2023年のほぼ上半期で良かったアルバムを10枚紹介します。

 2023年は、振り返ると割と多くの作品を聴いていました。とりあえず10枚紹介します。結果的にとても偏った10枚になってしまいましたが、気が向いたら追加したいです。矢継ぎ早ですが、こんな感じでどうぞ。


○『10,000 gecs』- 100 gecs

 とても、とても、心待ちにしていた2023年の新譜。ハイパーポップ界のアイコンと言うべき二人組ポップスユニット・100 gecsは今年のFUJI ROCKで来日しました。めっっちゃくちゃ見たかった。勿論仕事で行けず、更には今年は公式配信がないという不運。辛い。

 アルバムの出来はめっちゃいい。ティーンでハイテンションなポップス、この一言に尽きるんですが俺に刺さりまくる。カラフルなポップスという意味では打ち込み系やニッチなネット音楽の色味を感じますが、ゼロ年代のメロコアやTwently One Pilotsのようなエモみも感じます。まじで最高です。


○『deadpool - EP』- Peterparker69, Jeter & Y ohtrixpointnever

 正月のApple StoreのCMでバズった「Flight to Mumbai」でお馴染み(?)のPeterparker69。彼らが満を辞してリリースしたEP『deadpool - EP』は期待通りのポップネス。日本版100 gecsと例えるべき音楽性とY2Kリバイバルを感じさせるファッション性はアンダーグラウンドなJ-POPシーンの新時代を予感させます。EDM直撃世代の展開するこう言ったポップスがどのような進化をしていくのか。期待大です。


○『Good Pop』- PAS TASTA

 ウ山あまね、hirihiri、Kabanagu、phritz、quoree、yuigotからなる音楽プロジェクト・PAS TASTA。5月3日に渋谷はWWW Xで行われたPAS TASTAの1stアルバム『GOOD POP』のリリースパーティには僕も行きました。馬鹿みたいに盛り上がりまくった。信じられないくらい盛り上がった。Peterparker69と同じくジャパニーズ・ハイパーポップ界の新星というか何というか、まぁそういう枕詞抜きとか打算的な事は一切なくて自分たちの好きなポップスを表現しているのだろうけどもそれが最高です。大好きだ。


○『Quest For Fire』- Skrillex

 この並びで登場するSkrillexですが、100 gecs、Peterparker69、PAS TASTAと言ったミュージシャンを生む原因となった犯人の一人にSkrillexがいる事は公然の事実です。所謂EDM系のダブステップを世に広めた張本人であるSkrillexはアンダーグラウンドなポップス界隈でもかなりの存在感を発揮しています。本作『Quest For Fire』は割と落ち着いたイメージというかトレンドになりつつある2ステップの感触がある楽曲が多くあります。Fred again...やFour Tetとの共作で新たなタームに入った印象が強いSkrillexですが、「TOO BIZARRE(juked)」では名前の通りジューク/フットワーク的な楽曲をやってたりもします。ジャングル/ドラムンベースがリバイバルの兆しを見せる昨今ですが、それらと割と距離の近いジューク/フットワークももしかすると次のトレンドになる可能性があるのかもれません。僕は大歓迎です。


○『Delivery Boy 2099』- Pizza Hotline

 これは、詳細情報は分かりません。YouTubeのおすすめアルゴリズムに導かれるまま聴いた作品で、内容はヴェイパーウェーブ系のアンビエント作品となっています。読書時のBGM代わりによく聴きました。ジャケのサイバーパンクっぽさとPizza Hotlineという名前に引っ掛かりました。話は脱線します。伊藤計劃の虐殺器官にはドミノピザの普遍性という言葉が出てきますが、メタバースという概念を世に解き放ったポスト・サイバーパンクの金字塔であるニール・スティーヴンスンのスノウ・クラッシュではピザ配達、そして言語とウィルスの概念が絶妙に虐殺器官とリンクします。虐殺器官が好きな人は是非スノウ・クラッシュも読んでみてください。


○『UGLY』- slowthai

 サマーソニックへの出演が取りやめとなってしまった事がとても悔やまれるUKラッパー・slowthai。グライム色が引っ込んだ印象のある本作は、Little SimzやLex Amorと言ったカッコいい(勿論、Slowthaiはカッコいい)UKラップの生音系のトラックに近づいた印象。バンドサウンドに接近した『UGLY』はラップに苦手な人にも割と楽しめる内容になっています。かなりいいです。


○『Archetype』- Joe Armon-Jones & Maxwell Owin

 UKジャズシーンのキーマン・Joe Armon-JonesがPuma Blueからも絶大な信頼を置かれるターンテーブリスト(?)のMaxwell Owinとタッグを組んだジャズ/ダンスミュージックをクロスオーバーする作品。ブレイクビーツ、2ステップ、グライムといったクラブミュージック的なアプローチとJoe Armon-Jonesの美しいキーボードが超滑らかに接続されていて控え目に言って最高です。めっちゃくちゃUKらしい。ライブあったら行きたい。


○『Good Lies』- Overmono

 多分今最もクールなUKガラージのデュオ・Overmono。盟友・Joy Orbisonが昨年リリースしたアルバム(本人曰くミックステープ)『still slipping vol. 1』の興奮も冷めやらぬ中リリースされた『Good Lies』は正統派の雰囲気で無敵。DisclosureとBurialの中間というか、DisclosureほどポップではなくBurialほどシリアスじゃない、だからめちゃくちゃカッコいい。という感じで最高。空気感が最高なんすよ。FUJI ROCKに来日してたけど東京でもやってくれないのだろうか。行けなかったからTwitterで撮影されたやつを漁ってました。まじでカッコいい。


○『FINE LINE』- パソコン音楽クラブ

 パ音の新譜です。正直、パソコン音楽クラブはいくつも好きな曲がありますがアルバムを通しで聴く事は今まであまりありませんでした。けれど『FINE LINE』は違った。今までの作品の中でダントツで好きです。PAS TASTAも最高でしたが、アルバムの完成度的には『FINE LINE』の方が高い印象でかなり隙がありません。Disclosureの新譜『Alchemy』も良かったですが、サウンド的には似たよう感じがします。その上で僕は『FINE LINE』の方が好きでした。特に先行シングルだった「KICK&GO(feat.林青空)」が中毒性高くて鬼リピしました。


○『Electric Arts』- Sleep D

 オーストラリア・メルボルンを拠点をするダンスミュージックユニット・Sleep D。ミニマルなトランス・テクノ?と言った感じですが、音のうねりが絶妙で、ミニマルながらに展開していく感じも絶妙です。てかなんか癖になります。適当にディグってた時に、昨年リリースされたシングル『Freak of Nature, Vol. 2 - Single』と出会い、「Border Control (Ahora Sí)」という曲で一気に虜になりました。ちょっとダサいんですが、そこが絶妙にツボ。


 あ、もう10枚みたいです。

 物足りないんで追加を書きます。多分。

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