呪
北条
母親がオレを身ごもったと知った時、両親ともに泣いて喜んだと聞かされている。あとからそれが鈴鳴と同年代の子供が生まれたことへの喜びだと知って、複雑な気持ちになった。
彼女と顔を合わせたのは1歳とか2歳のころらしいが、あいにくと覚えていない。オレ自身が覚えている最初の記憶は母親の足に隠れようとする彼女の姿だ。
オレの人生は彼女のためにある。
彼女と同じ幼稚園。彼女と同じ小学校。彼女と同じ中学にそして高校。
なるべく彼女と同じ時を過ごすのがオレの役目。
かと言って四六時中一緒にいられるわけじゃない。オレだって生理現象を処理するときがある。今がそれだ。
トイレに行ったオレは用を済まして手を洗い終わったところで顔を上げた。声が聞こえる。それも悲鳴だ。慌ててトイレを後にする。遠くから、生徒たちが逃げて来た。
あぁそうか。来てしまったんだね、北条
遠く曲がり角の先から北条鈴鳴が姿を現す。それは人が逃げ出すのは十分な異形の姿をしていた。
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