第18話 夏祭りその1
「そーら先輩!待ちましたか?」
「い、いや今来たとこだけど......」
「なんか、これカップルデート見たいですね」
「うっ」
俺は、思わず顔を背けた。
今日は夏祭り当日。行き交う人は浴衣などを来ている。
その通行人でさえ脚を止める程の魅力を甘栗が持っていた。いつも、子供らしい甘栗がこんなにも浴衣で印象が変わるとは、ちっちゃい背は相変わらずなのだが浴衣が清楚風だからだろうかいつもより数段大人っぽく感じる
「で、晴空先輩。浴衣似合ってますかね?」
「あぁ、めっちゃ似合ってます」
「ほ、ホントですか!良かったです」
と、満面の笑みを浮かべる
そして、さっきから視線が痛い
殺気向けられてるよ確実に
「それじゃ、行くか」
「そうですね」
甘栗の浴衣は俺の想像の何倍も破壊力がやばかった。
それから、少し経つ
通路は夏祭りに行く人で賑わっていた。
「わっ」
と、甘栗が通行人にぶつかり倒れそうになるのを受け止める。
顔が近い。てか、いつもよりなんかいい匂いがするような
「あ、ありがとうございます」
と、甘栗は咄嗟に離れる。
その顔は暗闇の中でも赤く見えるほど赤い
「人混みだし危ないし手でも繋ぐか」
「へっ」
と、俺がそう提案すると甘栗は少し考える素振りをした。
それからしばらく手をわなわな動かしていたが
「はい」
と、いって手を差し出してきたのでその手を掴む
すると、甘栗は驚いたように
「そっちですか?こ、こっちにしましょう」
と、甘栗が繋ぎ直した。
それは、恋人繋ぎというものでは無いでしょうか?
恋人繋ぎのせいかそれとも手を繋いでいるからかいつもの距離じゃないせいで肩が当たる。それにめっちゃいい匂いがする。
「うぅ」
甘栗は呻き声を上げた。
そして、しばらく歩いていると祭り会場に着き屋台が沢山並んでいた。
「晴空先輩!色々ありますよ」
「そりゃな」
と甘栗は、はしゃぎまくっている。
「甘栗って夏祭り自体初めてなのか?」
「結衣です」
「ゆ、結衣」
そのルールこんなにも人多いところでも発動するのな
俺はそんな事を思った。
甘栗は満面の笑みを浮かべる。
やべぇー今この場で告白してぇ
「そうですね。初めてかもしれません」
「以外だな。友達と来てるかと思った。」
「いやー私友達多くない方ですけどね」
「見かける度誰か侍らせてるけどな」
「言い方!」
と、甘栗と屋台を見ながら進む。
「晴空先輩。わたあめ食べたいです」
「奢れと?」
「いや、買いに行きましょうって意味なんですけど」
そっちね
と、俺たちはそのわたあめの売っている屋台に向かった。
そこは、60歳ぐらいのおばあちゃんがやっている屋台だった。
「おばあちゃん。わたあめください」
「おー、こりゃーべっぴんさんやな。よし大サービスでデッカイわたあめ作ってやるわい。そこの彼氏と食べなさい」
と、優しそうな声音で言う
まだ、彼氏じゃないですけどね
おばあちゃんはわたあめをどんどん大きくしていく。
「お待ちどうさま150円じゃよ」
「はいどうぞ」
と、甘栗が渡す
「うわーおっきいですね」
「デカすぎだろ」
その綿あめは甘栗の顔に近いくらいのサイズだった。
あの人どんだけ大きな綿飴作ってんだよ
「甘いですね」
と、甘栗は流石にくっ付くと思ったのか綿あめをちぎりながら食べる。
「晴空先輩も食べます?」
と、甘栗がちぎって俺の方へ持ってくる
いや、違うだろ。普通はちぎらせるだろ
なんで、お前がちぎってんだよ。
どうする食べた方がいいのか.....
ん?手で受け取ればいいやん
「甘いな」
「むー」
と、甘栗は何やら怒っている様子だが俺は甘栗がちぎった綿あめを手で受け取った
なんか、どっと疲れたな。俺こんなんで告白出来んのかよ
《???視点》
「ヘタレね」
「ヘタレだな」
「ヘタレ」
と、先程の様子を見ていた。3人組が口を揃えてそういった。
「あそこは手を舐めるぐらいしとけよ」
「確かに」
と、同感し合っている2人にもう1人の大人気な女性が言う
「先輩方流石にキモイと思います。」
「それは薄々言われると思っていたぜ」
と、1人の男は先程の発言で傷付いた様子もなく平然と笑う
「てか、お前らが良く2人でいたのってこういうことかよ」
「そうですね。面白いでしょう?」
「僕は晴空の恋を少なからず応援してるから」
と、はずかしい事を恥ずかし気もなく言う
「おっ?次のシチュエーションが来たぞ」
「これは、絶対に成功したいわね」
と、2人の恋を応援?している3人組は動き出す
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