴染みに突撃される
ダァン!!
「ひぇあ!?」
何事!? 窓ぶっ叩かれたんだけど!?
時間も割と遅いし強盗? でもそれなら明かりついてない部屋狙うよなじゃあ僕になにか恨み持ってる人とか? うわぁなんかそっちなら居そう! 過激派アンチの人とかもいるし──。
ダンダンダンダンダンダン!!
んー、絶対アンチでしょ開けないよ!? 死にたくないもん!!
めっちゃ叩いてくるし、窓割れたらどうしよ!? とりあえず親!? でももう寝てるか……。うーん……。
「七海くん、私落ちちゃうぅ……!」
「琴羽!?」
落ちたら塀なのになんで窓の鍵開いてるかも確認しないで来ようと思っちゃったの琴羽さん!?
「馬鹿何やって──うわぷっ!?」
真正面から突っ込んできた琴羽をキャッチ、そしてそのまま衝撃なんて殺せる訳もなく背中から床にドーン!
「いったぁ……。あ、でも七海くんの部屋入れて──きゃあああああああ!!!!」
お願いだから叫ばないで。これ以上僕の体痛めつけないで……! こっちは背中から床に叩きつけられたせいで息はできないし体中痛いから……!
「どうしましたか琴羽さん!?」
「七海くん潰しちゃったぁ!?」
「潰──はぁ!?」
ドア越しにそんな会話をして僕の部屋に扉を蹴りで開けて入ってきたのは我が妹。
「どどどどうしよう!?」
「まずにぃの上から降りましょうか!」
「わかった!」
「で、下に行って湿布とか取ってきてください! どこか痛めてるかもしれないので!」
「わかった! 行ってくるね、暁乃ちゃん!」
おばさーん、と叫びながら階段を駆け下りていく琴羽と、呆れたようにため息をついている暁乃。そして大の字になって寝転んで動けない僕。
「で、一体何があったらこんな状態になるの?」
「窓開けたら琴羽が飛んできた」
「ますます分かんない……」
なんか申し訳ないけど事実しか言ってないんだよね……頭抱えたくなる気持ちはすごいわかるけど。
「にぃ」
「なに?」
「まず、腕は無事?」
「うん、大丈夫、動くし痛みもない」
「逆に痛みやばいところとかは?」
「最初は頭だったけど今は腰がやばい。腰が痛くて動けないまである」
よく考えたら腰から床に行ってるしな……そりゃ痛くもなるな。創作の中の主人公さん達骨硬すぎだし痛みにも強すぎでしょ。
「とりあえずうつ伏せなって」
背中と床の間に手を突っ込みながら暁乃が言う。
なってっていうかそれ強制的にひっくり返されるやつじゃん。結構しっかり勢いつけてるしこれ自分で回るって選択肢すら選ばせて貰えない──。
「せいっ」
また床に叩き付けられた。なんで普通にひっくり返そうとしないで回転の勢いがつくようにするのさ……。受け身とったから良かったけど……あー、腕がびりびりする。
「おー、腫れてる。青くなってないから多分折れてはないんじゃない?」
ならいいけど、腰の写真見せられても全然分からないから。普段との比較ができない上にフラッシュで白っぽくなってるから赤いかどうかも分からないんよ……。
「取ってきたよ暁乃ちゃん!!」
「じゃあにぃの腰に湿布貼ってください。で、その後は今晩にぃの看病してあげてください」
「分かった! 看病は任せ──え?」
「え?」
琴羽だけ残るの? ここに!? 今日五年ぶりに話した幼馴染みと二人きりになるの!?
「「無理無理無理無理無理無理!!!!」」
全然嫌とかじゃないけどむしろ嬉しいまであるけど! でも無理!
ていうか僕達二人の関係を全部理解してる暁乃がこんな選択すること自体抗議できるレベルのものなんですけど!
五年前に振った相手と一緒に過ごすとか無理だってことぐらいどれだけ頭悪くたって分かるでしょ!?
「ハモるぐらい仲良いんだから大丈夫ですよね。それじゃ、うるさくしなかったら別に何してもいいんで、ごゆっくり〜」
「「え、ちょっと!?」」
無慈悲にドアが閉まって二人きり。二人揃っての抗議の声はドアにぶつかるだけで暁乃には届かなかった。
「「…………………………」」
何話せばいいのかも分からないし、思いのほか配信時間も長くなったから今からゲームするのも厳しい。腰も痛いし。できるのは琴羽の分のPC周りのデバイスを用意するぐらい。
「あ、あの……腰、大丈夫?」
「一応、多分もう動けるぐらいには」
「そ、そっか……」
「「……………………」」
折角琴羽が話しかけてくれたのにここで会話は終了。
逆に気まずさが上がってもうやばい。やばいしか言えないくらいやばい。
……ていうか、腰大丈夫なんだから帰ってもらえば全部解決なのでは。
そうすればこの気まずさからも二人で解放されてハッピーエンド。これは提案するしかない!
「ねぇ、琴羽」
「な、何かな、七海くん?」
「もう腰割と大丈夫だし、戻っても大丈夫だよ?」
「そ、そうだね!」
起き上がって動いてみせると、小さく拍手をして、よかったぁ……、と安心した様子で僕の方を眺める。
「いや、部屋戻らないの?」
「戻らないよ? 看病してあげてって暁乃ちゃんに言われたし……(それにまだ一緒にいたいし)」
「さっきは思いっきり無理って言ってたじゃん……」
「き、気のせいだよ……」
気のせいでは無いと思うんだけど……。
「白兎は、そんなに私に帰ってほしいの?」
「そ、それは……」
そんなわけない。めちゃくちゃ嬉しい。一緒にいたい。でも、色々問題がありすぎる。
「寝る場所とか……」
「幼馴染みと一緒に寝るぐらい、平気だよ?」
何度かこんな会話を繰り返して、結局拒否することが出来ず、一夜を過ごすことになった。
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色々あって投稿めちゃくちゃ遅れました申し訳ないです!
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