第3話



「明日はトシの話題で持ちきりだな」

「うるせえよ」

「で、これからどうすんの」

「脱獄する」


 はあ、絶対これだけで終わらないだろうとは思ってはいたが……。その予感は外れてほしかった。また、馬鹿なことをトシは企んでやがる。俺は呆れて呆れて、呆れている。この前脱獄して、大騒ぎになったというのに。また、サツから逃げたりなんかしたら、もう大ニュースとなって明日は大変だぞ。


「いや、そこはおとなしくしとけよ」

「えーー。だって、トイレ行かないと漏れそうって言えば、外に出してくれるし、あれ?居なくなったあ!?なんて焦るサツも面白い」

「サツはトシに甘すぎんだよ、てか、サツ困らせんな」

「ちな、今サツと飲んでる」

「は?」

「オレンジジュース」

「はい?」

「脱獄なんて、ダメよ~って今言われちまった」

「全部聞かれてるんかい」


 外見がまだ可愛いからって、またそんなことしてもらっちゃって。ほんと馬鹿だよ、アホだよ。今度会ったら、どうしてやろうか。何が「脱獄なんて、ダメよ」だ。本気でコイツは脱獄するぞ。実際一度してんだからな。舐めない方がいいぞ、ちゃんと監視しろよな、サツ。


「東京のサツは優しいぜ」


 そして、また、馬鹿な声が電話越しに聞こえてきた。いや、優しいぜじゃねーよ。てか、これからどうすんだよ、脱獄またすんのか?コイツは。というか、脱獄する前にはやく親がなんとかしろよ。はあ、何とかしろ、誰か、ああ、お巡りさんよ、マジスマン。

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