第14話 混浴!?

「ら、ライリー君! えっと、ど、どうすれば良いかな!?」

「アリスちゃん、落ち着いて。数は多いけど、一体一体は強くないから。先ずは右手から魔物が来ているから……」

「えっと、こっちよね? あ、あれ? 居ないよ!?」

「アリスちゃんっ! それは左っ! ……氷の槍!」


 冒険者ギルドから依頼を受け、魔物の巣の近くまでやって来た。

 最初は、アリスちゃんが時間を稼いで、俺が魔法で倒すという、師匠に教わった通りの動きが出来ていたんだ。

 だけど、魔物が集団で現れた後は、アリスちゃんがパニックになってしてしまい、俺が剣を使って魔物を倒したり、牽制したりする事に。

 幸い、有象無象の集まりというか、数が多いだけで、巣も簡単に壊したんだけど、


「うぅ……私、全然役に立てなかった。ライリー君は、あんなに落ち着いていたのに」


 アリスちゃんがちょっと落ち込んでしまった。


「えっと、俺は父さんに魔物の巣へ連れて行かれた事が何度かあったからさ。あんなに沢山の魔物を初めて見たら、混乱するのも仕方ないよ」


 一先ずフォローしつつ、ギルドへ依頼完了報告を行って、修行場へと帰る。

 夕食を済ませた後、先に風呂へ入って欲しいと言われたので、お湯に浸かりながら、一人反省会を行う。


「アリスちゃんが落ち着いて行動出来るように、俺がもっとリードすべきだったよなぁ……」

「アリスちゃんに合わせようとするよりも、俺が引っ張ってあげた方が、アリスちゃんは戦い易いのかな?」

「もっとアリスちゃんの思考のクセを知らないとダメだな。事前に打ち合わせしていない状況に陥った時、想定外の行動になるし」


 何気に、師匠が事前に言っていた通り、アリスちゃんの事を良く知る事が重要だなと思っていると、突然浴室の扉が開く。

 ちゃんと閉めてなかったのか? と思って扉に目をやると、


「あ、あの……ライリー君。お、お互いの事を良く知る為に、い、一緒にお風呂へ……」


 タオル一枚で身体を隠したアリスちゃんが入って来た。


「え、えぇぇぇっ!? い、いいのっ!?」

「ら、ライリー君っ! た、立ち上がらないでくださいっ! み、見えちゃってますーっ!」

「あ……ご、ごめん。というか、ど、どうしてお風呂へ!?」

「だ、だって……今日は、私がボロボロでしたし。お父さんの言う通り、ライリー君と寝食を共にした方が良いのかと……」


 マジでっ!?

 それはつまり、アリスちゃんと互いに身体を洗いあったり、夜も同じベッドで眠り、あんな事やこんな事も……


「あ、あの……失礼します」


 アリスちゃんが湯船に入って来たーっ!

 しかも、しかも、胸が大き過ぎるからか、俺の背中へダイレクトに当たって……


「えっ!? ら、ライリー君!? ライリー君っ!? どうして鼻から血がっ!? ど、どうしよう……」


 アリスちゃんの焦る声を聞きながら、視界が暗くなっていき、気付いた時にはベッドの上だった。

 くっ……な、何だよっ! 夢なのかよっ!

 どうせ夢なら、もっと凄い事までして欲しかった。

 時間は分からないが既に朝なので、起き上がろうとゴロンと横に転がると、物凄く柔らかい何かに顔が埋まる。

 何だこれ? と、視界を埋める柔らかい物を手で掴むと、指が埋もれていく。

 何故か、いつまでも触りたくなる不思議な感触を確かめるように、何度も手で揉んでいると、


「あ、あの……ら、ライリー君。そういうのは……っ! ……も、もう少し優しくして欲しい……です」


 突然アリスちゃんの声が聞こえて来た。

 おそるおそる首を動かすと、俺が埋もれていたのは、大きな肌色の膨らみで、その少し上には顔を真っ赤に染めるアリスちゃんの顔があって……


「……えーっと、夢……だよね?」

「ち、違いますっ! 昨日、お風呂でライリー君が気絶してしまったので、部屋まで運んで……そ、その、風邪をひかないようにと、パジャマを着せた所で、私も疲れて寝ちゃって……と、とにかく夢じゃないんですっ!」


 改めて見てみると、身体にバスタオルを巻いただけのアリスちゃんが居る!

 というか、そのバスタオルもはだけていて、胸が見えているし、そのまま足の方へ視線を動かすと、


「ら、ライリー君はエッチです」


 さっと毛布で隠されてしまった。

 惜しい……もう少しで、色々と見えたのに。

 けど、この状況はもう、あんな事やこんな事をしちゃって良い……よね? というか、しないという選択肢は無いよね!?

 生唾を飲み込みつつ、先ずはキスしてみようと顔を近付けると、


「アリスちゃん……」

「は、はい……」

「おーい、アリスー! ライリー! どうして、誰も訓練場に居ないんだー?」


 師匠の声が聞こえてきて、大慌てでアリスちゃんに着替えてもらう事になってしまった。

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