元異世界最強は別世界で普通に生きたい(仮)

Mito-tyan

元魔法使いの高校生

プロローグ


 地球とは違う別の世界―テラスト―その世界での最も有名な伝説と言ったら何が上がるだろうか。世界が創造神を中心とした神々に造られたことだろうか?神話だろうか?勇者と魔王の戦いだろうか?英雄譚だろうか?否。その答えは一人の人間の男だ。人々は数多の伝説を作った彼を様々な名で呼ぶ。しかし、その中で一番有名な彼の2つ名は間違いなくこう呼ばれる―大犯罪者―と。


 その昔、テラトスは争いが絶えなかった。数多の国のうちの一つである、クリーツ王国のランドール伯爵家は氷結魔法において圧倒的な力を持っていた。その伯爵家には神童と呼ばれる長男ナギがいた。彼は僅か二歳で言葉を理解し、魔力操作ができた。伯爵家は彼に伯爵家に代々伝わる魔導書や、高位の氷結魔法使いを彼の教育係にして彼を育てた。


 ナギはすくすくと育っていき13歳にして、氷結魔法を極めた。彼はクリーツ王国の謁見の間で椅子に座っていた第2王女であるルーナに一目惚れした。彼女もこの時は彼の事を意識はしていなかったが彼と話している内に彼に惹かれていった。


 ナギはルーナをデートに誘い、王都を回った。小高い丘の上で夕日を見ながら彼女にプロポーズした。<付き合ってください>と。彼女は、はい!と答えた。


 しかし、結婚するには、ナギの身分は低すぎる。王女が降嫁できるのは侯爵までだ。なので彼は彼女と結婚したいの一心で数々の戦にて華々しい功績を残した。やがて、その功績が王に認められ彼らは婚約者となった。17歳になったら結婚しようと彼らは約束した。


 歳月は過ぎ、戦争が減って、クリーツ王国は国土が接している国と友好関係になり、どこの国からも攻め入られずに平和となった。結婚式まで後2年というところで大規模な戦争が隣国であり、友好国でもあるサナード王国で起こった。彼は王命でその戦争に参戦した。敵国を降伏させ、サナード王国に滞在中の彼に入った報告はクリーツ王国が友好国であるロアム帝国に裏切られ、王都を侵略されている。というものだった。


 ナギはすぐその場から離れ、ルーナに無事であってほしいと願いながら王国に帰還した。途中いくつもロアム帝国の帝国軍がいて、攻撃してきたがすべて氷漬けにして、急いで王都に帰還した彼が見たものは道に切り捨てられている兵士や民、そして、帝国兵が集まっている広場でそこのステージの上で生首を並べられている王族だった。その中にはルーナも含まれていた。


 それを目にした彼は怒りに我を忘れ、帝国兵を氷漬けにした。走ってルーナの生首を抱きしめながら涙が枯れるまで泣き、絶望ともっと早く来れなかった自分と裏切ったロアム帝国に強い憎しみを抱いた。


 彼女の生首を大事に抱え、火葬して、ナギが彼女に告白した小高い丘に彼女の遺骨を埋めて、『絶氷アブソリュートゼロ』で絶対に溶けない氷を生み出して墓石にした。さらに、『大吹雪ホワイトアウト』で誰もこの場所に踏み込めぬように。


 そして、自国を裏切ったロアム帝国の帝都に一人で攻め入った。帝国を『氷竜巻アイスサイクロン』を使って、帝都を氷礫の入った竜巻を起こして崩壊させた。


 しかし、皇帝は帝都におらず生きていたため、大軍を率いて彼を攻めた。帝都を崩壊させた大犯罪者を相手にという大義名分をもって。


 彼は抵抗したが、魔法使いの弱点である魔力欠陥を起こし、帝国兵の一人に剣で腹を切られ、倒れた。彼は最後に、自分の体を引き換えに魔力を生み出し、彼の使える魔法の中で一番強い魔法『氷瀑アイスフォール』を使った。そして、その魔法によって、広い面積を持つ水が凍って上から落ちていき、帝国軍に大打撃を与えた。そして、ナギは死んだ。


 ナギの魂はところどころ憎しみで濁っており、このまま輪廻転生の輪に入れるのに問題があると判断した神々は、邪神の如く濁っている魂を浄化させるために、地球の人間という肉体に放り込んだ。そして、神という異例の存在によって、本来なら死産だったはずの子供にナギの魂が定着させられた。


______________________________________

人外転生の話を書いているはずが、現代ファンタジーが急に書きたくなって浮気しました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

元異世界最強は別世界で普通に生きたい(仮) Mito-tyan @Mito-tyan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ