第13話 善行
「な!」
声をあげようとした千颯の前でシオが「しーっ」と人差し指をたてた。
「さて
からかうような、楽しみをおさえきれないふうな声で、シオが前を見るよう、
青白い光の塊は、自宅の窓から見たキツネの行列だろう。二列に並んだキツネたちは、
息をひそめて、車道から目をそらさずに、ふたりはその光景を見ていた。
行列の先頭が
ず、ず、ず、と、キツネたちの一糸乱れぬ歩調とあわせるかのように、光は、段階的に高さを増していき、やがてそこに巨大な
高さにして五メートルはあるだろう。
そのまま、
整然と進む行列に圧倒されながら、なにを考えることもできなかった。
すると、神輿に腰掛けたお姫様の頭が、角隠しとともに、すっ、と横を向いた。その目は、
目の前にその顔が近づいてきたかのように、くっきりと、お姫様の顔が見えた。
長い列が、
鳥居をくぐるや、行列はどこかに消えていった。
そして、いよいよ、最後の列が、ふっ、と消えた。
「帰るか」
シオはどうということもなさそうに言った。
「なんなんだよこれ!」
「ん、善行」
「ちゃんと説明しろよ!」
なおも怒りつづける
「では、
駅のほうに自転車を置いてきたというシオは、先に歩き出した。
風は、キツネたちの宴が行われているであろう、
「花嵐だな」
シオは、万事を理解しているふうに笑った。
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