リリアーヌ・アダムス【零】

 神王の娘であり、異世界最強の女戦士。


 それがリリアーヌ・アダムスだった。



 雛霧 叶月夜こそ異世界最強との声もあったが、かぐや本人の口からリリアーヌはだと言わしめる程だった。



 茶色の髪色の緩くウェーブしたミディアムヘアに、大きな目をしている。

 背丈も150センチほどしかなく、童顔な顔つきだがリリアーヌは神王の娘。

 いわば、リリアーヌも神だ。異世界に誕生した時点から容姿は同じで、年齢と共に容姿が変わることはない。



 元々の性格が、常に謙虚でおしとやかな性格をしているため、皆からは神が遣わせただと呼ばれていた。


 

 次の大戦を待たずに、リリアーヌがいればこの戦いに終止符が打てるのではと皆が期待した。が、アレク王はリリアーヌの出陣は次にすると何故かかたくなに断った。



 リリアーヌが20歳になったある日、神殿に呼び出された。

 神殿内の特別な部屋に入ると、リリアーヌにしか使えない技で父親である神王と会話をする。



「お父様、何か御用ですか?」


「リリアーヌよ。すまない」


「はい?」



 リリアーヌには何故、急に父親に謝られたのかが分からなかった。

 少し動揺をするも、落ち着いた様子で父親に謝罪の訳を聞くリリアーヌ。



「私の愚かな、堕天の王が何者かに討たれた……」


「!? それは現在、大陸に遠征に行っている部隊にでしょうか?」


。事の真意が私にも分からないのだ」



 神王が分からない事があるなんて、あり得ない事態だ。

 リリアーヌは父親の焦っている様子から、堕天の王よりも巨悪が現れたと推測する。



「その者は神王である私の命も奪う気であろう。そして……リリアーヌの命も」


「な!? そんなことでも起きれば世界のバランスが!!」



 次に神王の発した言葉に、リリアーヌは絶句した。

 父親の弟、”堕天の王”は確かに許されない罪を犯した。


 だが、その者が犯そうとしている罪に比べれば、”堕天の王”の罪など軽いモノだと錯覚してしまいそうだった。



「リリアーヌよ。最早、私の力でも時間の問題かも知れぬ。我が愛しのリリアーヌよ。リリアーヌだけでも生き抜いてくれ……」



 リリアーヌの体から魂が神王によって抜き取られる。

 その魂はして、1つはリリアーヌの体の中に。

 もう2つはどこかに消えてしまった。



「リリアーヌよ。もうリリアーヌには以前のような力は無い。魂を3分割させてもらった。リリアーヌと同じ魂を持った者が、この世界以外の世界、に存在することになる。私は何とか巨悪を突き止めて足止めをするが、私の力でもどれだけ足止めができるかは分からん。きっと私の命を奪ったあと、リリアーヌの命も狙ってくるであろう。リリアーヌの事は、に頼んでおく。リリアーヌ、他2名のリリアーヌの魂を持つ者が討たれた時、それはその世界の終わりだ」


 

 リリアーヌは絶句した。”堕天使”を含め神々をすべて殺し、世界を我が物にしようとしているような者がいようとは。父親のことも心配だが、自分の死は世界の終わりを告げる。



 ……なんだかとても眠い。



「リリアーヌよ。すまない。魂を3分割にした後遺症だ。どこにも異常はないはずだが、これからのリリアーヌの生活は厳しくなるであろう。どうか許して欲しい……」





———時は経った



 目が覚めたら神殿にいた。


 私は神殿にいるの?


 リリアーヌは身にまとっていたプレートアーマーを、自身の顔が他の者にバレないように頭までおおった。本能的にそうしなければならないと感じたからだ。


 リリアーヌは顔を隠したまま、王都”アレクサンダー”に戻る。

 王宮付近は何やら騒然としている。


 王宮内から死体がどんどん外に運び出されていく。

 1人の”エルフ族”の男性がリリアーヌを見つけるなり、リリアーヌに泣いて懇願する。


「リリアーヌ様!! 一大事です!! すぐに戦いの準備を!!」


 リリアーヌは男性の目にも止まらない速さで、その場を逃げた。


「戦うってなに? なんで私が戦わないといけないの!」




———約100年後



 リリアーヌは潜伏先をに発見され、無理矢理に王都”アレクサンダー”へと連れていかれた。


 街の皆から白い目で見られながらも、自分を見つけた4人の少女と共に訳も分からないまま、王から将軍に任命された。




「ええ!? 私はただの一般人なのに!! どういう事なの!?」


 リリアーヌには何故か2本の強力な槍を出現させる能力が備わっており、何とか先の大戦で4人の将軍と共に戦いきることができた。







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