第3話



「君は・・・?」

「ウチ、君と仲良くなりたい」


この出会いがウチら二人の運命を変えることになるとは、まだ知るよしもなかった。



僕の


ウチの


すべきことを、自身の生き方を。





**********



 一年に一度、人間界との扉が開かれる。


 それは節分の日だ。




 我ら鬼は早くから、共に生きる人間のことを学ぶというのに、人間は我ら鬼について全く知ろうとしない。すぐそばで暮らしているというのに。


そうそう、季節は喜怒哀楽で構成されているということを知っているだろうか。表情が変わる時、時空には隙ができる。任務のある者どもはこのタイミングでするりと人間界へ入り込む。


人間が「季節の変わり目に風邪をひきやすい。」というのは、これが所以である。風の邪気は時に人間の正気よりも優ってしまう。


 我らのやるべきことは「仲間を増やすこと」。風邪は、我ら鬼からの贈り物だ。邪気を与えることで、人間は、じきに鬼と化す。…まぁ耐えられた者だけが鬼と成れるのだがな。


だが最近は、医療とやらが発達してきたせいで、完全に鬼となる前に簡単に解かれてしまう。悲しいことよ。



鬼になる前の「ニンゲン」。


あれは結構曲者だ。


本能よりも理性が強く、感情も複雑で…。


なんとも面倒臭い。

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