第十二話〜終結〜

粛正者ジェネラル

六人からなる政府が極秘裏に結成した暗殺集団

コードネームJJ6

魔術師としての才能は皆無だが、個々の戦闘能力が突出している

任務は政府の障害となるもの全てを排除し始末する事

レヴァノイズが表の処理、ジェネラルが裏の処理という扱いになっている


五十嵐「そういう事」


ユクシヌ「排除対象がレヴァノイズとて例外ではない…という事か…」


ダニメラ「…(嘘は通じない…)確かに今回の一件はユクシヌ卿の独断です

しかし!この処遇はあまりにも…ッ」


五十嵐「この騒動も要因の一つだがな、処刑の決め手となったのは

——生徒会長の復帰だ

二年前、政府が粘密に立てて成功させた作戦を

お前の独断で水の泡にした——知っているだろ?

上層部はあの男を、最重要危険対象としてマークしていた事を」


ユクシヌ「……」


五十嵐「—まぁ、それとは別として

自身にかかる危険をかえりみず、あの女ユズリハをレヴァノイズへ

入れようとしたその心意気は誉めてやる——だがあの女は

オレの所有物だ、いや—所有物となる女だ」


——ジェネラルの目つきが変わる


ダニメラ「ユクシヌ卿ッ‼︎ここは私が対処します…その間にレヴァノイズへ

一度戻り、説明をし、——て」


顔全体に生温かい水のような液体がかかった


“ゆくしぬさまの、かおが、なかった——”


ダニメラ「…ぇ?」


五十嵐「ランクA+の優等生が、ランクFに敗北——新聞の一面にしたいぜ」


頭部を闇夜へ放り投げた刹那—消滅した


五十嵐「紹介するよ、“ナイトウォーカー”——オレのペットだ」


闇夜の殺し屋ナイトウォーカー

五十嵐が飼いならす黄泉の亡者

月の無い闇夜にしか存在を維持できないが、夜空に

星すら見えない暗黒の時は、叡幻種に匹敵する戦闘力を発揮する


ダニメラ「……」


足腰の震えが止まらず、失禁していた


五十嵐「あーあ、レヴァノイズも知らない獣を見ちゃったから——

お前も殺さなきゃな?」


——骨の砕ける音がした



∬アラノイヤタワー前広場∬


シズルギ「報告します、拘束した者達の数と身分が判明しました

聖煉傭兵部100人・レヴァノイズ7名、

軽度の精神損傷が確認されますが、全員無傷で生きています」


クロサキ「副会長の事だから皆殺しにしてるかと」


レツィア「わたしがそんな野蛮なことすると思う?」


クロサキ「—いいえ、貴方ならきっとこうすると思ってた」


レイジ「俺がいない間に、随分と仲良くなってんだな」


クロサキ「……貴方が本当に生徒会長とは信じられない」


シズルギ「ぇ?」


クロサキ「確かに生徒会長の顔は、ほんの一部の者しか知り得ない

保安上仕方ない事なには承知している…だがッ!

二年間前にきた臨時教官風情が、学園の……ッ」


レイジ「随分な言われようだな」


レツィア「学園のトップを隠すのは必然、

万が一顔が判れば、他学園から次々に刺客が送り込まれる」


クロサキ「—…この件はここにいる我々だけの極秘、という事にする」


シズルギ「了解です」


レイジ「あぁ、それと明日から…あ、もう今日か—

このまま臨時教官で行くから、護衛つけないでね」


レツィア「正気…ですか?」


レイジ「あぁ、それと言葉づかいも教官の時のままで

これはもう決定事項とする—以上!」


レツィア「……」


クロサキ「この一件で、絶対に外部へ漏れていないとは言い切れません」


レツィア「—わたしが同行します」


レイジ「——」


レツィア「…同行する」


——不意に、彼が耳元囁く


レイジ「それだと怪しまれるから、恋人関係にしよう」


レツィア「—ッ⁉︎」


シズルギ「副会長殿…?急にどうしたんです?顔真っ赤ですよ」


クロサキ「行くわよ副委員長、GMを撤収させて」


シズルギ「え、ぁっ、はいッ」


クロサキ「——レツィア、決着ついたんなら後で聞かせなさいよ?」


その後、軽度の精神損傷があったものの

拉致されていたTS30人、全員の無事が確認された



—翌朝—

〜学園門前〜


男子生徒「お、おい…見てみろよアレ…ちょマジかよ」


女子生徒「キャーッ💘見て見てッあれって、この前の式典上で

説明してくれた超美人さんよッ💕」


手を振ってくれた


女子生徒「はぅぅ💘」


——キュン死したようだ。


他生徒達「でもおかしくね?生徒会メンバーが俺らと同じ通路を使うなんて…」


男子生徒「待て…その横に居るのって…」


レイジ「(笑)」


男子生徒「俺らの担任じゃねぇかッ‼︎」


エリート生徒「正式には新入生(ランクF)専属教官ですね☝️

初日に訓練をボイコットした有名人です☝️」



男子生徒「んな事より…太ももヤベェ…エロ過ぎだろ…」


女子生徒「脚も長いし、スタイル良すぎ…💘それにあの黒い服装って

ランクA専用なのかな?カッコイイなぁ…—キャッ⁉︎」


誰かにぶつかったようだ


❓「前見て歩けや、ノロマ」


女子生徒「なッ⁉︎当たったのは悪いと思うけどッ‼︎そんな言い方—」


❓「ノロマにノロマと言って何か問題でもあるのか?メス豚無能ノロマ」


——平手打ちが上がる


❓「—ッ」


女子生徒「…えっ」


レツィア「こんな場所でケンカなんてみっともないでしょ?」


女子生徒「はぅ…で、でもッ!この男がわたしたちの事を馬鹿にして—」


レツィア「あら君は…」


五十嵐「どうも先輩、式典場ではお世話になりました」


レツィア「誰だっけ?」


五十嵐「五十嵐ハクトです、新入生の」


レツィア「ハクト君、女性は繊細な生き物なの

だから言葉づかいには気をつけてね」


五十嵐「——」


レツィア「さっ、貴女達も見てないで早く学園へ入りなさい」


野次馬達が散らばった


五十嵐「—教官」


レイジ「見なかった事にするから、お前も早く教室いけ」


男は俺から去っていき、副会長の横を過ぎた辺りで止まった


五十嵐「——襲撃の傷は癒えましたか?」


レツィア「……君は」


五十嵐「なんてね、まぁこれから色々あると思いますけど—

全ては運命ですから、悪しからず」


——去って行った


レイジ「何話してた?」


レツィア「…SVを使ってあの男の近辺を調べます」


レイジ「あ、あぁ…任せる」



ここで俺がもう少し深く問いただしていれば——

——あんな事にはならなかったかもしれない

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