(書籍化したい人には役に立たない?)プロを諦める事による“物書きとしての”メリット
方々で話す機会があったのですが、私自身は、きっぱりプロを諦めてからの方が、物書きとして飛躍的に伸びたと思っております。(※当社比)
今でも条件に合いそうなコンテストには何となく応募する事もあるので、きっぱり諦めたと言うのは適切では無いのかも知れませんが。(※1)
それは数クリックでエントリーできると言うものぐさな理由もありますが、本気で狙うなら手間隙かけてでも紙媒体の公募に郵送する事でしょう。
実際、学校卒業以降、私も一通りの手段は試みたわけですが、
紙の公募→自費出版→投稿サイトのコンテスト→すっぱり諦めた現在
と、やる気があった時期ほど、作風が、読む側の事を考えていない傾向にあったと思います。
当たり前ですが、どんな分野でも自分の能力に対する絶対の自信が無ければそもそもプロなんて目指さないわけですが、その自信とはやはり慢心と紙一重なのでしょう。
これまた当たり前なのですが、誰しも自分が間違っている(あるいは力が足りない)と思っては行動しません。
何事も、間違いや力不足を認められるのは、行動を起こすよりも後の話です。
自分の全てが正しい、これで過不足がない、と考えている人間と言うのは、自分の書いたものをなかなか添削出来ないものです。
例えばロボットものを書いていて、機体の指先のような細部から、ビームライフルの構造に至るまでの設定全てを本文に盛り込まずにはいられない。
そんなわけで、私の場合も自費出版を計画していた辺りの作品では、特に取捨選択と言うものが全く出来ていません。
サイコブラックあたりの、投稿サイトに出し始めた頃から(あれでも)少しはマシになり、純粋に見識を広げる為にテンプレものに挑戦し出した頃には大分、無駄が無くなったかな? と自己評価しています。
もしかすると、まだスリムにする余地はあるのかも知れませんが。
ある意味で最も拗らせていたのは、自費出版を企てていた時期かも知れません。
自分の個性は正面からは受け入れられないオンリーワンのものであり、自ら売り込めば行ける!
と言う慢心があったのは否定できない事実でした。
結局のところ、描写の取捨選択もせず、全てを盛り込んだ自己満足の作品が受け入れられない事に対する逃げとして見出だした道なのだと今にして思います。
ジャンルがファンタジーである事も災いし、取捨選択が出来ない落とし穴にも綺麗に落ちました。(※2)
物語を書き切るよりも先に、出版前後にどう宣伝するか等の作品とは関係ない事ばかりに思索を巡らせていたのも、今にして思えば逃避だったのでしょう。
大筋のプロットは決まっており、五部構成と言う所まできっちり決めていたにも関わらず、この作品は三部を書き終えた辺りで頓挫しました。
私がなろう系テンプレを書き始めたきっかけでもあるのですが、御託を並べる前にすべき事は、作品をきっちり完走させる事だと、今にして思います。
いかな私生活の転換期だったとしても、作品に絶対的な“確信”があったなら、現実的なリターンを(思い込みであれ)信じて出版を強行した事でしょう。
書籍化を意識しなくて良くなった、と言うのは、そうした“試験対策”による制約にも縛られずに済む事を意味します。
私が幾度と無く主張してきた、本一冊分のボリュームと言うのも、その一つかと思われます。(※3)
よくよく考えると、この理屈は書籍化を目指す場合、不利なのかも知れません。
私も実情にそこまで明るくは無いのですが、複数巻に渡って続編を出している作品が多いように思えます。
死に乙女ゲームなどは、プロを目指していたらまず思い浮かばなかった作品でしょう。ダークソウルのパロディなどという作品は、まず本には出来ません。
また、試験対策とは違った観点からテンプレものを俯瞰して分析出来たのでは無いかとも思います。
そんなわけで、本気で書籍化を目指している方には、やはり前提からして噛み合わない話ではあります。
しかし、諦める事によって得られるものがあったのも、一つの事実ではあります。
急がば回れ、でもありませんが、欲を捨てて見ると却って近道になるやも知れません。
良いアイデアは、余裕の中から生まれる事もあります。
(※1)
まず、手持ちの作品で最も評価点の高いものでも、大体は足切りで落とされる筈なので、受賞は無いものと思っています。
また、今の日常生活を圧迫してまで長期連載をするつもりは無いので、そう言う意味でも、まずご縁は無いかと思います。
じゃあ応募するなよ、と言われれば返す言葉もありませんが。
(※2)
魔法の設定を差別化しなければならない、社会情勢などの大局的な視点になりやすいなどの要因が多い為。
(※3)
今さら、主張の一部を覆すようですが、数冊分に渡る長いスパンでなければ書けない話も存在するのは事実です。
また、私の場合はサイコブラックに対するサイコシルバー(別人物を主人公にした前日譚)だとか邪聖剣チェーンソーのダンジョン編(本編での省略部分を掘り下げ)だとかと言う形で続編を書く事もありますが、このやり方だと恐らく回数を重ねるほどに後付け感が出てくるリスクがあります。
ただやはり、巻をまたぐ事に明確な意図が無い限りは、一冊分で完走した方が身にはなる、と言う事です。
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