第7話 キャッチの仕事と特殊詐欺の仕事
夏のシーズンが終わり、食べていく為の仕事を考えていました。
本当は橘さんの元でやっていきたい気持ちはありましたが、私みたいのが芸能の世界で働かせて貰えるわけはないと実感していましたし、橘さん程の人が、鞄持ちをしている努力をしているのにそんなところに私が入れる訳もないと思い、私は横浜に住んでいる知人を頼りキャッチの仕事を紹介して貰いました。
関内駅やイセザキモールなどをテリトリーにスーツや私服で好きな格好でキャッチをしていました。
その時に知り合った戸塚の女性と付き合うようになり、一緒に住むことにもなりました。
それと同じ時期に関内にあったクラブに毎日の様に出入りをしていました。
あの頃も凄く楽しい時期でした。
ところが私はキャッチの仕事だけでは大きな収入が得られない事から、また特殊詐欺の仕事をやるようになってしまいました。
そして詐欺の仕事が忙しくなり、キャッチの仕事は直ぐに辞めてしまいました。
私は詐欺をするのに、伝説のスカウトマン、立野さんと言う方の下でやっていました。
立野さんは伝説のスカウトマンとしてメディアにも出ていた方です。
立野さんの下で色々と教わり、立野さんがしていたこと全てを引き継ぎ、全てを任されていました。
私は戸塚の家から横浜に通っていましたが、都内にも家がありましたので両方を言ったり来たりしていました。
横浜での知人に詐欺の仕事を手伝って貰っていましたが、1度その知人の家に行った時、ヤバイ位に家が散らかっていてビックリしました。
その知人はやはり、覚醒剤に手を出していたので後々やばくなるなと思い詐欺の仕事からは手を引かせました。
戸塚に一緒に暮らしている女性には2人の娘がいました。
2人の子供はどちらも私に懐いてくれて、一緒に出掛けることが多々ありました。
映画館に行ったり、アンパンマンミュージアムに行ったり、食事やディズニー、シーパラにも行きました。
土日は娘の学校も休みなので、行きたい所には連れていってあげたし、近くの公園にも3人で行ったりお風呂にも一緒に入ったりもしていました。
運動会が学校であった時には観に行って応援したり、ご飯も私が作るときもありました。
下の子の保育園にも私が送り迎えをしていました。
休みの日には、夜毎日の様に横浜、大宮、六本木で飲んでいましたし、たまに遠出をして地方に飲みに行く事もありました。
横浜で飲んでいた時は必ずアフターで女性を数人誘って横浜のダーツバーに行って、マケテキ、カチテキと言って勝負の勝ち負けでテキーラの一気飲みをしていました。
その後も関内のクラブで朝までみんなで騒いで遊んでいました。
人数はいつも10~20人位は居ました。
朝帰りをした日には1日中寝ていることもありますし、午後から娘達に起こされて遊びに出掛けます。
クリスマスの日には私の実家がある関東の外れに帰省してみんなでパーティーをし、お祝いをした事もありました。
しかし私にはその女性のダメなところが気になりはじめていました。
その女性は夜中に子供を寝かした後に、子供を家に残して飲みに出掛けてしまうことがあったのです。
私はそんな彼女に何度か叱ることがありました。
この彼女とも夜のバーでナンパして出会っているので当たり前なのかも知れませんが、私もまたこの女性と付き合いながらも、他に良い女性を見つけて、もうアタックをしていました。
その女性はクラブの店員で、気が利く優しい女性でした。
いつもこの子に会いに行く目的で沢山の仲間を連れてはこの子の働くお店に行って、朝まで一緒に楽しみました。
この頃私はどっぷり特殊詐欺に浸かっていて、お金の羽振りも良く、横浜に限らず大宮や六本木、中洲や梅田、京都や滋賀、名古屋など色々な所にみんなで飲みに出ていました。
先程も書いた通り特殊詐欺は立野さんの下で働いていました。
毎日都内には出ていましたし、立野さんからは携帯を何個も預かっていました。
その携帯は色々なグループから掛かってくる電話でした。
この1つの携帯で稼いでくれる額は数千万~数億円に化けてくれます。
私はその携帯を何個も持っていました。
私の役割は何かと言うと、私は人を送っていたのです。
私が持っている携帯に、特殊詐欺で電話を掛ける部隊(掛け子)から掛かってきます。
その電話を私が受け
『明日何時にどこどこで』と言う、相手との待ち合わせ時間、場所、相手の住所、名前や歳など、どんな感じの人かを教えてもらい、この情報を今度は受取に行く、受け子部隊に情報と金額を伝えます。
この時に額が多い時は1人見張り役も余分に付けます。
見張り役には一緒に現地には行かせるのですが、お金を受取に行く受け子部隊からは少し離れて監視して貰うだけなので、一切話をしたり、声を掛けたりするなと言ってあります。
あくまでも受け子がお金を持って逃げないため、警察などが張り付いていないかの見張り役なので
但し中にはお金を持って逃げる奴もいるので、逃げた奴には容赦なく痛め付けて絶対に逃がしません。
私には信頼がある受け子部隊に対しては見張り役は付けずに1人で現地に行って貰います。
額が多い時は私の信頼している受け子、額が少ない時は、まだ受け子になって新人の奴らに行かせます。
新人の受け子でも取りこぼしがなく、私に信頼を付けていけば徐々に額が高い仕事をしていきます。
私にはもう1つ仕事があり、それは受け子をやりたいと言う奴らの面接です。
最初からではなく、私の信頼している奴が面接して最終使うかどうかを私が判断します。
受け子役に使っていた連中は、東京、神奈川、埼玉、千葉、山梨、長野、新潟の奴らを使っていました。
中には女性もいました。
受け子の連中が受取に行ったお金は、私が直接受け子から受け取るのではなく、間に人を入れて私の元に届くようになっています。
もちろん受け子の奴の手数料を引いて私に届く様になっています。
その手数料は3~15%になってます。
例えば500万の場合だと15~75万が受け子が貰える額です。
%はキャリア、信頼
1日に数件あるので稼げる額はそれぞれです。
私の取り分は最低でも15~27%はありました。
取り分を頂いて残ったお金は、掛け子グループに渡すので、掛け子のボスにどこどこに来て欲しいと言われ、そこのそこの場所に行くのですが、そこに行くと車が止まっていてその車にお金を入れその時点で私達の役目は終了です。
掛け子と落ち合う場所はその都度違うので何処だと言うのは私達にはわかりません。
時にはコインロッカーを使用したりもします。
私が直接渡しに行くわけでもなく、私の信頼している右腕がわりに行かせてました。
掛け子の連中の他にも携帯会社の上の人とも繋がっていり、印刷会社の上の人と繋がっていたり、某有名会社の役員の人や様々な方が関わっていました。
私のボスだった立野さんは、その他にも自分で経営するお店があったり、凄腕の人物でした。
芸能界の方にも知り合いが沢山いて人脈はかなりある人でした。
私は1日中家に居てもお金がボンボン入ってくるのでやりたいようにやっていました。
某会社の役員の人とはウィルコムの携帯で平日は毎日やり取りをしていたのですが、その方との話はお金の事だけでした。
『今日は幾らあがった⁉️』とか
『このお金どうするか⁉️』とか、私が他の事で忙しい時はこの役員の方がお金を預かってくれているので、後日都内にある喫茶店で落ち合いお金を受け取っていました。
役員の方には私のボスの方からお金を払っていたそうです。
私達のグループは他にも出会い系、株、ロト等の詐欺をしていたので、拠点も東京都内に沢山ありました。
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