ロサンゼルスの[ド]変態集団・BRAINFEEDERと日本の最終変態(≠兵器)・長谷川白紙が契約を結んだ事が嬉し過ぎて(個人的にもしくはあなたも)フィーバーが止まらないので好き勝手な事を書くコーナー

 どうも、三度の飯より長谷川白紙が好きな男・加々美透です。耳中華の「思い出を発表するコーナー」にならってここに好き勝手な事を書くコーナーを作ったのは僕です。

 と言うわけで、今回は掲題のとおりBRAINFEEDERと長谷川白紙とそれらに関わる僕の思い出なんかを書き連ねていきたいと思います。



PART1:BRAINFEEDERと長谷川白紙について


●「BRAINFEEDER」ってそもそも何?


 さて、言わずと知れた、ロサンゼルスを拠点とする音楽レーベル・BRAINFEEDER。それは電子音楽界においてAphex Twinに次ぐシンギュラリティと讃えるべき男、主宰・Frying Louts率いる変態音楽レーベルです。

 BRAINFEEDERは電子音楽をはじめダンスミュージックやヒップホップ、ジャズ、ソウルなどブラックミュージックを中心に先進的な音楽をリリースしてきた稀代の音楽レーベルで、今や看板アーティストとなった超絶ベーシストのTundercatやLuis Coleのような謎マルチプレイヤーなどの活躍が目覚ましく、単なるニッチなダンスミュージック・レーベルとは一線を画す稀有な存在です。


●レジデントを務める男、魔人・Frying Louts


 主宰であるFrying Loutsはヒップホップを主軸に電子音楽、ジャズ、ラテン音楽などを融合させた、重低音のアブストラクトかつ独特のビート・ミュージックを展開します。

 初期こそアンダーグラウンド・ヒップホップ界のコルトレーンと讃えられた伝説のビートメーカー・J Dillaの影響を感じさせるStones Throw(ヒップホップレーベル)的な楽曲をリリースしていましたが、その後すぐにミュータント的な変容と進化を遂げ、2007年にリリースされた『Reset - EP』ではタイトルの通りそれまでのJ Dilla的な音楽性がリセットされ、2008年にリリースされた『Los Angeles』では彼の持ち味である「凶暴で掴みどころがなくグロテスクであって夢心地な万華鏡のようなビート・ミュージック」を獲得するに至りました。


 Frying Loutsの音楽性はヒップホップとしてのビート・ミュージックの側面もさることながら、エレクトロニカをはじめとする電子音楽的な色味も多く含みます。

 それはゼロ年代初頭に電子音楽とロック・ミュージックの融合でポップミュージックの解体を図ったRadioheadの首領・Thom Yorkeとも呼応し、そしてそのThom Yorkeも参照したであろうエレクトロニカ界のモーツァルトと呼ばれた鬼才・Aphex Twinの後継者(という言い方は個人的にはFrying Loutsを過小評価している気がして好きではありませんが)とも評される程にエキセントリックなものです。


 実はFrying Loutsは優秀な音楽一家の出で、叔父はかつてジャズ界を席巻した伝説的なサックス奏者・John Coltrane(つまり叔母はAlice Coltrane)だったりします。

 Frying Loutsの作り出す音楽が持つ(邪悪な)万華鏡のような音像は、こういったプリミティブなジャズ体験が根幹にあるのかもしれません。


●日本が誇る最終変態・長谷川白紙という人物について


 そんな魔人率いる変態村に満を辞して加入した、長谷川白紙という若きミュージシャン。このエッセイで度々話題にしてきた(させていただいた)人物なので今更説明するのも野暮な気がします。

 ので、過去の記事を引用して大枠の説明は割愛します。


 □過去記事へのリンク[FFKT2022 #5【長谷川白紙】]

 URL https://kakuyomu.jp/works/16816452218329203330/episodes/16816927862789302844


 大枠の説明(≒ただの恋文)はこのような感じです。

 さて、そんな長谷川白紙ですが、今年の7月下旬に新曲「口の花火」のリリースと共にBRAINFEEDERとの契約した旨を発表し大いに界隈を騒がせました。

 新曲「口の花火」のMVはYouTube上でプレミアム公開され、かくいう僕もTwitter(現X)にて告知を知り、当日は公開と共に動画を閲覧したものです。そして音楽と映像に圧倒されながら、動画の最後に表示された「BRAINFEEDER」の文字に「ッ??!!」となったのでした。


 過去のFrying Loutsへのインタビューで同氏が長谷川白紙の音楽を聴いていることを明かしていましたし、確かに、冷静に検討してみると日本のミュージシャンで最もBRAINFEEDERへの加入の可能性が高かったのは長谷川白紙だったと思います。


●それはまるで「エイリアンVSプレデター」


 夢の直接対決、もとい、夢の共闘。

 純粋に音楽の深淵を求める者たちが、お互いに引かれ合いそして集まっていくさまを見るのはとても感慨深いものです。


 僕が神様と崇め、そして音楽にハマる大きなきっかけ(≒原因)となったFrying Loutsと、今現在もっとも好きなミュージシャンである長谷川白紙がこうして同じレーベルに属して音楽を発表していくこと。

 僕は今後も含めてワクワクが止まりません。



PART2:加々美透の思い出を発表するコーナー


●Flying Loutsの思い出・SONICMANIA 2018


 実を言うと、僕がライブでFlying Loutsを見たのは過去に一度きりです。

 それはSONICMANIA 2018で行われた「BRAINFEEDER NIGHT IN SONICMANIA」です。

 こちらは都市型フェスの代名詞・SUMMER SONICの前夜祭的なイベントであるSONICMANIAにて行われた、BRAINFEEDER系ミュージシャンを集めた特別企画でした。

 

 SONICMANIA 2018は例年にも増してディープなラインナップが揃ったことでも有名で、他にはアメリカのインダストリアル・ロックの雄・Nine Inch Nailsやシューゲイザーの代名詞・My Bloody Valentineといったロックバンドが出演しました。

 メインストリームのミュージシャンとしてはClean BanditやMarshmelloらが参戦し、他にはトロピカルハウス系のDJ・Petit Biscuit、ドラムンベースの大御所・Unkleなどダンスミュージック的な色が強かった感があります。

 兎にも角にも、Trent Reznor、Kevin Shields、Flying Loutsといった凶悪なメンツが揃ったSONICMANIA 2018は今も語り草になっているとかいないとか。


 余談ですが、My Bloody Valentineのライブ前には会場で耳栓が配られていました。またBRAINFEEDERステージでは、事前にFlying Loutsの3Dライブの演出を楽しむ為の3Dメガネが配布されていたりと、配り物が多いフェスでした。


●BRAINFEEDER NIGHT IN SONICMANIAとそのラインナップ


 BRAINFEEDER NIGHT IN SONICMANIAの出演者は以下の様な感じでした。(時間と出演者)


 22:00 Jameszoo

 22:30 Dorian Concept

 23:45 George Clinton & Parliament Funkadelic

 1:15 Thundercat

 2:45 Flying Louts

 4:10 Ross From Friends

 

 はい。今振り返るとすごいメンツです。

 前半はJameszoo、Dorian Conceptといったダンス系アクトで固められており、それは次に控えた大御所・George Clintonへの地ならしとなっています。

 僕はNine Inch Nailsを見に行ってしまったのでJameszoo、Dorian Conceptしか見れなかったのですが、やはりこの二人は凄かったです。


 今でこそBRAINFEEDERはジャズ・フュージョン、ソウルといった音楽がメインを担うレーベルになりましたが、元々はLAの伝説的なクラブ・Low End Theoryを起源に持っているため、当時の主力と言えばクラブ・ミュージックでした。

 勿論2018年の段階でKneebody & Daedelusの『kneedelus』といったIDM/エレクトロニック・ジャズ、Kamasi Washington『The Epic』のような壮大なスピリチュアル・ジャズ、Thundercatの『Drunk』などがリリースされていましたし、単なるヒップホップ/ダンス・ミュージック系レーベルではなかったのですが、今ならここにLouis Coleが入ったりしてもう少し毛色が違かったかもしれません。


●JameszooとDorian Concept

 

 JameszooとDorian Conceptは(記憶が正しければ)マシンライブセットだった気がします。それぞれ時間が短かったですが見応えのある内容でした。


 個人的にJameszooは予習していたアルバム『Fool』の内容が当時の僕にとっては難解で、楽しめるか不安だったのですが、実際のライブはかなりダンス方向に舵を切っており、思っていた感じとは違ってかなり良かった印象があります。


 勿論Dorian Conceptもすごく良かった。

 アルバム『The Nature of Imitation』がリリースされたばかりだったので、こちらを予習していました。

 一緒にフェスに行った先輩との会話で「凄いとかカッコいいって思えるのはDorian Conceptだった」という話しをしたのを覚えています。


●Flying Louts「3Dライブ」


 さて、この会話でなぜ「」という枕詞が使われたかというと、それはFlying Loutsのライブを目撃した後の会話だったからです。


 満を辞して行われたライブ。

 そこで披露されたFlying Loutsのライブは「3Dライブ」と呼ばれるもので、前述の3Dメガネを着用することで映像演出を楽しむ事ができます。

 僕は普段メガネをかけているので、実をいうと3Dメガネを使わないでライブを見ました。結構な人混みだったので、万が一メガネを落とすと大変な事になる気がしたためです(=日和った)。


 Flying Loutsのライブは、それはそれは大迫力でした(音楽の表現としてどうなんだ)。

 JameszooやDorian Conceptは、ダウンビートやダンス・ミュージックという形容詞で語られるべき音楽といった印象でしたが、Flying Loutsの場合はそう簡単な表現では説明ができない難解なものでした。


●ぶっ飛んだ男。その全容と感想


 マシンライブ形式だったのですが、まずはFlying Loutsの立つブース。ネット等で画像検索すれば出てきますが、かなり異形のブースでした。

 例えるなら、森の奥深くに住む魔女の仕事場、もしくは呪術師の儀式。テーブルは大量の頭蓋骨で飾られ、綿のようなものがその上に置かれ、そのテーブルの下には大量のホースと枯木なんかがごちゃごちゃと組み合わさっています。


 悪趣味の塊。いいぞ、もっとやれ。


 そこでFlying Loutsは、壮大な説法を説く大司教のような、それをなぞったイカサマ師のような何とも怪しげな動きをしながらマシンをしばきあげます。

 それはLIVEというよりもSHOWでした。

 めくるめく移り変わる音楽とそのイマジネーション。しがみ付くところのないヌメヌメとした穴にしかしキモ気持ちよく吸い込まれていくような音楽体験。圧巻でした。


 ライブの最後にかかった「Never Catch Me」がフロアにもたらした、横綱相撲と例えるべきシンプルにして凶悪な重低音の連打による熱狂は、そのカッコよさとともに未だに忘れられません。


●長谷川白紙に自分がハマったタイミングと理由を再考してみる


 さて、僕が長谷川白紙に(強烈に)ハマり出したのは、というかその歴は実のところそんなに長くはありません。というか、短い。


 記憶が正しければ、2021年の暮れにCM曲として使われていた「ユニ」を聴いたのがきっかけだったと思います。

 当時僕は、カクヨムで公開している『BALLETROMANTIC』というSF小説を書き始めたぐらいのタイミングで、作品のインスピレーションになるものを探していました。

 そういう状況で聴いた「ユニ」に、心のどこかが引っ掛かり、その引っ掛かっている部分はどこだろうか繰り返し聴く内に、いつのまにか引き返せないところまで行ってしまっていたようです。


 それまでの認知度で言うと『草木萌動』をちょっとだけ聴いたことがあるくらいでした。

 それからKID FRESINOが同年の初めにリリースしたアルバム『20 stop,it』に収録された客演曲「youth(feat.長谷川白紙)」で何となくいいなぁと思っていたぐらいの感じ。

 同曲を、KID FRESINOがNHKのライブ番組でやりましたが、それを見て「ああ、この人があの」と薄らぼんやりと思った記憶があります。


 しかしある日、僕は長谷川白紙とその音楽に恋をしてしまっている自分に気が付いたのです(え?)。

 

●せっかくだし好きなところを(言える範囲で)全部言う


 まずは安心してください。僕は今ようやく真っすぐと前へ歩き始めたところです。

 今の僕には自分の進むべき方向が北極星の概念を発見した航海士のようにはっきりと分かります(ごめんなさいもう少しこのまま行きます)。


 まぁ、過去に全部好きとは言ったのですが、改めて考えてみます。

 

 まずは、とにかく作る音楽が好きです。全曲好きです。

 最近特に好きなのは『エアにに』に収録されている「風邪山羊」という曲です。またBRAINFEEDERから移籍一発目にリリースした「口の花火」も勿論鬼です。

 因みに僕の知り合いは「蕊のパーティ」という曲が好きです。それを聞いてお目が高いと思いました。

 

 次に好きなのは、そのキャラクター性とファッションです。

 カッコいいよね。マジで。ほぼ一目惚れです。


 最後に、ミュージシャンとしての問題意識と主体性の強さです。

 各媒体でインタビューを拝見する機会が多いのですが、その着眼点や姿勢に対して一方的に共感しています。

 そしてインタビューで答えている内容がただのお気持ち表明にならず、長谷川白紙という音楽を通して、踠きながら格闘しながら、確かにそこに生み出されている事が実感できるのです。

 何というか、規模感や大きさの大小こそあれ、同じモノづくりを行う人間として、彼の姿勢に対して尊敬や憧れがあります。そんな長谷川白紙というミュージシャンに、僕は恋焦がれています。


 すみません、あとは言えません。


●印象に残っているライブについて振り返ってみる


 フェスを含めると、約2年間のあいだに6回はライブを見ています。

 

 全部印象に残っていますが、このエッセイでまだしていないライブの話に絞ると、去年の10月に青山・月見ル君想フで行われた「創」というツーマンと、今年の8月にZepp新宿で行われたKID FRESINOとのツーマンが特に印象深かったです。


 月見ル君想フにて行われたツーマンはキーボード一つだけで行われた弾き語り形式のライブで、こちらを静とするなら、相方だったToiret Statusは動。


 というか、騒。


 エグかった。

 あれはカレーかなんかを提供してくれるバーカウンターのある小さなハコではやっちゃいけない音だった。

 Macの限界まで引き出したかのような、エレクトロニカを軸としたノイズとサウンドコラージュのバイオレンス。

 同年にAndy Stottを履修済みとはいえ、あれで耳を破壊される人が出てもおかしくないくらいの音楽体験でした。

 特に良かったのは、照明を落として、地鳴りのするような低音だけで音楽していたところ。ぐあぁんと脳みそが揺さぶられるような感じでキモ気持ちいい。

 あの沼にもう少し浸っていたかったです。


●ライブで泣いてる人を見るのは初めてだった


 Toiret Status改め滝行を終えた僕らオーディエンス一同は、次に長谷川白紙の弾き語りに直面しました。

 僕自身、この形態でのライブは初めてだったので非常に楽しみにしていました。

 

 ライブが始まると、自曲の弾き語りアレンジであったり、カバーアルバム『夢の骨が襲いかかる!』で披露されたカバー曲、そしてそれら以外のカバーなどを演奏しました。

 以前のエッセイでも触れましたが、僕は同アルバムに収録された「セントレイ」が好きで、それをやってくれたのでメチャクチャ嬉しかったです。


 僕は割と前のほうでライブを見ていましたが、ライブの後半、「セントレイ」の次に演奏されたのが「シー・チェンジ」という曲で、これは前述のアルバムに収録された唯一のオリジナル曲でした。


 僕もとても大好きな曲で、うっとりして聴いていたのですが、気づくと隣でそれを聴いていた人が声を押し殺しながら涙を流していました。

 僕は「セントレイ」でだいぶ泣きそうだったのですが、実際にそこまでには至らず仕舞いで、と思っていた矢先に。

 不覚でした(何が?)。


 それこそ僕も「シー・チェンジ」は涙が出てくる程に好きな曲ですが、その人にはその人なりのストーリーがあって、その曲に涙を流していた筈です。


 そんなのって、悔しい。


●そして俺も泣いていた


 今年8月に行われたKID FRESINOと長谷川白紙のツーマンは、とにかくKID FRESINOのライブに圧倒されっぱなしでした。


 あのね、尋常じゃなくバンドが強い。まじで演奏が凄すぎて言葉を失う。

 エネルギーがありすぎる。そのありあまるバンドのパワーと戦えるのはKID FRESINOしかいなかった。


 てかね、ステージの上の振る舞い方がメッチャかっこいいというかカリスマ的だった。達人っぽい雰囲気で、エネルギーの塊みたいなバンドサウンドをひらひらと躱して乗りこなしていく。

 まじで、ここ数年で見たライブの中で一番カッコ良かった。


 ライブの後半でそれは起きました。


 空から、大地を祝福するように透明な雨が降ります。そんなイントロと共にはじめった「youth(feat.長谷川白紙)」。

 舞台袖から、スポットライトの照らすステージの上に現れた長谷川白紙が、KID FRESINOと並びます。その時、


 あれ。


 なぜだ。


 なぜ俺は。

 なぜ俺は、そのイントロだけで泣いている?


 気づくと、僕は泣いていました。

 それは比喩とか誇張を抜きにして、本当に涙を流していました。

 KID FRESINOと長谷川白紙の二人だけ。遊ぶように音楽を奏でている。その様。

 僅か2分ほどの短い歌でしたが、何度も涙を拭いていました。

 あれは不思議な体験でした。

 その昔、血も涙もないと思っていた友人が一緒にシド・ミード展を見に行った時に、その入り口で涙を流していた事がありました。

 それを見た時、まじで明日地球が終わるんじゃないかと思いましたが、僕にとって、それがあの歌だったんだと思います。

 あれです。佐藤究先生の「Ank: a mirroring ape」でキュイという人物がキューブリックの「2001年宇宙の旅」のワンシーンで涙を流したというエピソードが語られますが、それと同じ心境です(伝わらんなこれ)。


 今まで幾度となくライブやフェスに行ってきましたが、泣いたのは初めてでした。とても印象に残っています。



PART3:BRAINFEEDERとその周辺ミュージシャンの作品で好きなもの・オススメのものを紹介したい


●でもBRAINFEEDER系ってめっちゃあるよね


 ってことじゃん。

 なので、オススメを紹介したい。

 

 ここで紹介するのは、全てがBRAINFEEDERからリリースされている作品ではありません。というか、むしろそっちの方が多い。


 BRAINFEEDER作品、もしくはBRAINFEEDERからのリリース歴のあるミュージシャンの作品を中心に好きなアルバムを紹介していきます。


■Dadelus(&Kneedelus)

『Righteous Fists of Harmony』

『Kneedelus』

『L.A. Series 6』

『Labyrinths』

『What Wands Won't Break』


 Dadelusはアブストラクト・ヒップホップやIDMを中心にリリースしています。Teebsとの共作『L.A. Series 6』はローファイ・ヒップホップの感覚で聴くとかなりいい感じです。

 個人的なオススメは『What Wands Won't Break』。バッキバキバキバキで耳ぶっ壊しに来ます。これは音階の付いた打撃音の音楽です。大音量視聴必須。


■Teebs

『Ardour』

『Collections 01』

『E s t a r a』

『Anicca』


 凶悪なラインナップの多いBRAINFEEDER系の中では割と良心的なTeebs。Flying Loutsから毒気(ドギツさ?)をいい感じに抜いたような、何というか安定して美味しい味がします。

 BRAINFEEDERにチャレンジする際には是非Teebsから聴いてみるのをお勧めします。


■Ras G

『Back On the Planet』

『Down 2 Earth, Vol. 4』


 惜しまれつつもこの世を去ったRas G。『Back On the Planet』はまさしくBRAINFEEDER印の癖強名盤なのですが、そのイメージとは裏腹に割とストレートなビートも多くの残しています。

『Down 2 Earth, Vol. 4』はその一例ですが、聴き比べるとより面白さを増します。オススメです。


■The Gaslamp Killer

『Breakthrough』

『Instrumentalepathy』

『Break Stuff - EP』


 Low End Theoryの立役者の一人でありながら、同時にその終焉に向かう原因を作った男。彼の起こした騒動については擁護のしようがありませんが、ミュージシャンとして非常に面白い人物なのは確かです。

『Breakthrough』は実を言うとFrying Louts作品よりも先に好きになったアルバムで、ガラスの破片の中に手を突っ込むようなスリリングさが最高です。ジャケもいい。


■Lapalux

『Lustmore』

『Ruinism』


 エレクトロニカ寄りなビートが特徴的です。メロディも綺麗なものが多く、若干ですがTro Y Moiのようなチル・ウェーブ感もあり、トロピカルな印象があります。僕は結構好きです。


■Gonjasufi

『MU.ZZ.LE』

『Callus』


 関わりの深いミュージシャンとしてGonjasufiを挙げたいです。Gonjasufiは不穏でゴリッとした音像の曲が多く、その怪しい感じが好きです。

 特に『Callus』はスラッジ・メタルをビートミュージックに置き換えた感じというか、そっち系のエクストリーム感が癖になります。ジャケとかThe Bodyみたいでいいよね。


■Flying Louts

『Los Angeles』

『Cosmogramma』

『Until the Quiet Comes』

『You're Dead!』

『Flamagra』


 ボス、Flying Louts。正直全部聴いて欲しい。まじで。

 傾向から言うと、『Los Angeles』、『Cosmogramma』は似たような作風です。グリッチノイズ感のある変態ビートミュージックと言ったイメージ。

 対して『Until the Quiet Comes』は音的には割とスッキリとしていた異色作な感があります。『You're Dead!』が一番だと思っていますが、僕はこの作品が二番目に好きです。とはいえ、最初に聴くなら『You're Dead!』一択と言っていいです。まずはこの作品から出られなくなってください。


■Dorian Concept

『The Nature of Imitation』

『What We Do for Others』


 Ross From Friendsと並んでBRAINFEEDERのダンスミュージックの一翼を担うDorian Concept。割と直球なIDM/エレクトロニカ作品となった『The Nature of Imitation』はかなり完成度が高くて普通におすすめです。

 反対に『What We Do for Others』はストレンジビートなムードのあるダウンビート調のアルバムでいい感じです。


■Ross From Friends

『Family Portrait』

『Tread』

『You'll Understand - Single』


 僕が最初に好きになったのはRoss From Friendsでした。Four Tetっぽさのある安定したIDM/エレクトロニカで、Dorian Conceptと並んでオススメです。

『You'll Understand - Single』はローファイ・ハウスの作品で、僕は割とこのジャンルが好きなのですが推せます。


■Iglooghost

『Neō Wax Bloom』

『Steel Mogu - EP』

『Lei Line Eon』


 好きですねIglooghost。Skrillex以降の音楽という括りがあるとしたら、間違いなくその一部に入ると思うのですが、BRAINFEEDERの中で特に若い音楽をやっているのがIglooghostだと思います。

 BladeeとかTohjiとか、100 gecsとかpeterparker69とか、あるいはTwo Shellとか。そっち系の、僕が大好きなタイプの音楽です。

 

■DJ PAYPAL

『Sold Out』

『Why - EP』


 BRAINFEEDERでは唯一のジューク/フットワークのアルバム。DJ PAYPALはかなり音楽的なジューク/フットワークを作る印象があって、野性的な、その雑味みたいなあじわいごと楽しむようなTEK LIFE系の作品群とは違い、それこそMachinedrumのような音楽的な作り込みを感じます。

『Why - EP』は全曲捨て曲なしのマジで奇跡的な作品。ダンスミュージック史に残る傑作なので必聴。


■Martyn

『Ghost People』


 え、MartynってBRAINFEEDERからアルバム出してたの?。な作品。

 ベースミュージック系のイメージが強いMartynですが、本作はSkee Maskっぽさのあるベーステクノが展開されています。Martynの作品はシングルを中心に集めていたりもするので、関わりは薄いですが推させてください。


■Louis Cole

『Time』

『Quality Over Opinion』


 最近のBRAINFEEDERで最も人気のあるミュージシャンの一人となったLouis Cole。マルチプレイヤーとして歌ったりキーボードしたりベースやったりドラムを叩きまくったりする変人ですが、電子的でディスコチックなファンクを中心に面白い作品を作ります。最近のBRAINFEEDERを知りたい人はここから入ることをおすすめします。


■Thundercat

『Drunk』

『It Is What It Is』


 Frying Loutsと並ぶBRAINFEEDERの顔役として認知度・実力ともにエース級の存在感を放つ変態ベーシスト・Thundercat。

 名盤として名高い『Drunk』など、ジャズ/フュージョンやファンクを基調としたソウル/AORを中心に、Jaco Pastoriusばりの変態的なベーステクを披露する怪人です。

 Frying Loutsと並んでかなりの日本通なのも好感度が高い。おすすめです。


◼️Taylor McFerrin

『Early Riser』


 個人的にBRAINFEEDER作品の中で最も隠れた名盤だと思っているのがTaylor McFerrinの『Early Riser』。エレクトロニック・ジャズとビート・ミュージックがここまで見事に融合した作品は他にないかも知れません。

 ドラマーのMarcus Gilmoreに加え、Robert GlasperとThundercatが共演した「Already There(feat. Robert Glasper and Thundercat)は感涙クラスの名曲です。


◼️Kamasi Washington

『The Epic』


 新しいスピリチュアル・ジャズの星、サックス奏者のKamasi Washingtonがリリースした壮大なジャズ叙事詩がここにあります。

 McCoy TynerやPharoah Sandersを彷彿とさせるジャズ・オーケストラによる大袈裟でエモーショナルな音楽世界がこれでもか展開されています。BRAINFEEDERの転機となったマスターピースの一つです。


●つまり、BRAINFEEDERに長谷川白紙が加わるってことは


 このラインナップに加わるって事なのか?

 まじか? 夢か? これは夢なのか? こんなに嬉しい事があっていいのか? 今ここでか?!

 

 いや、まじで嬉しい。シンプルに嬉しい。まじでおめでとうございます。というか、ありがとうございました。

 本当に。本当に。

 生きてて良かった。



FINAL :最後に、言いたい事言って終わる


 青土社が発刊するムック「ユリイカ」にて、長谷川白紙の特集が組まれた『ユリイカ2023年12月号 特集=長谷川白紙』が11月27日に発売されました。

 それがね、本当に素晴らしい内容で、長谷川白紙というミュージシャンについてあそこまで細く、そして深く考証されたテキスト群には、はっきり言って圧倒されました。

 そんな特集に一方的な対抗心を燃やした結果、このコラムが誕生しました。なので、もしもこれで長谷川白紙に興味を持たれた方がおりましたら、是非買って下さい。絶対後悔しない筈です。僕は満足を通り越して嫉妬しました。

 

 それと、BRAINFEEDERから過去作の『草木萌動』と『エアにに』のアナログ盤がリイシューという形でリリースされます。

 勿論、僕も予約しています。是非チェックしてみて下さい。


 いつかBRAINFEEDERから出るであろうフルアルバムを楽しみに待ちつつ、僕も一日でも早く自分を誇れるような変態になれるよう励んでいきたい思います。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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