最終話
本物を見れたと思ったのに実際にはなかった。
またパパの仕業だ。
落ち込んでベランダから部屋に戻り、イライラしていた。
すると部屋の中でまた新しく映像が流れ始めた。
妹が好きなアンパンマンたちがパレードしている。
天井に映し出されるパレードを見てキャッキャッ喜ぶ妹。
こんなに喜んでるけど本物じゃないと知ったらどうなるんだろ。
見進めているとバイキンマンがライトから出てくるところで映像が止まった。
なんで止まったんだろう。
と不思議に思い始まるまでボーとみていると
バイキンマンがライトから出てこようとしている。
こんな奥行きのあることできるんだーとみていたら
どん!とバイキンマンが床に落ちた。
え!?
そこからバイキンマンは動かないので起こしてみるとぬいぐるみだった。
でもなんで映像からぬいぐるみが出てきたんだろう。
ガチャっと扉が開きパパとママが入ってきた。
「楽しんでもらえたかな?」
「バイキンマンがおちてきた!」
とキラキラした目で妹が話す。
「お姉ちゃんはどうだった?」
「本物じゃない…。」
パパとママは顔を見合わせる。
私の銀河鉄道は触れるまで本物かと思ったけど
触れたとたん魔法が解けたように現実に引き戻されてしまう。
「ごめんね。銀河鉄道は作れなかったの。でも見ているときはとても楽しそうだったよ。」
「パパがこの映像を作るのは偽物を見せるためじゃなくて二人が楽しい気持ちになってほしくて作ってるんだ。」
私の勘違い。
本物を見せようと思って作ってるわけじゃない。
パパは人を楽しませるためにこれを作っているんだ。
「ごめんなさい、でも銀河鉄道乗りたかった。」
そうかそうかと嬉しそうにパパは私の頭を撫でた。
夢を見させてくれるパパとママ。
わたしが欲張りだった。ごめんなさい。
また銀河鉄道の映像見たいな。
銀河鉄道 環流 虹向 @arasujigram
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