否定から入る感想・肯定から入る感想 ~FF16の“世論”を見て~ 前編

 今回、予期せずプレイする事となったFF16ですが、1ヶ月ほど・総プレイ時間70時間程度で無事にクリアいたしました。

 当然、ネットでの情報をシャットアウトした上です。

(メインストーリーと無関係な指名手配モンスターの居場所くらいはカンニングしましたが)

 自分が触る事になるとは全く意識していなかったので、発売前の事前情報すら仕入れていない、完全に頭白紙状態で始められたのは、貴重な経験だったかと思います。

 お陰様で、ゲームそのものも楽しみつつ、こちらの創作論でも何話分かのネタを仕入れる事が出来ました。

 

 さて、サブイベントを全て消化した上でエンディングまで到達し、ストーリーの全容は把握した筈なので、まとめブログなどのネット情報を自分の中で解禁したわけですが。

 これも下書き代わりの近況ノートで散々述べてきましたが、想像以上に辛辣な感想が多く、申し訳ないのですが「少しは行間を読む努力をしたのか?」と思わされる内容も多々、でした。

 確かに、深読みを強いる時点で発信側の怠慢や傲慢とされるのも一理ありはしますが。

 前作15ほどでは無くても、要所要所で言葉足らずなのは、プレイしていて気にはなる所ではありました。

 ただ「ある人物が“唐突”に激昂した」とされるシーンなどは、私としては、それまでに散りばめられていた人物の細かい機微を順当に拾っていけば「まあ、そうなるだろうな」と自然に思えたのですが。

 またラスボスが小者で魅力が無いと言うのも、素直な目で見れば「強大な能力の種族が“神”や超越者を気取っていても、結局は人間と同じで弱い存在だったのだ」と言うテーマが(寧ろくどいくらいに)親切に説明されており、この場合は小者であって正解だと思われます。

 システム面の話ではありますが、FF16には回避や回復、攻撃のコンボをクライヴが自動で行ってくれるようになるアクセサリーが、初期アイテムの中に入っています。

 これらの“装備”で固めれば、確かに戦闘で負ける要素は無くなります。

 これをもって「ゲーム性を放棄した」とする記事も相当数散見されたのですが、少なくともアクションが得意ではない私は「回避のタイミングを教えてくれる」アクセサリーを最後までつけていても、結構苦戦しました。

 あくまでも「教えてくれる」だけなので反応が遅れれば普通にダメージを貰いますし、大技の後の隙を突かれるなどすると教えて貰う間もなく迎撃されます。

 故に、敵の予備動作をある程度は観察しないといけないのはアクセサリー無しの時とそう変わりありません。

 私の場合、回避のタイミングだけはアイテムに補助して貰った分、攻撃のコンボをあれこれ考えて楽しむ事が出来ました。

 回避を自力でやっていたら、どっち付かずになってすぐ飽きてしまったのではと思います。

 逆に、人によっては攻撃をアイテム任せにして、自分は回避や立ち回りに専念する遊び方もしているのかもと思いました。 

 攻撃か回避か、はたまたストーリーだけを見たいのか。自分が何を楽しみたいのか、プレイヤーの各々が微調整させるための措置として悪くはない筈です。

 更に、これらの救済措置が“装備”である事を忘れてはなりません。

 これらを装備するという事は、他のものを装備する“枠”をそれで占領される事でもあります。

 特に後半のアクセサリーには、攻撃力を大きく上げる・技の性能を良くする・クライヴのアクションを強化する、などなど、強力な効果のものが沢山あり、正直三枠では足りないくらいでした。

 私の場合も補助アクセサリーで枠が埋まっていたばかりに、装備の選定にはかなり悩みました。

 このように、貴重な装備枠を圧迫される制約・デメリットがあるFF16がゲーム性の放棄だと批難され、一方でコンフィグ機能からノーリスクで難易度調整が出来る多くの他作品が何も言われないというのは、妙な話です。

 世の中には、主人公も含めた全ての仲間を全自動に設定できるゲームもざらにあります。

 

 何故、たかが救済アイテム一つで作品そのものを無価値と断じるほどの批難が出てきたのか。

 シリーズに対して「グラフィックばかりのムービーゲー」あるいは「ネームバリューに傲った開発陣の自己満足」と言う“結論”が先にあり、

 その結論に収束させる為に、無意識勝つ恣意的に「持論に有利な材料」を手当たり次第かき集めようとした結果ではないかと考えます。

 残念ながら、かく言う私も含めた人間と言うのは、一生懸命になるほど、持論を“勝たせる”為に盲目になりがちです。

 逆に、持論を人目に触れさせた以上、ある程度の所まではそれを支持する責任も生じます。

 人に一言二言反論されただけで覆るような主張ばかりしていても、それはそれで問題ではあります。

 

 ただ、もし私がネタバレを先に見た上でこれらのシーンに直面した時、同じように考えられたか、バイアスに惑わされ無かったかは自信がありません。

 逆に、これらの意見を全く知らなかったからこそ、プレイ中には気づけなかった設定の矛盾や粗もありました。

 リアルタイムで予備知識無しにゲームをプレイしていると視野が狭くなり、案外と与えられた情報を鵜呑みにしてしまうものでもあります。

 繰り返しますが、肯定から入るバイアスと言うのは、否定から入るそれと本質的には似たり寄ったりでもあります。

 正直、ミュトスにドミナントの能力を奪われると召喚獣もクリスタル無しで魔法を使う能力も失うと思い込んでいたので、その後、召喚獣を奪われた仲間が魔法を使っていたのは「クリスタルで、使い慣れた魔法を再現して使っているのかな」と勝手に脳内補完してしまっていました。

 この辺りの「肯定から入った」事による勝手な思い込みは、否定から入った思い込みと本質的には同じ危険性を持つと思います。

 実際、召喚獣を奪われたドミナントでも無理をすれば魔法は使えるし、召喚獣への顕現も出来る、と言うのをゲーム内の用語集機能で初めて知りました。

 余談ですが、この辺の、力を奪われたドミナントの扱いについて有耶無耶なのは、明らかにシナリオの粗だと思っています。

 

 ここまで書いて長くなってきたので、前後編に分けます。

 依然普及率の低いプレステ5の独占タイトルと言う事もあり、FF16の話が長引くと大多数の方は読み疲れそうな気もするので。

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