銀河鉄道

環流 虹向

第1話

「それ、本物じゃないじゃん。」


パパのお仕事はプロジェクションマッピングというやつ作ってる人。

でもあれってただのアニメと一緒じゃん。

本物じゃない。


小さい頃は本物だと信じていたけどある時その映し出されたものを触ろうとしたら

真っ黒になって消えっちゃった。

でもさっきいた場所に戻るとそこにある。

ちゃんとは理解できなかったけどそこにないっていうのが分かったの。

触れもしないし、実物がないのに何が楽しいの?


だから私は星を見ることにした。

綺麗だし、実際にあるし、たくさん面白い話があるんだ。

リアルにあるものを見ている方が好きなの。


今日も私の部屋から星を見る。

この間銀河鉄道999を見せられた。

現実にはあんな機関車ないけどあったら乗ってみたいな。

それで沢山の星を間近で見るの。

ま、できないんだけどね。


そんなことをボケーと考えながら夜空を見ていると不思議な流れ星が見えた。


その流れ星はうねうねと動いたり、くるくると回ったりして

いつもの一直線で流れて消える流れ星がとは違った。


こんな流れ星初めて見た!


と胸がときめき、ベランダがある隣の部屋に急いで移動した。

妹がその部屋で外を見ていた。

妹も星空を楽しんでいたのだろう。


ベランダの窓を開けて、さっきの流れ星をみる。

その流れ星はくるくると円を描きふわっと消えていった。

そのあといつもの流れ星がきらっと流れた。


銀河鉄道みたいな星だったなぁ。

もしかして本物かな。


また見れないかと思いしばらく空を見上げて待っていると

またさっきのような流れ星が見えた。

しかもどんどん近づいてきて光の線が太くなってくる。


光から機関車に変わりベランダ前に止まった。


本当に銀河鉄道あったんだ!


嬉しさのあまりたまらなくなって

乗ろうと思い機関車に手をかけた。


スカッ…


手をかけた棒は何度掴もうとしても掴めなかった。

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