第12話 付けは必ず廻ってくる

その日はいつものよう朝起きて、夜勤明けの妻を起こさぬようにベッドから出て、シャワーを浴び仕事の準備をして、玄関を出ました。

マンションのエレベーターでエントランスに降りて自動ドアが空いた瞬間、男性3名女性1名が私の行く手を塞ぎました。

その4人組の顔を観た瞬間に『警察だ』とわかりました。

私に警察手帳を見せ、私の名前を確認し、その後ガサ入れの用紙を見せて来ました。

そのまま家に戻り家宅捜査の為に、妻を起こしました。

警察は妻に説明をして、それからガサは始まりました。

妻は動揺し『寝起きで何がなんだかわからない😖』と言っていたので、落ち着かせて、妻に寄り添っていました。

妻は私に何があったのか⁉️とずっと尋ねて来たので説明をしました。

警察は一通りガサ入れをして私のキャッシュカード、クレジットカード、銀行口座を押さえて私に、下の車に行こうか⁉️と言って来ました。

私が玄関に向かうときに、妻が急に警察に向かって『私の旦那を何処に連れていくんだー!ふざけるな💢』と言って拒んでいたのですが、

警察が『奥さんそれ以上邪魔するなら奥さんも逮捕しますよ』

と妻に言ったので、私は妻に『俺は身に覚えがないから、直ぐに戻るから大丈夫だよ』と言って、取り敢えず妻を落ち着かせました。

妻は『連絡はどうしたら良いの⁉️』と聞いてきたので、警察が名刺を渡し『ここに連絡をしてください』と言い、私は部屋をあとにしました。

エレベーターで下に降り、エントランスを出るとマンション前に停まっている車に乗せられ、そこで逮捕状を見せられました。

そして愛知県警豊川署の知能班に特殊詐欺容疑で逮捕されたのでした。


車で小倉駅まで行き、レンタカーを返して小倉駅から名古屋駅まで行き、名古屋駅には車が1台待機していたので、その車で豊川署まで連れていかれました。

豊川署留置場では二人部屋に入れられ、そこから20日間の勾留をされ、釈放されるまで接見禁止のまま、連日連夜の取り調べを受けました。

毎日同じ事を繰り返し聞かれるのですが、面割りをされたり、グループの人数やアジト、そして私のボスの事を聞かれたり、何処にいるのか⁉️などを聞かれましたが、私は一切答えませんでした。

『知りません』『関係ありません』の言葉しか言うことはありませんでした。

警察もしびれを切らしたのか、私に1枚の封筒を見せて来ました。

それは私の指紋が着いた封筒だと言うのです。

勝ち誇ったように私の顔を見ていましたが

私は『その封筒に私の指紋が付いているとしたら、以前先輩にパンフレットを入れて封をしてくれと言う仕事を手伝いました。その時の物だと思います。先輩は詐欺の仕事だとは言いませんでしたし、もし言っていたら私は手伝わなかったと思います』と言い、検察庁に行った時も同じ様に答えました。

次に警察は、私が以前東京の目黒署に銃刀法違反で捕まった時に、目黒署が家宅捜査をした時に私の家から押収したウィルコムの携帯3台を目黒署員が豊川署まで持ってきたのでした。

その日取り調べを受けている部屋に

突然目黒署員が『久しぶりだなぁ』なんて言って入って来ました。

手に持っていた袋を豊川署の調べ官に渡して、少し話をして帰っていきました。

警察に『この3台の携帯は何だ⁉️』と言われ

私は『先輩から預かったのだが、その先輩と連絡が取れなくなりずっと預かっているだけだ』と話しました。

警察は『じゃあこの携帯調べるぞ💢』と言われたので、『どうぞ』と言い返しました。

こんな感じがずっと続いていましたが、私には接見禁止が付いていましたので、弁護士以外誰とも会えずにいたのですが、弁護士さんを通して妻が手紙を書いてくれたり、差し入れを入れてくれたり、お金や洋服を入れたりしてくれたので、本当に助かりました。

お金があると、留置場では自弁と言って出される食事以外のお弁当を頼めたり、お菓子等が買えたりするので、唯一の楽しみになります。

勾留期間のギリギリになった頃、私はもしかしたらこの件で起訴され、別件で再逮捕があるかなと覚悟はしていましたが、明日釈放になると言うことがこっそり伝わってきました。

そして釈放当日の9:30になって、釈放通知書が来たので別室に行って、釈放の手続きをし、知能班の刑事から、私の携帯や通帳、キャッシュカード、クレジットカードを返して貰いました。

それから署員に見送られながら釈放されたのですが、その際に署員から耳元で『お前、岐阜や三重にも行っているだろ?』と言って来たので

『私は知りません、全く身に覚えがない』と言いました。

署員は『何か出たら直ぐに逮捕しに行くからな』と言って来て

私は『どうぞ来てください、いつでも待ってます』と言って、タクシーで名古屋駅に向かいました。


タクシーの中で久しぶりに携帯電話の電源を入れたら、物凄い数のLINEやショートメール、留守番が入っていたので、1つ1つ確認して全部に返事を送ったり、電話を掛けました。

一通り終わった後に妻に連絡を取りました。

妻は私が今日釈放されることは、事前に弁護士から聞いていて、予め仕事を休んでくれていました。

私は妻に何時に大分に着くからと言う事を伝え電話を切りました。

確か大分に着いたのは14時~15時頃だったかと思います。

別府に着いて妻に迎えに来て貰い家に帰りました。

家で少しゆっくりした後に、私が勤めていた会社に頭を下げに行ったのですが、そこで思ってもないことを告げられました。

会社には妻が車で送ってくれて、妻には駐車場で待ってて貰いました。

私は1人で会社の中に入っていき、会議室で副社長と人事の方と工務部工務1課部長4人で話をしたのですが、結局私は退職をすることになってしまいました。

私は妻の待っている駐車場まで行き、車の助手席に乗り、妻の運転で近くのコンビニに行くなかで、会社で話をしたことをそのまま妻に伝えました。

妻は物凄い怒りを露にして、会社に電話をすると言い出しました。

私は『そんなことをしても変わらないからやめようよ』と言ったのですが、妻は納得が行かないから働いた分の給料を出して貰うと言って会社に電話をしたのです。

私の目の前で会社に電話をして10分位話し、納得したのか電話を切り、私に今月分と来月分の給料を出して貰えるようになったと言って来ました。


さすが九州の女性だなぁと思いましたが、全て私がやってきたことの【付けが廻ってきた】だけなんです。


私は次の日から無職になりました。

それからと言うものの、私は懸命に職を探すのですが、中々良い職が見付からずにずるずると行ってしまい、7月5日のEXILE、ATSUSHIのソロライブの日になってしまいました。



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