第五話〜決着〜

§粛正すべき断罪の咎§

ランクB ++【審判系列】

風紀委員固有魔術

発動している魔術現象を“一度だけ”初期化する

対象がどのランクでもこちらが優先される


§ 粛正すべき螺旋の咎§

ランクA -【審判系列】

風紀委員長専用固有魔術

発現した魔術を一点にのみ集中させ、軌道上に渦を発生させる事で

貫通力を爆発的に上昇させる

この行使で突破できる防御魔術層は四次元まで



G(魔術同士を連携させる事で隙が無く—)


反撃を掻い潜った螺旋の咎が男の胸を抉る


G「ぐ…ふッ…」



—中央通路—


N「でも宜しいんですか?今止めに入れば、

執行部に非がある事を認める事になりますよ」


レツィア「Gの愚直な性格を考慮すれば、こんな結果すぐ予測できたのに」


N「—確かに風紀委員を失えば、学園の治安は悪くなると思うけど

それは一時的なもので—」


レツィア「なにを勘違いしている?——風紀委員じゃない

Gが無事かどうかだ」


—と、彼女は突然意味不明な事を呟いた


N「今…なんと?」


レツィア「クロサキは現執行部が束になってかかっても—勝てない」


開いた口が塞がらないとは、まさにこの事である



—防護扉前—


G「…やるじゃねぇか…まさかこの俺様に…一撃を浴びせるとはな…」


—彼女の姿が視界から消える

その次の瞬間、回し蹴りが男の傷口へ炸裂する


G「ぐああああああッッ⁉︎」


クロサキ「この程度ですんだ事を、法に感謝しろ

——執行部Gを、拘束する」


シズルギ「了解!」


GMと共に瓦礫の中でうずくまるGへと向かう


GM「…ん⁉︎危ないッッ‼︎」


シズルギ「な⁉︎コイツ⁉︎」


男は周りには目も暮れず、迷いなく風紀委員長へと向かっていく

副委員長こちらに奇襲をかけてきたと思い、

防御動作を取った瞬間の隙を突かれた—


シズルギ「マスター!そっちに—ッ‼︎」


G「死ねぃ‼︎クロサキぃぃ‼︎“血抉る侵羅の鉄槌ジャヴィウォッグ”」


§ジャヴィウォッグ§

ランクA + +(通常B -)【怨念系列】

自身の満身創痍の度合いが高い程、術が強化される

更に、貫通系の魔術で術主が致命傷を負った場合のみ呪詛がかかる


シズルギ「サクヤ様ッッ⁉︎……え?」


侵羅の鉄槌が彼女まで届く事はなかった


クロサキ「ユズリハ…」


委員長の目と鼻の先で男の魔術が停止していたのは—

副会長が素手で、横から侵羅の鉄槌を握っていたからだった


G「—副…会長…?何故…」


レツィア「誰の許可を得てこんな愚行を?」


G「こっこれには…ちゃんとした理由があって‼︎

執行妨害に、副会長襲撃の重罪があり、我々執行部が制裁を—」


レツィア「だから——、一体誰の許可を得ていると言ったんだ」


G「そっ…それ…は—」


クロサキ(あの執行部のGが怯んでいる——無理もないか

あんな怪物じみた殺気を放たれちゃあね)


レツィア「一階の風紀委員達は、全員深傷を負っていた」


G「だッ、大事にならないように奇襲をかけ…一方的に…その」


クロサキ「その言い訳は聞くに堪えない——現時刻を以て

貴様の身柄は風紀委員が預かる」


G「それは不可能だ‼︎執行部である限り、何をしようが介入されねぇ‼︎」


レツィア「——生徒会副会長として命じる、

只今を以て、G並びにN両名を現役職から解任

——生徒会から永久追放とする」


G「…ぇ?」

N「待ってよ!なんでボクも処罰されなきゃいけないの⁉︎」


レツィア「止めれたはずの事象を故意に見逃した、

これはGと同罪に値すると判断した」


N「ならIはもっと罪が重いよ!Gを陰で操っていたんだから!」


G「N…それは一体…どう言うことだ…?」


N「ぁ…いやそれは—」


レツィア「わたしがIを直接尋問する、以上だ」


N「待ってよ!こんな簡単に執行部を—」


レツィア「SV、二人から徽章を剥奪しろ」


SV「はっ——G様、N様、徽章の返納を」


G「ぐッ‼︎SV共‼︎お前らは俺直属のメンバーだろうがッ‼︎」


レツィア「——風紀委員長、もう二人はただの生徒だ

後の全ての判断は、貴女に任せる」


クロサキ「—感謝する」


N「一つ教えて、執行部が一度に二人も辞めるなんて前代未聞だよ

後任とかはどうするのさ!」


レツィア「当面はK、彼一人に任せる」


GM達が二人を奥へと連れて行った


レツィア「全SVは撤収し、持ち場に戻れ」


SV「すみません副会長、我々の中には事情が知らない者も多数います

可能ならば、後日ご説明を—」


ユズリハ「—この件は忘れて——お願い」


SV「……はッ」


何かを察したのかSV達は気持ち切り替え、解散した


クロサキ「——大丈夫?」


レツィア「Kなら大丈夫、次の会議までに—」


クロサキ「違う——手」


咄嗟に後ろに手を隠してしまっていた


レツィア「魔術で相殺した、ただのかすり傷」


クロサキ「(魔術を発動した形跡は見えなかったが…)

——そうか、しかし助かった

あの奇襲速度では捌き切れたかどうか——ありがとう、副会長」


レツィア「元はこちらの部下が起こした不始末だ

負傷したGMたちの治療費と器物破損代は、全額生徒会が負担する」


クロサキ「重ねてありがとう、風紀委員は今起きた事全てを不問とする

——気絶しているGM達には後で説明しておいて」


シズルギ「了解です」



—中庭通路—


SV「副会長?」


レツィア「少し…用事を済ませる、先に…戻っていろ」


SV「…しかし…」


レツィア「命令だ、早く行け」


護衛SVが居なくなり、彼女一人になった


レツィア「……はぁ…はぁ…(少し横になれば—)」


——心臓の音が次第に弱くなっていくのがわかる


レツィア「息…が…でき—」


❓「ユズリハ?こんな所で何をしてるんだ?日向ぼっこか?」


レツィア「だ…ッ誰…?今、は…来ない…で——」


❓「おい!——大丈夫かッ⁉︎しっかりしろッ‼︎」


——意識を失った



—執行部—


K「あぁ、全て予定通りに進行している

貴殿の描くシナリオはやはり興味深い——

しかし目障りだったGとN二人を

こうもあっさり排除できた事は称賛に値するよ

——やはり貴殿の舞台で踊る彼女は美しい

あぁ、わかっている—全ては、

レヴァノイズの為に」

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