第3話 下校嬢降臨!

3-1 シン・騎士令嬢降臨!

———楓花ふうかとの同居生活3日目




 私の名はクロエ・ベアトリクス。


 早朝、小鳥のさえずりで目が覚める。


「おはよう。小鳥さん」


 窓を全開にして太陽の光を全身に浴びる。


 まだ春の陽気があり、心地が良い。


 居候の身である私は楓花の身の回りの世話をする。


 隣の部屋で寝ている楓花を起こし、身支度を手伝う。


 楓花を見送ったあとは鍛練の時間だ。


 騎士である私に鍛練は欠かせない。


 しかし、今の私は百合園家ゆりぞのけの居候の身。


 執事バトラーお手伝いサーヴァントの仕事も鍛練の合間に手伝う。


 私の献身的な姿勢から、この屋敷に住まわせてもらってまだ3日だが、屋敷の皆からの信頼は厚い。


 楓花の帰りを出迎えた後は、楓花の勉学の手助けをする。文武両道の私だ。楓花の家庭教師的な役割も担っている。


 その後、楓花と夕食を共にする。居候の身である私だが、あるじの娘と夕食を共にする私に誰も嫌な顔をしない。屋敷の皆からの信頼のおかげだろう。


 居候の身でありながら私は誰よりも特別扱いを受けている訳だが、屋敷の皆にはそのことを心から申し訳なく思っている。


 夕食後、楓花が風呂を済ませた後、楓花の部屋で楓花が眠りにつくまで話し相手をする。


 私は聞き役だ。楓花の話に笑顔で返答する。


 楓花が眠りについた後、私は外に出て夜の鍛練を済ませ屋敷の誰よりも後に風呂を済ませ眠りにつく。


 これがいまの私の生活だ。




 ……これはクロエの空想うそだ。




———楓花ふうかとの同居生活3日目




 私の名はクロエ・ベアトリクス。


 早朝、小鳥のさえずりがうるさい。


「うるさいですわ!! 焼き鳥にしますわよ!?」


 窓を全開にして鳥共に怒鳴り散らかし、太陽の光を全身に浴びる。


 まだ春の陽気があり、二度寝には持ってこいの時期ですわ。


 居候の身である私は楓花をガン無視し昼過ぎまで二度寝をする。


 昼過ぎに二度寝から起きた私は、楓花の家の執事バトラーを。


 身近にいなければ、お手伝いサーヴァントを呼び食事の準備をさせる。


 この屋敷に住まわせてもらってまだ3日だが、屋敷の皆から白い目で見られている。


 食い物をたらふく食べた後、自室に戻り楓花に買ってもらったテレビをソファに寝転び見る。


 テレビを初めて見た時はかなり衝撃的だった。黒色の鏡に知らない者達や風景が映るなんて……。最初は呪術師シャーマンの怪しい魔道具マジックアイテムだと思い少しだけ、ほんの少しだけ取り乱したが、いまはもうテレビ無しの生活なんて考えられない。


 この世界の文明レベルは私の世界の文明レベルよりも桁違いに高いらしい。

 ぶっちゃけ悔しくもなんともない。便利であれば便利であるほど良い。

 私はシン楽観主義者ポジティブ思考だ。

 何事も楽にこしたことはない。

 

 最初は元の世界に帰りたいと思ったが血迷ったが、今はもうそんなことどうでも良い。

 この世界に永住したいくらいだ。

 

 いま私は、楓花の家来に払わせている課金させた”サブスク”とかいうもので”海外ドラマ”というものを1日中見ている。


 この海外ドラマ、とても面白い。出てくる者達も私のいた世界の者達と同じ顔の作りをしていて妙に親近感が湧く。”ロードオブスローンズ”をシーズン8まで見終わり、今は”ウォーキングゾンビ”というものにハマっている。


 学び舎から帰ってきた楓花は毎日、勝手に私の部屋に入ってくる。私の部屋で勉学や読書をしている。時々話しかけてくるが、私は海外ドラマに夢中なので楓花の話を聞いているをする。


 物語海外ドラマの区切りの良いところで、楓花と夕食を共にする。居候の身である私だが、楓花よりも遠慮なく何倍も食う。屋敷の皆は白い目どころか最早、私にドン引きしている。


 居候の身でありながら私は誰よりも特別扱いを受けている訳だが、私は”ベアトリクス”であり主の娘の友人。当たり前だろう。


 夕食後、楓花よりも先に風呂を済ます。楓花が一緒に入ろうと誘ってきたが女同士でも気持ちが悪いので無視をした。私が風呂を済ませた後、楓花は寂しそうに風呂に入り、また海外ドラマの邪魔をしに私の部屋を訪れる。


 そして夜も更ける前に楓花は寂しそうに自室に戻っていく。


 私は眠気が訪れるまで海外ドラマを堪能し、眠くなればそのままソファで眠る。


 これがいま本当の私の生活だ。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る