【I章】第十三話〜火種〜
∬風紀委員総本部∬
—委員長の部屋—
クロサキ「あのな……ここは溜まり場ではないぞ、断じてなッ!」
レツィア「堅いこと言わないの、サクヤ」
クロサキ「こんな密会…バレたらどうなるか」
レツィア「その心配はないから安心してね」
副会長はソファーでごろごろしていた
クロサキ「風紀委員として、学園内のふしだらな格好は処罰対象よ」
脚をソファーのもたれ掛かる所に乗せ、テーブルに寝っ転がっていた
クロサキ「…喧嘩を売っているのか?」
レツィア「靴下はちゃんと脱いでるし」
素足をアピールした——その瞬間
寝ていた彼女の胸ぐらを掴み、覆い被さる勢いで迫った
レツィア「——近いよ」
——互いの息がかかる距離
クロサキ「天然なのかもしれんが、貴女は無防備が過ぎる
私は女だからいいが——異性なら襲われても仕方ないぞ」
レツィア「異性?男ってこと?興味ないから—」
クロサキ「貴女が興味無くても、向こうはそうじゃないって事」
レツィア「何をそんなに心配しているの?」
クロサキ「…最近、学園外伝で暴行事件が多発しているから
…ちょっと重ねてしまってね」
レツィア「隠密かぁ、生徒会にも引き入れたいな…優秀だし」
——音がした
クロサキ「誰ッ⁉︎」
❓「入ってもいいかな」
ノックをしていたが、ドアは既に開いていた
クロサキ「まさかハミルさん⁉︎」
レツィア「“会計”が一体なんの用かしら?まさかサクヤを
ハミル「それもあるよ」
レツィア「さすが会計」
ハミル「けど本題はそれじゃない、入ってもいいかな—サクヤちん」
クロサキ「……彼女のことは気にしなくていいよ、
生徒会長が復帰して浮かれているだけ」
レツィア「—む」
クロサキ「まぁ大体そんな事だろうとは思っていたが」
レツィア「それでなに?別名、神隠しの会計さん」
ハミル「—真面目な事を言うと、とても重要な案件だからね
誰かを通して話す訳にはいかなかったんだよ」
レツィア「生徒会上層メンバーでも?」
——彼は頷いた
ハミル「昨晩起きた一連の事件に関して一つ、
聞いておかなければならない事がある——副会長
ユクシヌという人物、彼と最後に別れたのは何時頃だい?」
あの場所で起きた出来事の全ては報告していない
風紀委員が人質に捕らえられて、副会長の独断で救出した
——大まかにはその程度の事しか伝えていない
ましてやユクシヌの件など知っているのは、わたしと教官の二人だけだ
——次の瞬間、会計が予想もしなかった事を告げた
ハミル「ユクシヌ・ジャイロが今朝、遺体で発見された」
レツィア「—ぇ」
ハミル「遺体発見場所はシュタインブリッジ、
事件が起きたアラノイヤタワーからそう離れていない」
クロサキ「…何が言いたいのですか?」
ハミル「彼は国家防衛の
レツィア「わたしを疑っている—そういうこと?」
ハミル「——最初はね、だって風紀の精鋭を一度に拉致できる奴って
相当限られるでしょ?ユクシヌの仕業かなって
それで怒った副会長が奴を抹殺した」
クロサキ「待って、最初はって事は—」
ハミル「うん、さっきの副会長の顔を見て、犯人じゃないって確信したよ」
レツィア「その話、詳しく聞かせて」
会計から教えてもらった事実は以下の通り
・遺体に首がない
・別の肉片が混在
・血液の抜き取り
・争った形跡無し
ハミル「それと最後に——血塗りで“レツィア”
ベタだけどダイイング・メッセージが残されていたよ」
サクヤが目で合図してくる、話して良いのかを—
わたしはゆっくり頷いた
クロサキ「私が副会長のいた階に到着した時には、誰もいなかった
時刻は深夜1:42分—それから数時間は傭兵部達の処遇に徹していた
その間、副会長と…会長も同席していた
最後に別れたのは朝5:10分で、その場所は学園内宿舎です」
ハミル「そこからアリバイを証明できるのは?」
クロサキ「副委員長シズルギとGM数名とずっと居たわ」
レツィア「わたしは無い、会長ともその時別れたし
同行していたSVもいなかった」
ハミル「十分だよ、まぁ一応この件の指揮官に任命されたからね
君達への事情聴取はあくまで形式的なものだから、深くは考えないでね」
クロサキ「レヴァノイズから学園へ何かコンタクトは?」
ハミル「今の所はないね——隠蔽する準備中かな?
この事が公になれば、政府へのダメージは計り知れない—
レヴァノイズに敗北は許されないからね」
レツィア「一つ相談なんだけど、わたしも調査に加えさせて欲しい」
クロサキ「副会長…?」
ハミル「ふむ、此方としては断る理由はないね—歓迎するよ」
詳細はおって連絡すると残して帰って行った
クロサキ「急にどうした?副会長の職務と両立出来るのか?」
レツィア「ねぇ—ついこの間、わたしが襲撃されたこと話したじゃない?」
クロサキ「あ、あぁ…確か“ロジャーの柩”で偽装してたっていう—」
レツィア「あれさ——本当にレヴァノイズだったのかなぁって」
クロサキ「…どういう事?」
レツィア「アラノイヤタワーで戦ったやつらとは、
強さの質が違った気がしたの…それに本気でわたしを……」
クロサキ「確かランクC〜Bを、全員ランクA +に偽装していたんだったな
なぜ偽装する必要があったのか—」
——サクヤが最後に言った事に、ふと引っ掛かった
レツィア「高ランクに見せかける——レヴァノイズだと思わせるため…?」
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