第5話

ペンギンは、鳥

けれど、飛べない

けれど、泳ぐのが、うまい

そういうわけで、ペンギンは空には、いない

そして、海の中に、よくいる




「ねえねえ先生」

「あら、なあにペンちゃん」

「ぼくたちは、鳥だよね?」

「そうね、私たちペンギンは鳥よ」

「でも飛べないね」

「そうね」

「でも泳げるね。お魚みたいに」

「うん。すーいすいってね」

「でも、お魚食べちゃうね、ぼくたち」

「あはは! そうね!」


 幼稚園クレイシの先生は、ぼくがお話するとニコニコしている。ぼくは、それが楽しくて嬉しい。


「あとね先生」

「はいはい?」

「ペンギンは歩けるね」

「歩けるわね」

「人間と同じ」

「まあ、よく知っているわね!」

「パパから聞いたの。パパが空に行く前に」

「……そう……」


 あれ?

 先生……。

 どうしたの?


「あ、人間って『ヒト』っていう言い方もあるわね」


 あ、いつもの先生だ。


「人間は、私たちよりも速く歩けるし、走れるわね」

「速い……」


 人間。




ぼくは、人間をよく知らない

ペンギンより速い、人間

人間って、何だろう

ぼくは、人間をもっとよく知りたい

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