第12話『クロノせんぱぁーい!』

 ドカーン! 扉は爆散した。

 なんだろ。カチコミかな?


「クロノさぁあーん! おまったした、シン捕獲作戦、準備完了っす!」

「さすリリアだ」

 

 ルルはベッドの下にかくれた。

 めっちゃびびってた。

 そりゃびっくりするだろうが。


 ねてる最中いきなりドカーンとか。

 ここは紛争地帯かな?


 ルルはシャーッて髪を逆だててる。ねこかな?


「ずいぶん気合はいってるみたいだな」

「もちッス! もう逃がさねぇッス、シンの野郎!」


 興奮するリリアをしずめて説明を聞いた。


 かいつまんで話すとこんな感じだ。

 シン捕獲を名目に教会暗部をまるっと大掃除。

 

 教会は以前から反対派の暗殺とか黒いウワサはあった。

 ウワサにとどまって表ざたになってなかったが。

 すぐにもみ消さて広まることはなかった。

 

 尻尾をださない狡猾でやっかいな相手だ。

 教会の権力を使って圧力もかける。

 目の上のたんこぶといったとこか。

 

「今回の作戦は極秘なんで最小限の精鋭だけで対応してるっす」

「その方がいいだろな」


 ギルドには教会の息のかかった連中がまぎれこんでいる。

 あぶり出すのは現実的に難しい。

 

 人道をムシすれば不可能じゃないだろうが。

 それを許したら同じアナのムジナだ。


「人員の配置はおわったのか?」

「表通りも裏通りも逃走経路は潰してるッス!」


 王都正門、裏門に多めに人を配置。

 目立たせることで抑止効果を狙う。


 正面突破を考えるやつはいないだろう。

 普通に考えれば。


「むこう側の動きは読めてるのか」

「教会がギルドに送り込んだスパイにあえて情報を流したッス」


「今ごろ後ろめたい事がある奴らは巣から飛び出してるはずッス!」

「まるでねずみ取りみたいだな」


「巣からでたところを一網打尽っス。袋のネズミ、逃げられないッスよ」


 ゲームを開始するまえにゲームは終わっていた。

 そんなところか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る