第11話 準備完了
あれから翌日、自分と桜井さんが三山を手伝って教団衣は人数分完成した。吉岡も教団施設への偵察と監視カメラの型番を確認したらしい。他にもカメラを支えているポールの太さや鍵の周囲を調べたようだ。
さらに吉岡は朝早く、日の出と共に出発し人目が無いうちに教団の監視カメラの位置までよじ登り、監視カメラの真横でスマートフォンで写真を撮ってから三山に転送。
吉岡が寮に戻ってくる間に三山がコスプレ写真の編集に使っている画像編集ソフトで昼間のような画像に編集し、スマートフォンと監視カメラの画角の差による歪みも再現させる。プリンターで編集後の画像を高画質印刷し、前日吉岡が作っていた監視カメラへ偽の画像を撮影させ続けるためのアーム状の固定具と組み合わせる。
俺は三山の部屋の中で行われているこの一連の流れの淀みのなさが、計画の順調さを象徴しているかのようで気分が高揚していた。
当初は様々な要因、それは行動を起こす事の覚悟も含めて、これはどうやってもうまく行かないのではないかと思っていた。しかしこの状況はどうだ。頼もしい仲間が二人も増えて計画は着々と進んでいる。幸先が良さそうだ。
「一応、僕と吉岡は準備出来ました。いつでも出発できます」
三山が少し震えたような声で言う。怖いのか武者震いか、どちらにしても緊張しているようで、下ろした拳を握っては開いてを繰り返している。それを見た吉岡が軽く小突く。
「なに?緊張してんのかよ?……でもお前はオレ達のキーマンだよ。よくやってくれたと思うわホント。だって薫がいなかったらそもそも潜入するって事すら無理だったし、画像の編集も不完全なままになってたはずだわ。薫はマジすげーから、な!」
吉岡なりに気を使っているらしい。珍しくあまり茶化すことなくほめている。俺は吉岡と三山の技能に対して一種の尊敬の念と協力への感謝の心でいっぱいになっていた。
「二人ともありがとう。高田、準備は良いか?そろそろ寮を出よう」
「自分も準備は整っています。行きましょう」
俺たちは寮を出てアムリタ教団第2アシュラムなる教団施設へと向かった。
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