第12話
嘘だろ……。
喫茶店でペン子の話を聞き終わった後、僕はまたペン子に夕食に誘われた。
でも、今日はそれを断ってしまった。ペン子の話を聞いて、僕の心がざわざわし始めたからだ。自宅に戻っても、僕の心はまだ落ち着かない。
まさか、気づかれていたとは。
僕もいつか、ペン子に自分の気持ちを伝えなくてはならないのだろう。だから彼はペン子に、そんな風に言ったのだ。
ペン子に助言している自分が、今こうして考え込んでいるなんて……。
でも、伝えられる日が本当に来るだろうか?
そして僕は、あのワンシーンを思い出した。人間に恋したペンギンの話をしたときのことだ。あのとき、僕は彼女について「一途だよなぁ」と言った。
僕もそうだった。
何年も同じペンギンに思いを寄せているのだから。
僕は笑った。
ペン子親子のことだけではなく、自分のこともきちんと考えなくてはならない。そんなことを思い知らされた日だった。
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