第13話『ぺろっ、これは双子!【勇者】』

「セーラ、クロノがよみがえった地獄から」

「蘇りですか。クロノさんは冒涜的ですね」


 違うんだ、セーラ。

 これは人が起こした事件なんだ。

 犯人はクロノだ。オバケじゃない。


 死んだ人間は蘇らない。ゾンビはいない。

 だというのに、ギルドはまるで子供だ。

 死んだクロノがよみがえると信じてしまった。


 EXという謎ランク作ってキャッキャ遊んでる。

 そしてオカルトも信じている。まるで無邪気だ。


 ギルドにはリリアのようなアホの子しかいないのだろうか?

 あまりになさけない。とほほ。

 

 ボクはクロノのような平民を導かないといけない。

 クロノ、のんきに地獄で遊んでる場合じゃないぞ?


「だから神に選ばれた勇者シン。ボクが導き手になる」

 

 ギルドといえばEXランクのリリアだ。

 リリアは汚れた血のアホの子だけど導かなきゃだ。

 小さくツンデレでアホの子EXリリアはお嫁さんだから。


 ちょっと推理からはずれる。クロノに紹介しよう。

 リリアはEXランクなボクのお嫁さんだ。


 ボクはクロノと違ってランクとか気にしてない。

 そんなことでマウントを取るなんておろかだ。

 そんなのまるで平民だ。はずかしい。


 だけど、リリアがEXランクなのは事実だ。

 そしてEXリリアはボクのお嫁さんだ。

 汚れた血のEXランクの小さいボクのお嫁さんだ。


 クロノ、聞いてるか?


 EXで小さいお嫁さんがいるボクがうらやましいか?

 小さく赤髪でEX処女の汚れた血のお嫁さんがいることが。

 わかりきったことだ。うらやましいよな。ごめん。


 地獄の業火に焼かれるよりよっぽどツライか。

 でも、祝福してほしい。まあ、ムリだろうな。

 嫉妬の炎でいまごろ燃えてるか、クロノ。


 おっと、クロノのせいでよこ道にそれた。

 さて、推理をつづけよう。


「セーラ、落ちついて聞いほしい。これは、事件だ」

「事件ですかそうですかおもしろそうですね」


「クロノは二人いる。死んだクロノと生きたクロノだ」

「死んだり生きたり忙しい人ですねクロノさんは」


「そこがこの事件のトリックだ」

「おやまあ」


「クロノは地獄で燃えてる。生きてるクロノはニセモノだ」

「生きてるクロノさんは変装でしょうか」


「クロノには双子の弟がいた。捨て子の弟だ」

「そうですかクロノさん双子だったんですね」


「王都を歩きまわるクロノ、その正体は双子の弟だ」

「あらあらそうだったんですね」


 パパ上とちがって娘のセーラはかしこい。

 あのおじいちゃんとは似ても似つかない。

 セーラはボクについてきてくれる。


「クロノの弟が入れ替わる。それがまか不思議な事件の真相だ」

「それはゆゆしき事態ですね」


 ボクはこのトリックを双子トリックと名付けた。

 双子を入れ替えるトリックだ。


 ちなみにこのトリックを考案したのはボクだ。

 勇者探偵シン! 神に選ばれたね。


 ボクはこの驚くべきトリックに名を付けた。

 そのトリックの名は、双子トリック。


 とてもすごい発明だ。あまりにすごくてすごすぎる。

 ボクが世界で一番さいしょにこのトリックを思いつきました。


「はやくクロノ倒してギルドに申請しなきゃ!」

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