第十四話〜尋問〜
レツィア「——今から言うことは貴女を信頼してのこと」
クロサキ「—承知した」
タワー七階で遭遇した人物のことを話した
最初は驚いていたが、わたしが話す真剣な言葉に黙って聞き入っていた
クロサキ「つまりこういう事か、副会長襲撃と
タワーでの出来事は——無関係だと」
レツィア「あの時は違和感なかったけど、会計からさっきの話を聞いて
直感的にね——ユクシヌはわたしを、本気でレヴァノイズに入れたがってた—
けど、以前に襲撃してきた集団は、確実に殺そうとしてきたわ」
クロサキ「…確かに噛み合わないわね…無関係か、それとも……
でも、レヴァノイズに矛先を行くようにして何の意味が…」
レツィア「——Iは今どうしてる?」
クロサキ「地下施設に監禁中だが」
レツィア「彼女に会わせて」
クロサキ「面会謝絶だ」
レツィア「なら生徒会副会長権限を行使する
会わせて——今すぐに」
∬地下牢獄Lv.2∬
Lv.1→軽犯罪等で軟禁
Lv.2→反逆罪等で監禁
Lv.3→殺人等の重罪で徹底管理
地下施設を監視・運営する生徒・教官は全員牢獄官の免許を取得している
フィアノレイス魔術学園の地下には、刑務所と同等の地下牢獄が存在する
収容者は、魔術を発現した者や、一般人以外の特殊な存在に限られ、
運営は風紀委員に一任されている
❓「マスター、お疲れ様です」
クロサキ「彼がここの施設の責任者よ」
❓「初めまして副会長、管理責任者のラットと言います」
握手を求められたが構わず話を進める
レツィア「サクヤ、手間をなるべく省きたいの」
クロサキ「ごめんラット、彼女—男性が苦手なの」
ラットは悲しそうに俯いた
クロサキ「ラット、元生徒会執行部Iの所までお願いするわ」
—独房前—
ラット「今は精神値が不安定な指数ですので、独房の中へは入れません
それから、あまり深くは接しないで下さい
—では何かありましたら、インターフォンで連絡を」
副会長がサクヤへ目で合図する
クロサキ「…—」
管理者が出て行った
レツィア「開けて」
クロサキ「違反行為だ」
レツィア「ならなんでそれを盗ったの?」
クロサキ「……全く」
彼女は渋々、今さっきラットから奪ったカードキーを取り出す
レツィア「ありがと」
クロサキ「—5分、モニターに細工できる限界だ、早く済ませろ」
レツィア「——十分よ」
—独房内—
両手両足は金具で拘束され、口には舌を噛みちぎるにを防ぐためか
何かが入れられていた
レツィア「これじゃあLv.3よね?」
I「……ッ」
どうやら彼女はこちらに気づいたようだ
レツィア「気分はどう?」
I「……」
口内の器具を外した
レツィア「あまり時間がないから、手短に済ませましょう
わたしがなぜここにいるのか—もう解る?」
I「……」
レツィア「—」
瞬間的に接近し、太ももを彼女の股関節へ抉り込ませ、押し倒した
I「がはっ…ッ」
更に首の動脈を握り締めると同時に、魔術で鋭い杭を具現させる
レツィア「—サヨナラ」
何の迷いもない動作で、彼女の眼球へと杭を突き刺す—
I「マ゛ッデ…ッ‼︎」
——眼の表面に触れた所で停止した
I「は…なす…か、ら—」
涙を流し、太ももに生温かい液体が滲み出ていたのを感じた
レツィア「お利口さん、けどね—
少しでも口籠もるようなことがあったら、その瞬間に」
I「イ゛…イ゛、マ゛ズ…いい…ます、から」
握り潰しかけた首筋から手を緩めた
レツィア「—話せ」
I「ハァハァ、ァ、…ぁ—全て…言われた通りに…やっただけ…
そうすれば…私を…副会長の座に、つかせると」
レツィア「何の話?——なら、こちらから聞く
定例会議の帰りに、レヴァノイズに襲撃を依頼したのはお前だな?」
I「それは…私知らない…でも、心当たりは—」
レツィア「——お前の関わったことは何だ?」
I「……NとGの、執行部追放—そして最後は、アラノイヤタワー六階で待機し
現れた者を殺す…こと——それが、副会長になる為の…条件…」
レツィア「……」
どういうこと?確かにこの女は嘘はついていない——
今言ったのが全て真実だと仮定して、そこから導き出されるのは——
レツィア「——最初の襲撃に、心当たりがあると言ったな、答えろ」
I「い、言ったら…殺さ…れる、確実に…」
魔術杭を勢いよく首筋の端に突き刺した
I「イギィィッ⁉︎」
——激痛で仰反った
レツィア「言わなければ、今すぐに殺される」
I「ァ…ぁ、…イ、ヤ…」
杭を首筋から引き抜き、眼球へ振り下ろした
I「Kッッ‼︎‼︎‼︎」
——寸前のところで停止した——と同時に彼女が号泣する
レツィア「……K—」
I「ヒグッ…ひぐっ…Kが…男に…情報を流してる」
レツィア「レヴァノイズ?」
——女が首を横に振る
I「……
レツィア「(初めて聞く名前——)それはなに?」
I「詳しくは知らない…Kの話では…えっと…確か
レヴァノイズとは似て非なるモノ—悪を以て悪を制す存在」
女は尋常ではない程に怯え、震えていた
“ころされる”と何度も繰り返し呟きながら——
レツィア「殺されるって、粛正者に?」
I「Kは…いつも居ると言っていた…直ぐ、近くで—」
——ふと、遠くの方で違和感のある音がした気がした
レツィア「それじゃあ、Kの目的は—」
I「貴女の…勢力を吸収して、執行部を支配下に置き……
この学園の——生徒会長になること」
レツィア「———」
クロサキ「副会長、そろそろ限界だ—急げ」
扉の外から声がした
I「い、行かないで…ここに居たら…殺される…」
レツィア「ここはある意味安全よ」
I「無理よ…殺される……もう、そこまで来てる」
——なぜか、急に悪寒がした
レツィア「サクヤ、さっきの音は聞こえた?妙な違和感の」
クロサキ「音?いや?それより急げ、直に監視カメラが切り替わる」
I「お願い…見捨てない、で…私はただ、副会長に…なりたかっただけ…」
レツィア「——っ」
扉を閉めた
—独房前—
ラット「そろそろ面会規制時間なので、申し訳ございません」
クロサキ「無理を言ってすまなかった、引き続き頼む」
ラット「了解です」
クロサキ「合言葉は」
ラット「ヒグマのカギズメ」
クロサキ「—よし」
——二人は牢獄を後にした
—牢獄前通路—
レツィア「さっきのは?」
クロサキ「暗号よ、本人確認みたいなもの——
それとね、レツィア—さっきの合言葉の有効期限は今日の朝まで」
レツィア「—ぇ?」
反射的に腕時計を見ると、時刻は昼を過ぎようとしていた
クロサキ「今はヒグマのキバよ」
レツィア「…それじゃあ、今のって——」
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