第15話『犯人は、クロノ!【勇者】』

「そうだ。それと一つい良いか、セーラ」

「ええどうぞ」

「まぎらわしいから、クロノはぜんぶクロノ」


 死んでようが生きていようがクロノだ。

 弟も兄も妹もパパもママもぜんぶクロノ。

 想像したらくらくらしてきた。目がまわる。


「いいですよ双子なら誤差ですからね。平民ですし」

「さすがセーラだ。ボクの助手だ」


 セーラのいうとおりだ。まるで誤差。

 くべつする必要性は完全にゼロ。


 それにしてもさすがセーラだ。

 とても頭がよい。ボクの助手にしなきゃ。

 ちなみにセーラはボクの嫁ではない。助手だ。


「セーラ、キミには名探偵の助手をまかせたい」

「もちろんですよ何なりとご随意に」


 話が早い。まるで秒だ。早すぎる。

 大聖女助手セーラ。かしこい。

 死んだクロノ、見てるか? これがセーラだ。


 クロノ、キミの弟をキミのもとへ送る。

 兄弟で見守ってほしい。地獄の底から。


 呪われたクロノの一族の因縁はボクがたち切る。

 この、聖剣カリバーンでズバーンとね!


「私、逃走の手助けをするよう言われていたのですが不要ですね?」

「うん。ブッチしろ。ごめんだけどキミのパパ上はボケている」

「ですね」


 娘にまであきれられてるなんて。とほほだ。

 パパ上は引退してひなたぼっこしていてくれ。


 凶暴なボケ老人には教会はまかせられない。

 孫の顔みることしか考えていない。


 もっと責任感をもって欲しい。

 ボケてるからムリなのはわかるけど。

 あまりにセーラがあわれだ。


「ギルドの追っ手も気にしないで良いいでしょうか?」

「シカトだ。ギルドなんて相手してたらバカになる」


「私はなにをすればよいのでしょうかね?」

「ボクたちでクロノをやっつけよう。逮捕だ」

「それはよいお考えですね」


「クロノを逮捕してギルドにつきだそう。一件落着だ」

「突き出すのは首だけで良いですよ。軽いですしラクチンですからね」


 なるほど。たしかに。一理ある。

 クロノを引きずって歩くのは大変だ。


 ボクが聖剣カリバーンでズバーンとクビを落とす。

 クビはセーラに持たせよう。あまりにグロすぎる。


「クビだけで大丈夫かな。だって、ギルドだよ?」

「問題はありませんよ。ギルドは愚かですが」


 なるほど。これでオカルト事件は解決だ。

 証拠さえつきだせばギルドはぐうの音もでないはずだ。


 聖剣カリバーンでズバーンと解決。


「ゆくぞセーラ! 勇者探偵シンが王都の謎を解きあかす!」


 クロノ、ボクはキミを逮捕する!

 ボクはビシィッと人さし指をつき立てた。

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