第9話

 ペン吉さんのお墓へ行った。私だけで行きたい気分だったので、ペンちゃんはペン介くんに見てもらうことにした。ペン介くんには、本当に感謝している。

 こうしてお墓に行ったとしても、もう二度と会えない。それなのに来てしまう。


「ペン子」


 え?


「ペン子、ありがとう。今もこうしてボクに会いにきてくれて」


 ペン吉さん。

 ペン吉さんの声がする。

 不思議なことに、私はその声が聞こえたことについて全然恐怖を感じなかった。


「ペン志郎しろうも元気そうだね。安心したよ」


 ペン吉さん……。


「ペン子、ボクはペン子とペン志郎の幸せな顔を、いつも見ているからね」


 ペン吉さん……!


「だから、ボクに遠慮しなくて良いからね。もし誰かを好きになったら」


 ……?


「まっ、それに気づくのはいつになることやら……♪ じゃあね!」

 

 それが、ペン吉さんの最後の言葉だった。

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