第四章:相愛
レッツ・プレイ。
不本意ながら、姫のお出かけに付き合わされることになった。
世間一般ではこういうのをデートと言うと思うが、オレの役目はただの
実際、姫とは恋仲なんかじゃない。
ぶっちゃけつい最近出会ったばかりの、利用する者とされる者の関係だ。
あと、年の差が凄いから。
「で、どこに行くつもりなんだよ?」
「んー。じゃあねー、一番おっきいところの~……ア・ラ・モードタウン!」
「そこでワンピース買いたいのね」
「そういうことー♪」
「はいはい、了解ですよ」
オレの家から出発。ご
一応市内に店舗があるのだが、現在地からかなり離れた場所にある。歩いて行ったら猛暑でコンガリ焼かれてしまうので、公共交通機関を使うことにしよう。
「えー。車で行かないのー?」
「免許持ってねーんだよ、諦めろ」
「うわ、ダサッ」
「ダサくて結構」
「
「はいはい」
「そんなのだから
「関係ねーから、それ」
と、いつもの
夏休みなので、車内は遊びに行く人達で蒸し蒸し
「あぢ~よ~」
「黙っていろって」
席が空いている訳がなく、オレ達は直立不動で耐え続ける。
しかしまぁ、汗まみれで服が貼り付いた姫は相変わらず
って、小学生に色気なんかあるかバカ。そんなこと考えているからロリコン呼ばわりされるんだよオレは。暑さで頭イカれたのかよ。
「ぶはぁ~~っ……暑くて死ぬかと思ったぁ~~……」
「それは同感だ」
「うわぁ、外も暑い。早く中に入ろうよー」
「まったくだ」
蒸し風呂なバスから解放されたオレ達は、直射日光から逃げ出すようにさっさとショッピングモールの中へと体を滑り込ませる。
自動ドアの境目を越えた瞬間、過剰と感じるほどの冷風。じっとり肌を
「うひ~、すっずし~~~♪」
「はしゃぐな、恥ずかしい」
「いいじゃん、あたし子供なんだし」
「ホントお前都合良すぎだな」
大人を手玉に取る小悪魔のくせに素はただの子供。その場に合わせて違う自分に切り替えていて自由なヤツだ。
「ほら、買い物さっさと済ませようぜ。ワンピースの一着や二着、買ってやるから」
「えー。それよりあっち行きたいなー」
言い出しっぺのくせに、
「ゲーセンねぇ……行ったことないなぁ……」
姫が指さす先にあるのは大型のゲーム
ゾンビを倒すシューティングゲーム。
ハンドルを握ってプレイするレースゲーム。
サイリウム輝く中で激しく踊るダンスゲーム。
どこかで見たことはあっても遊んだことのない機体の数々だ。経験値がなさ過ぎて姫と対戦しても負ける気しかしないぞ。
大体ゲームなんて家で一人孤独にプレイするものじゃないのか?もしくはネトゲでオンラインくらいだ。大勢でわいわいやるなんて遊び方、オレは知らんぞ。
「きゃーっ!
ボブヘアーをぽよぽよ揺らして、姫が大はしゃぎで飛び跳ねている。
だから恥ずかしいからやめてくれ。あと目立つから。
「はいはい、どれがやりたいって?…………ああ、コレね」
何かと思ったら、子供向けのゲーム筐体だ。名前は『アイドル☆チャンネル』、略して『アイ☆チャン』。ジャンルはオシャレ&リズムゲームで、一回のプレイにつき一枚ドレスアップ用のカードが排出されるタイプだ。
「ね、ね?お兄さんも一緒にやろっ!やろうよ~!」
すんごい目をキラキラさせやがって。そんなにオレとやりたいか?まぁ今日一日付き合うって約束だからやってやるけど、初めてプレイするゲームだから下手くそだからな。
「んじゃ、コイン入れるぞ」
「わ~いっ!」
いざ、ゲームスタート。
「ぬぉぉおおおおおおっ……負けたぁぁああああっ……!」
そして大敗。
圧倒的点数差で負けてしまった。
おかしい。お互いに初心者用の初期装備のみのドレスでダンスバトルをしたのに……。ということは完全に技量の差なのか。負けてもいいとは思っていたが、月とすっぽん並の開きはさすがに屈辱だぞ。
「うわ~、お兄さんってホントザコだね~。や~い、ザァ~コザァ~コ♪」
「お前絶対これ得意だろ!」
「ぜ~んぜん?あたしも初めてだけど?こんなカード持ってないもん」
「
「ホントだってば~。あたしお
「だったらオレと条件同じなはずじゃねーか」
「だ・か・ら、お兄さんがザコ過ぎるんだってば」
「こンのぉ……
「ふっふ~ん♪いいよぉ?何度でもぶちのめしてあ・げ・る♪」
この後、計二十回。金額にして四千円を散財した上で全敗した。泣きたい。
あと、カードは全部あげた。
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