最終話

本の中の内容は呪いの解き方についてだった。

呪われた覚えがないと思いこの本も外れかと思ったが

なんとなく目を落とした場所に糸人形という項目が見えた。


あの人形も糸で出来ている。

共通点が糸だけだが見る価値はあると信じそのページを開く。


『糸人形

赤い糸で出来ている糸人形は特に注意すること。

この人形を持っていた人は行方不明になると言われている。

しかし、行方不明にならなかったものはちゃんとした儀式を行いその呪いから逃れられた。


糸人形の供養方法

ハサミで人形を横腹から切り込みを入れ体に沿って切っていく。

そして頭と体部分を切り離す。

体は股側から上に切り右横腹からまた切る。

頭は首から頂点、右頬部分から切りどちらも十字になるように切る。

そして糸人形に使われていた材料全てを燃やしきる。


燃やしきるまで目を離さないでしっかりこの世からなくなったことを確認する。』


と書かれていた。


あの人形も肩から腰に一本赤い糸が使われていた。

家に帰り眺めていた時に見つけていた。


今追われている人形は糸人形と呼ばれている物にとても似ている。

とりあえずこの供養の方法を試してみることにしよう。


ごめんなさい、と謝り糸人形について書かれている供養方法についての部分を破り取る。

とりあえずはさみを探しに受け付けを見に行く。


するととびらの向こうに小さい物体が動くのが横目で見えとっさに隠れる。


あの人形には正面がどちらを向いているか見当がつかない。

今見つかってもハサミがない。


身をかがめ、音を出さないようにハサミがありそうな引き出しを開ける。


あった。


これで供養できると思ったがどうあの人形を捕まえればいいのだろうか。

一気に捕まえた方がいいのだろうかと考える。


身をかがめたまま考えていると扉がかすかに動く音が聞こえた。


受付台でちょうど隠れられているがいつかはまた見つかってしまう。

そうであれば今やってしまおうと心に決め飛び出すと

とびらの真下にあの人形がいた。


なぜか針を持っていなかった。


これが最初で最後のチャンスと思い掴む。


あっけなく捕まった人形。

掴んだ瞬間なにも動かなくなった。


最後の燃やさないといけないので家庭科室に向かい火が付くことを確認した。


あの手順の紙を出し、人形を切っていく。

横腹から切っていき少しすると人形の中身が見えた。


その中身をよく見てみると人毛。

10㎝くらいに切りそろえたものがこれでもかとぎゅうぎゅうに入っている。

だから手順に”素材をすべて燃やしきる”と書かれていたことに納得した。

糸だけではなくほかのなにかも入っていると経験者が知っていたから。


すべて順番通りに切り刻み火をつける。


ちいさくぱちぱちと言いながら燃えていく。

全てが燃え切る瞬間、


「キィ!」


という信じられない大きく高い音を出した。

その音がした瞬間、私の意識はなくなった。



うわぁ!


と目を覚ますと教室の机に突っ伏して私は寝ていた。

朝日が差し込んでいる。


教室の時計をみると6時。


こんな時間にいたら怒られると思い家に帰った。


あの糸巻き人形の記憶はなくなっていてなぜこんなところに疑問をもたずに終わった。

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