第18話・そして嵐はながれを運び・10


 さて。

 砦へ迫る危機に立ち向かわんと、ふたりの少年が謎めいた占い婆にこき使われているのとほぼ同じときです。


「お、おのれ。なんと、しぶとい」

 夜空を彩る月や星すら恥じ入るような衣装をきらめかせ、ぜえはあと息を切らしているランスの市長に、

「こっちの台詞だ」

 魔物相手の腕力勝負が日常茶飯事とはいえ、常識外れの怪鳥男を追いかけ続けためにさすがに息が上がっている黒髪の騎士が応じました。

「ダウフトを放せ」

 双の漆黒に宿った剣呑なひかりに圧倒され、じりと後ずさった市長の腕では、もはや抜ける魂すらありゃしないといった表情の娘さんが、早くこの恥ずかしい状況から逃れたいようと涙を流しています。

 うるわしき補佐官が不吉な予感とともに呟いたとおり、もはや砦じゅうが蜂の巣をつついたような騒ぎになっておりました。

「市長を探せーッ」

「砦総出で血祭りに上げてくれるわッ」

「その前に書類の雪崩へ蹴りこむほうが先だッ」

 武器や松明を手に、がちゃがちゃと行き交う人々の殺気と怒号に混じり、

「ダウフトさまあ、どちらにおられますの」

「ああ、わたくしたちがついていながらこんなことになるなんて」

「き、きっと今ごろ、ランスの変態にあんなことやこんなことを」

「いやーっ」

「そんなのだめーッ」

 自分たちなりに娘さんを探そうと奮闘しているものの、もやもやとたくましくふくれあがってゆく想像にきゃーと嘆く乙女たちの声が聞こえてきます。

 そうして人々の声や足音は、娘さんをはさんで市長と騎士とがにらみ合う養魚池――ある真夏の宵に、どこかの誰かさんたちがしでかしたやんちゃに怒り狂った家令どのによって、「遊泳禁止」「焚火禁止」とありとあらゆるだめ出しが立て札となって並べられた場所へ近づいてきているようでした。


 つまりわたし、このかっこうをみんなに見られちゃうの。


 意地を張り合うふたりの子供に引っ張られる、へたれたぬいぐるみのような己がありさまを思い描き。いやーもうおよめにいけないーと手足をばたつかせて嘆く娘さんを、どっちもどっちな男どもが見やりました。

「何としましたダウフト殿、そのように怯えられて」

「誰が元凶だ」

「何を言う。武骨と無愛想が手を取り合いうふふあははと舞い踊る、きさまのごとき輩に追い回された乙女の恐怖はいかばかりか」

「羽根まみれの変態にさらわれるほうがよほど恥ずかしかろう」

 少しばかり贔屓目で見れば、黒髪の騎士のほうがおおむね事実を言い当てていたのですけれども。

 彼とて目が痛くなるような格好をした市長と同様、レースのリボンを握りしめたまま砦じゅうを駆け回り、目にした人々に恐怖をもたらした男です。偉そうなことなぞ言えた義理じゃありません。

「ギルバートも、市長さんもやめてくださいっ」

 おねがい部屋に帰してーと涙ながらに訴える娘さんへ、断ると無情の宣告を下したのは黒髪の騎士でした。

「後々の禍根、いまここで断つッ」

 月に一度が半月に一度、週に一度が一日に一度、半日に一度。

 砦をおとなうたランスの使者たちが、目に光るものすら浮かべて押しつけてくる天鵞絨の箱こそまさに昏き黎明、原初の混沌そのものを封じこめた忌むべき封印といえました。

 春めいたすみれの香を漂わせながら、愛憎と苦悶とのはざまを狂おしくのたうち回りたくなる内容が胃もたれを起こすほどに暑苦しく語りかけてくるへぼ詩人の手紙を、わずか数行に要約して娘さんに読み聞かせねばならならぬうっぷんがたまっていたのでしょうか。

 いつになくすわった目で間合いを詰めてくる黒髪の騎士に、望むところだとランスのへぼ詩人は正々堂々と応じました。

 そもそも彼こそが、夜陰に乗じて乙女たちの園から無理やり娘さんを連れ出し砦じゅうを大騒ぎに陥れた元凶だというのに、まるで悪びれた様子もありません。

「我が恋路を妨げる無粋の輩、愛の名のもとに成敗してくれようぞ」

「邪恋の手先が何をほざく」

「おのれ言わせておけばッ」

 ぺしりと音を立て、石畳に叩きつけられたのは一対の手袋でした。質のよい皮革で仕立てられ、きらきらと輝く宝石がいくつも縫いつけられたそれに娘さんがきょとんとしたのもつかの間、

「…………そうか」

 たいそう低く呟いた黒髪の騎士が己が業物を鞘から抜きはなったさまに、心底たまげた娘さんがひえええと声を上げました。

 騎士の前で、安易に手袋を放り投げてはなりません。

 なぜなら、それは己が誇りを賭けた男たちの闘いの合図。受けて立たねば騎士の名折れと、後ろ指をさされてもしかたのないものだったからです。

 それゆえに、かぼちゃ頭もランスのへぼ詩人の挑発に応じたのですが――いくさに巻きこまれるまで、ひなびた村でのんきに暮らしていた娘さんがそんなしきたりを知ろうはずもありません。

「おおお落ち着いてくださいギルバートっ」

 このひとは魔物じゃなくて市長さんですと必死に訴える娘さんに、俺はいたって平静だと黒髪の騎士が応じました。

「金ぴかの怪鳥に捕らえられた、むくむくの仔羊がさっきからめえと鳴いて」

「ぜんぜん平静じゃないでしょうッ」

 無愛想ゆえにえらく分かりにくいのですが、意外にも頭へ血をのぼせているらしい騎士のいらえに娘さんが突っこみます。

「ご安心をダウフト殿。あのような無粋者、我が拳にて敗北の味をしかと噛みしめさせてくれましょうぞ」

「その前に市長さんがまっぷたつにされますッ」

 今やすっかり、姫君を守りまいらせんとする騎士きどり。

 「戦闘禁止」「逢引禁止」と書かれた立て札の間に娘さんを降ろすと、ランスのへぼ詩人は不敵な笑みとともにきらめく衣装をひるがえして黒髪の騎士へと向きなおりました。

「かかってくるがいい、北の僻地にしがみつく夷狄めがッ」

 愛は剣に勝つということばを知らんのかと、高笑いとともに市長が懐から取り出した分厚い巻物に娘さんが顎を落としました。

 なぜならそれは、ランスのベルナールそのひとがしたためた珠玉の詩。

 つれづれなるままに綴られた百篇の愛のうたは、もとはといえば娘さんの耳元で囁き聞かせるという実におそろしいたくらみのために用意されたものでした。

 それを黒髪の騎士に向かって堂々と披露しようとは、よほど自信に満ちあふれているのか単なるやけっぱちなのか、もはや何ともいいようがありません。

「さあ、我が愛の前に剣を棄てひれ伏すがいいッ」

「断る」

 漆黒のまなざしに闘志を閃かせて呟いた騎士が剣を構えなおしました。

「きさまに膝を屈するぐらいなら、俺は剣のもとに滅ぶ」

 いずれもとうに二十歳を過ぎた男がふたり、どちらが勝っても恥ずかしい戦いにあくまでも意地を張り通すつもりです。

 冗談抜きです。本気です。おとなげないったらありゃしません。

「やめてーッ」

 砦いちのお調子者が、絶対に見たくねえとうんざり顔で断言したかぼちゃ頭とへぼ詩人の泥仕合。ふたりのあいだに立たされた、世にも哀れな娘さんがとうとうたまりかねて叫んだときです。


 すこーんかこーんと、聞くもすがすがしいふたつの音が夜空にこだましました。


「…………かぼちゃ?」

 風を切ってあらわれたるは、橙色の憎いやつ。

 もはや砦ではおなじみ、手のひらほどのかわいらしいかぼちゃがふたつ石畳に転がるさまにぽかんとした娘さんに、

「ご無事ですか、ダウフト殿」

 凛々しい女騎士のごとく、夜風に美しい銀髪をなびかせながら現れたのはアルキュシアのクロエ、うるわしき補佐官殿でした。

「まさか、貴女に教わった一撃必殺がこんなところで役に立つなんて」

 今やすっかりオード歴代の秘伝を習得したらしい麗人が、安心させるかのように微笑むさまに張りつめていた気持ちがゆるんだのでしょうか。

「クロエさあん」

 思わずしがみつきわっと泣き出した娘さんの背を、銀髪の麗人はやさしく叩いてなぐさめます。

「怖かったでしょう。無理もありません」

 いきなりあれでこれですものねと、かぼちゃの一撃に打ちのめされ、石畳に突っ伏しているふたりの男をはしばみ色の瞳が呆れたように見つめました。

「……クロエ殿」

「頭は冷えまして、エクセター卿」

 どうも近ごろ、乙女ではなくかぼちゃとの接吻ばかりに縁のある黒髪の騎士が鼻を押さえながら身を起こしたところへ、銀髪の麗人は至極冷静に投げかけます。

「いくら市長と遊ぶのが楽しいからといって、ダウフト殿を涙させてどうするのですあなたは」

「いや決して楽しいわけでは」

 むしろ積年の懸案を解決する好機と主張する黒髪の騎士に、しかたのないかぼちゃさんとランスの麗人はふうと溜息をつきました。

「おばさまが案じられるわけだわ」

「奥方が何か、クロエ殿」

「いいえ、何も」

 騎士の問いをはぐらかしたランスの麗人の足元から、地を這うような声が投げかけられました。

「……クロエ。わたしにいったい何の恨みが」

「わたくしへの繰り言よりご自分の身を案じてください、市長」

 すでに砦の皆さまとランスの者たちが怒濤の勢いでこちらに向かっておりますと告げた補佐官に、かぼちゃ嬢の熱烈なる愛のあかしに鼻血をしたたらせたへぼ詩人は大いに慌てました。

「どどどどどどうしたらいいのかねクロエ」

「身から出た錆です、市長」

 まずは執務室で雪崩を起こしている書類をすべて片づけてから、砦の皆さまがたによる鉄拳制裁を骨の髄まで味わっていただくよりほかにはと告げた補佐官へ、そんな殺生なとへぼ詩人は情けない声を上げました。

「そんな事態が起きては、交渉の決裂は目に見えて」

「ご安心を。臨時評議会にて全会一致で可決いたしました」

 町の再建と東の砦との友好関係を最優先事柄とみなした、ランスの貴族や商人たちや補佐官一同からなる寄り合いの結果をさらりと伝えた補佐官に、黒髪の騎士が怖れるようなまなざしを向けました。

 砦の人々の怒りを鎮めるためには、怪鳥男すら供物のごとく差し出してみせる政の無情を麗人のなかに見たのかもしれません。

「……そのう、怒っているのかい。クロエ」

「ええ」

 おいたが過ぎるのにはもう慣れっこですけれどと呟いた補佐官が、そこできっと市長を見すえました。

「いくら宮廷を欺くためとはいえ、あなたひとりでこんな無茶をして」

 おばさまをはじめ、砦の方々が大らかだったからこそよかったもののと、はしばみ色の瞳に厳しいひかりを浮かべた補佐官に、いやエーグモルトの間者がとランスの市長は鼻血をぬぐいながら続けます。

「執務室まで忍びこんだ勇気をたたえ、簀巻きにしてわたしの詩を耳元で囁くように読み聞かせてやったのに」

 本気で間者を歓迎していたらしいへぼ詩人と、彼に捕らえられた哀れな男の末路を思い描いた娘さんが、それらを打ち消そうと慌てて頭を横に振りました。

 穏やかならぬ事態だというのにどうも緊張感に欠ける雰囲気は、もしかすると東の砦とランスの双方に共通したものかもしれません。だから仲良しになったんじゃと、政のからくりなどまるで知らぬ娘さんとて首を傾げずにはいられません。

「あれを早急に持ち帰らねば、ランスはいつまでたってもエーグモルトにいびられっぱなしだ。大公と宮廷の取り巻き連中に、市政へ嘴をはさまれるなんて冗談じゃない」

 ソーヌの脂樽になぞ乗りこまれた日にはとぼやく市長に、それまで呆れ果てた表情で彼を見やっていた黒髪の騎士がわずかに眉を動かしました。

 至聖の静謐と祈りより、俗世の富と権力をこよなく愛する司教どのは、<大公の腰巾着>と呼ばれアーケヴの各地ですばらしい評判を得ていたのですが、かの御仁の執心はエクセターばかりではなくランスにも及んでいたようです。

「だからといって、あなたが自ら出る必要がありましたの。ベルナール」

「そもそも、あれを盗まれたこと自体がわたしの落ち度だ、クロエ」

 先ほどまでの奇人変人ぶりはどこへやら、真顔になったランスの市長が己が補佐官を見つめました。

 ふだんからこうやってまじめなところだけを見せていたならば、もとの端整な顔立ちも相まってさぞご婦人がたの心をときめかせたことでしょうに。

 日頃の奇々怪々なるおこないに加えて、流血の惨事を阻止するべく両鼻にしている詰めもののせいで、端正さもまじめさもかなり下方へ修正されてしまっているのはある意味気の毒といえました。

「ランスがあれを喪ったことを、宮廷はとうに把握している。先の市長をそそのかしたのはエーグモルトからの間者だったのだから」

「ベルナール、どうしてそれを」

 驚きに目を見張る補佐官へ、わたしにもつてがあるのだよと若き市長は鼻に詰め物をしたまま胸を張りました。

「理由はいろいろあるだろう。大公お気に入りのモンマスやディジョンへ特権を与えるには、うちがいちばん邪魔だから」

 あれの件は、足を引っ張るには格好の材料だろうとつけ足した市長でしたが、

「だがあれは、ランスが抱えるべき秘密だ」

「ベルナール」

「うつし世と異界を隔てる門の鍵を託されし者、それがランスの長だ。我らが町を救いたもうたまことの王と情け深きユーラリアの名にかけて、何としてもあれを取り戻さなくては」

 円卓のもとになべてのものを等しく治めた伝承の王と、魔物にみずからを捧げんとし、やがて町の母となった姫君の名をへぼ詩人は挙げました。

「だからこそきみを市長代行に指名して全権を一任し、ダウフト殿への愛を讃え自由を謳歌しながら東へと旅してきたというのに」

 まさか街道の端っこで待ち伏せを食らうとはとぼやいた市長に、当たり前ですとうるわしき補佐官は柳眉をつり上げました。

「どこの世界に、『風が呼んでいる』などとのぼせた走り書きを残して行方をくらます領主がいるのです」

 置き手紙の内容にひきつけを起こした評議会の長老たちをなだめすかし、もともと砦へ赴く予定であった使節団を日程を繰り上げて出立させ、気ままな市長を捕らえるために罠を張りめぐらさねばならなかった補佐官の苦労は並大抵のものではなかったはずです。

「やはりランスの政は、クロエ殿あってこそか」

 呆れ顔で呟いた黒髪の騎士を、ええいそこお黙りとばかりにへぼ詩人が睨みつけたのですが、

「市長さん、あんまりクロエさんに心配をかけすぎないないほうがいいと思います」

 おずおずと発せられた、娘さんのひとことに若き市長はたいそう驚いた表情を見せました。

「ダウフト殿」

「だって、クロエさんはいつも一生懸命です」

 いったい何を言い出すのかと、はしばみ色の瞳を丸くする麗人に微笑むと、彼女から離れた娘さんは石畳に転がったままのかわいらしいかぼちゃをひとつ拾い上げてみせました。

「<かぼちゃの接吻>、ほんとうはけっこう難しいんですよ。わたしは全然だめだけど、クロエさんはすぐに三連撃を覚えたぐらい」

 おばあちゃんならきっとお弟子さんにしたがったと思いますと笑う娘さんを、三対の異なるまなざしが見つめたのですが、

「それって、誰のためだと思いますか」

 本来は乙女の身を守るためのわざなのに、娘さんにそのことを言われて初めて気がついたわけは。

 市長代行として全権を任されながら、後顧の憂いなきようにとすべての手はずを完璧に整えてから、お気楽なあるじを追いかけて東の砦まで赴いてきたわけは。

「クロエ」

「違いますッ」

 ことばとは裏腹に、朱のごとく染め上げられた頬にも気づかずに、ランスが誇る麗人は市長へと向きなおりました。

「だいたい、あなたときたら子供のころからいつもこんなことばかり」

 お母さまやお姉さまの羽根飾りといい、ブリー男爵のご子息が泣いて土下座するまで押しかけた件といいと、幼き日の市長がしでかした破天荒なふるまいを、アルキュシア家の令嬢は次々と並べたててゆきます。

「あなたが騒ぎを起こすたびに、わたしがどれだけ冷や冷やさせられたと思っているの。市街戦のときだって」

「いやあれは、きみがいるべき場所ではなかっ」

「わたしのことなど問題ではないでしょうッ」

 本当は、わたしを逃がすと決めたあなたに平手を見舞ってやりたかったぐらいよと、うるわしき補佐官は有無を言わせぬ勢いで続けます。

「でも、砦の皆さまに救い出されたあなたを見てやめました。ぼろきれのようになって気を失っているくせに、ランスの自治と独立をうたった王の憲章だけは、握りしめたまま絶対に放そうとしなかったんですもの」

 ほんとうに呆れるわと、今にも泣き出しそうな美しい顔をうつむかせたのですが、

「とにかく、あなたを放ったらかしにできるわけがないでしょう」

 でもそれと今回の騒ぎとは別ですからねと宣言した麗人に、ああっやっぱりきみは無情だーッとへぼ詩人が盛大に泣き崩れたときでした。



 ざわりと、全身が総毛立つような感じを娘さんは覚えました。

 同時に、人間たちの珍事には今までだんまりを決めこんでいた<ヒルデブランド>が目覚めるなり警告を発します。


 魔物――それとも魔族?


 違います。

 砦や町をいたずらに荒らし回ろうとする小鬼たちとも、帰らずの森で遭遇した<けもの>とも違います。

 昏き深淵からひたひたと這い上がってくるかのような気配も、この地すべてに生きる人間たちへと向けられたうらみすらも、いずれもが今まで娘さんがいくさの中で知った異形たちとはるかにかけ離れています。


「ダウフトッ」

 剣と生きるものの勘で、異変を察した黒髪の騎士が鋭く声を発したそのときです。



 永の歳月を、望まぬ眠りに就かされた怒りが咆哮と振動となって夜空に轟きました。

 養魚池の水面を割り、蔓とも触手ともつかぬものを幾本も中空へと伸ばしたそれが、かつて己を封印へと追いやったもの、今はとうに塵へと還ったうつろうものたちの気配を感じ取ったのでしょう。何かを探るかのように揺らめいていた幾本もの触手が目指すものに向かって伸ばされてゆきました。

 生贄の羊として現れながら、小癪にも冥界の海より渡り来たものに戦いを挑んできたユーラリア――ランス市初代の長となった姫君の面影を残すものへと。


「クロエさんっ」

 娘さんの叫びに、うるわしき補佐官の悲鳴が重なりました。

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