番外編・プティの詩作

 「小さなお客さま」


 可愛い可愛いお客さま

 あなたは何処からいらしたの

 くりくりお目々で私を見つめ

 心の内を見透かした


 可愛い可愛いお客さま

 あなたはどうして分かったの

 小さなお手々で私を誘い

 心の曇りを消し去った


 可愛い可愛いお客さま

 あなたがとても愛おしい

 小さな秘密を打ち明けて

 大きな喜び下さった



 「ふむ……。平易な言葉遣いながら、韻の踏み方も整っておりますな」

 ダラット卿は、禿頭をさすりながら微笑んだ。本日のお題は「子どものための詩作」。小難しい言葉は禁止して、小さい子どもにも分かりやすい言葉遣いで詩を詠む、と言うものだ。

 「これに挿絵の一つも添えれば、子どもへの読み聞かせにもよろしゅうございましょうな。では、本日はこれにて終わりにいたしましょう」

 「ありがとうございました」

 礼を述べ、去ろうとしたプティに、卿は独り言のように呟いた。

 「良い詩作でした。心の中が垣間見える、みずみずしい詩でござった」

 褒められた喜びと、心の内が漏れたことの怯えが、プティの中で同時にわき起こった。

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