第3話

不思議な4人でご飯を食べる。


マサキさんとあの子は隣同士。

麒麟さんが話を広げてくれて、場はいい感じ。


「ユウさん、そろそろ。」


と耳打ちされる。

私の麒麟さんで何だかんだ言い訳をつけて、

先に部屋に戻ると言って2人を置いて行く。


「成功しますかね?」


「2人の雰囲気合ってたし、タイミングが合えば付き合えるよ。」


「わあ、良かった!」


そのあと麒麟さんの部屋でお酒を飲みながら、

マサキさんの吉報を待っているとマサキさんが部屋に来た。


「どうだった?」


「…また明日2人でご飯行くことになりました!」


「「やったー!」」


その後3人で飲み明かした。


次の日、この日は自由行動の日と記載されていたが急遽ツアー参加者全員は大広間に集まることになった。


「何だろうね?」


「貸切バスの話とかかな?」


と色々考えていると、みんなが揃う。

その中にはあのアカネもいる。

視界に入らないようにマサキさんと麒麟さんを盾にする。


『急遽集まって頂き、ありがとうございます。』


案内人が大きめの声で話す。


『あと2日で帰国予定だったのですが、異例の天候でいつ帰れるかわからなくなってしまいました。』


え!とみんながざわめく。


私全然お金ないんだけど…、困った!


『飛行機の情報は随時追っているのですがあと2週間近くはここにいないといけなくなってしまいました。』


わぁ…、文無し子はどうすれば…。


『お金が不安な方は私にご相談ください!今は1人部屋の方は相部屋にすればおやすくなります!』


相部屋きついなぁ…。


『のちにこちらからわずかですが返金も考えているので…もうしばらくの間、ブラジルをお楽しみください。』


案内人は今にも泣きそうだった。

まあ、天候のせいだから案内人を責める人はいなかったがみんながお金のことを相談し合っていた。


「ユウさんは、大丈夫?ギリギリじゃなかったっけ?」


「…はい。現金は実は夜ご飯3日分しかないんです。カードもこのツアー代を引いて、残り二週間分泊まるホテル代もないし…。」


「異性でもいいなら、俺の部屋に泊まる?」


「え!悪いよ!気になる子いるってのに…。」


「別にまだ彼女になったわけじゃないから。」


「うーん、でもあの子としては複雑な心境にさせてしまうかもしれないし…。」


「じゃあ僕のところは?」


まさかの麒麟さんが誘ってくれる。


「え!いいんですか!?逆に!」


「困ってる人がいるのに放っといておけなだろう?昨日の今日の仲だけどユウさんがいい人なのは知ってるし。」


「…えぇ、感謝です。」


全く知らない人と相部屋になるよりかは気の知れた人と部屋が一緒の方が良かったので

麒麟さんにお世話になることを決めると、

突然、耳横で


「自己中。」


とあの大嫌いな声が入ってくる。


知らない間にアカネが近くにいて今の話を聞いていたらしい。


「あぁ?てめぇに関係ないだろ?」


「大人なんだから、備える金くらい持ってこいよ。」


また2人で言い合いをし始めると、

ツアーで仲良くなったもの同士私たちを部屋に連れ戻す。


マジであいつ何なんだ。

気分を最低にしてくれる。


あと二週間あいつが近くにいると思うと、

船でも列車でも何でもいいから日本に返してくれと思った。

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