巨大メカの問題点と対策 その1
アーマード・コア6の発表に浮かれるあまり、次回作の構想が浮かんできました。
あまりにも安直過ぎますが、次回作もまた、VRMMO制度の話として考えております。
とは言え、きっかけとなったゲームの発売まで、まだまだ時間がかかります。
別にアーマード・コアを丸ごと剽窃する心算では無いのですが、ラヴクラフトリゾートの執筆を実際の旅行まで待った時と同じ理由です。
主要人物が乗る機体の設定なんかもほとんど出来上がってしまってるのですが……。
いつもは作品を書き上げた後に創作論のネタに転化していましたが、今回は作品に着手する前にあれこれ書いていこうと思います。
前置きが長くなりましたが、本題に移ります。
現実にAC(アーマード・コア)やガンダムのような巨大メカが、未だ実現する兆しも見られないのは何故なのか?
常套句の「現実は現実、創作は創作」理論で片付けても支障が無いと言えば無いのですが、ちゃんと向き合っても損はありません。
ざっと挙げると、以下の問題点が主かと思われます。
・コストや格納スペースの問題
・強度の問題
・動力の問題
・武器と装甲とのパワーバランス
●コストや格納スペースの問題
ガンダム(初代)の全長が18メートルであるのは有名な話です。
小学生並みの論理で恐縮ですが、よしんば製造は出来たとしても、その後の維持はどうするのか。
しかも作品としての機動戦士ガンダムの場合、モビルスーツ一機につき兵士一人の配分である場合がほとんどです。
作中では増えすぎた人口の対策として行われた宇宙移住政策が戦争の発端となっている……と考えると、兵士の数は現代より少ないと言う事は無い筈です。
ザクやジムなどの“量産機”と言う概念すらあり、作中の描写を見るにどう考えても現代の戦車や戦闘機よりも……ともすれば銃器一挺くらいの手軽さで配布されているように見えます。(※1)
(この際、支配権的なものは度外視して)単純な面積がほぼ無限大でもある宇宙が舞台であるなら、工場やガレージの規模を大きく取る事も可能かも知れません。
先述の通り、機動戦士ガンダムの物語は人口爆発に端を発している事を思えば、逆に作業員を相当人数雇う事は出来るのかも知れません。
私が今構想している作品はVRゲームなので、なおのこと資源やスペースの制約が無く、この辺りの問題はクリアできるかなと思っております。
あるいは、何もガンダムに倣う必要はありません。
エヴァンゲリオンやマジンガーZのような、一握りの人にしか与えられない切り札にしてしまうのも極端過ぎますが、それこそアーマード・コアなどは登場するAC全てが
要は「読者の視点で矛盾無く、巨大メカの戦いが沢山見られれば普及率の低さは問題ではない」と割り切るのも一つです。
●強度の問題
巨大メカの実現の可否を問うのに有名なのが“2乗3乗の法則”です。
仮に同じ構造のロボットなり生物なりの高さ(身長)を2倍にしたとすると、体重も単純に2倍……とは行きません。
面積は4倍となり、重さに至っては8倍にもなります。
身長170センチ・体重60キロの人をビッグライト等で二倍の身長にした場合、身長340センチの、体重は480キロと言う超肥満体になってしまいます。
BMI値にして実に41(通常は18.5~25が標準)で、本来の適正体重は250キロ程度……と、真面目に考えるのも馬鹿げた結果になります。
さて、これを踏まえて再びガンダムを見てみます。
身長が18メートルとなると、バスケ選手など比較的長身なヒトの10倍。
そうなると面積はその100倍、重さは1000倍になります。
しかも当たり前ですが、ガンダムと人間ではそもそも
実際の重量は、人間を引き伸ばしたよりも更に重くなる事でしょう。
そして、二脚タイプの人型メカの実現を阻む事実もここにあります。
ヒトを模した形状である以上、1000倍になった体重をたった100倍の足の面積で支えなければならないと言う事です。
巨大メカの脚部として現実に理にかなってるのが、精々タンク(戦車)型しかないとされているのも、これが原因です。
また、逆説的に、面積が100倍必要であると考えると、ガンダムは本来、大根足はおろか、寸胴のように起伏の無い形状をしていなければならないはずです。
更に、全身これ鉄の塊……と言うと聞こえは良いですが、どこまで巨大化しようと「常識的な金属の範囲でしかない」とも言えます。
そして人間と遜色の無い、機能的な動作を実現する場合、四肢の構造も複雑なものになる事でしょう。
機械が複雑であると言う事は、それに比例して脆弱になる事も意味します。
ただ、この事実は「巨大メカが人型であって欲しい派(何のこっちゃ)」にとっては追い風かも知れません。
腕自体がレールガンだのミサイル射出装置だのレーザーキャノンそのものであった場合、その脆さは目も当てられない事になるでしょう。
しかし、人間の腕を模したそれで、銃など複雑な武器を保持するやり方であれば、まだ腕自体は単純=頑丈な構造を維持できます。
事実、アーマード・コアにおいてはまさしく、腕パーツのカテゴリとして“武器腕”と言うものが存在し、高い威力や速射性と引き換えに、装甲性能は極めて低く設定されており、つまりすぐに死ぬような機体になりがちです。
また、武器が“外付け”であると言う事は、状況に応じて様々な種類を使い分けられる利点もあります。
例えばガトリングガンの武器腕は、ガトリングガンしか撃てませんが、人間の手を模したアームであればガトリングガンもライフルもビームサーベルもシールドも、思いのままに持ち替えられます。
……それでも、人間の五指を模しているだけで充分に複雑であり、USBみたいに規格を統一したジョイント式ならもっと頑丈でお手入れ簡単なのでは? と言ってしまえばそこまでですが。
材質的な強度に関しては、もはや架空のそれをでっち上げるのが無難でしょうか。
事実、今回何かと引き合いに出したガンダムも、架空の合金で出来ていますし。
あとは、架空の材質にしても、物体の常として剛性と柔性があるでしょう。
硬ければ耐久力が高いとは限らない事なども意識したい所です。
また、ビームなどのエネルギー兵器であれば減衰・無効化も容易そうですが、バズーカやミサイルのような実体兵器はそうもいきません。
やはり“単純さ”は、ある側面で力でもあります。
案の定、全体の半分程度を書いて文字数が嵩んだので、もう半分は次回に考察します。
(※1)
敗戦直前のジオン公国が、当時の新型機であるゲルググに学徒兵を乗せて特攻させていたエピソードが今でも印象に残っています。
悲惨な戦況もそうなのですが、新兵未満の学徒がゲルググを一通り(?)使いこなせると言う事実です。
ただ、これにはむしろ、ザクなどの旧型機の操作の癖が染み付いていない新米だからこそ適合出来たという説も聞き齧った事はあります。
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