第3話 日が昇るまで
「
「何か嫌なものが近づいて来るみたい」
しーと人差し指を
雨の音はもう止んでいた。虫も
そんな静寂を引き裂けるように、聖堂の扉がギーと不気味な音を立てて開けられた。
外の冷気が流れ込んで肌に触る前に、蘭は素早く剣を抜き、ランタンを手に取った。
蘭がその指に注目するとたん、指の主人が息を呑む時間すら与えない速さで襲いかかってきた。
踏み散らされた薪火が無数の火の粉と化して
降り落ちる火の粉が敵の姿を明かした。
獣のような尖がった爪に引っ掻く寸前に跳び退いた蘭が目にしたのは、人の
「ちっ、
正体を見破られた骸食はまた蘭に飛びかかる。起こされた突風は火の粉を消した。
今回も跳び退いて何とか
蘭は骸食の姿が見えない。骸食はランタンの灯りに照らされる蘭をちゃんと見えている。
ランタンの火で骸食を焼き倒したいが、どこを焼けば分からない。例え分かっても、ランタンの小窓を開ける瞬間に疲れの知らない骸食に押し倒される。
苦戦に陥った蘭はだんだん
蘭の背中が
もう一歩も退けない状態だ。
次は
骸食はいったん黒闇に戻り、消えそうになったランタンを提げて差し伸べた手に向かって決めの一撃をしかける。
ランタンを提げていたものは観念して立ち尽くした。
爪がランタンに当たり、後ろへ揺らぐランタンが照らし出したのは、
黒い血を吐きながら何度も
ちょうどその時、主役を照らし出すように、
「燃やしないの?また
梅は蘭の肩を越して骸食をチラッと見て言った。
「そうしたいけど、ランタンが…」
骸食の足元に、ガラスの破片と枠組みだった鉄片が散らされる。
「直せないかしら?運び屋の魔法で何とか」
「運び屋はランタンがないと魔法が使えない。もうダメだ」
「ランタンがないとこれからはどうしよ」
「荷物は無事だ。」
「でもランタンがないと大変じゃない!」
「構わない。まだ剣がある。」
「でも…」
「行こう。ここはもうおまえの村に近い」
荷物の木箱を背負い、蘭は聖堂を出る。
もうすぐ着きそうだ。
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