第8話 魔王様いつもと違う起床

魔王城の主であるダリウスは目覚め、朝の支度をすませて朝食を食べに行こうと部屋に魔法陣をつくろうとその時に部屋の扉がノックされた。

「失礼します」

深々と頭を下げた。カロの綺麗なストレートの銀色の髪が少し乱れていた。

「カロ、どうかした?」

「え?」

完璧に隠したつもりだったカロが見破られた事に驚いた。

「魔力が乱れてる感じがしたから」

「見破られましたか・・・」

はぁと大きくため息をついた。カロはダリウスを見つめる。

「カロ、父の様にすぐには暴走しないから心配しなくてもいいんだよ」

その少しだけ影のある微笑みにカロの胸は締め付けられカロは倒れそうになった。

素敵すぎる。

しばらくその微笑みを堪能したから気をとりなおしダリウスに話はじめた。

「牛乳配達をするはずの脳みそが水でできているあの小娘がいないんですよ」

脳みそが水って確かに水でできているけどね。そういば部屋にこないな。危険があればなにかしら伝わってくるけど、どうしたんだろう。

ダリウスは微弱な魔力を城全体に流す。シルビアの部屋にシルビアの気配を感じた。

「部屋にはいるみたいだよ」

「はぁ~?!」

怒気を含めたカロらしくない声がでてきた。

「休んだことのない小娘が今日、牛乳配達にいかなかったんですよ。おかげで私が届けましたよ」

カロはシルビアの様に直接配達したのではなく、かなり魔法が使える人にしかできないが小さな魔法陣をだし対象となる住所に送り届けたのだ。

ダリウスはカロなりにシルビアの事を心配してるんだなと感じとれた。

「シルビアの為にありがとう」

あなたの為ですと言いたい所をぐっと我慢してあえて返事をしなかった。


ダリウスは様子を見にシルビアの部屋まできた。カロもしぶしぶながらダリウスの後に続いて来た。

シルビアの気配はあるのに音がしない。

ダリウスはシルビアの部屋の扉をノックした。

返事はなかった。

「シルビアあけるよ~?」

シルビア本人に断りもなく部屋をあけるのはらためらわれたが心配になりゆっくりドアを開けた。

「シルビア~」


「シルビア!」

ベットの上に氷の塊になったシルビアを発見した。ダリウスはその氷の塊に近づいてみた。シルビアは目を見開いたままかたまっていた。ゆっくりとダリウスはその塊に手をあてた。少しづつ氷が解け始めた。


完全に溶けてしばららくすると「キャーおばけー!」と叫び意識を取り戻した。

ダリウスの腕をシルビアはつかんだ。

「おばけはホントにいるんです。本当に!」

興奮してダリウスに訴える。

カロは冷静に歩いて興奮しているシルビアの手をダリウスから引き離した。

「おばけって、人間の魂の事?いるでしょ」

カロの周りには黒い呻いている塊が無数にいた。

「ギャー」とシルビアは悲鳴をあげその塊を氷漬けにしていった。そしてぱりんとわれてきらきらとひかり ありがとう~と手を振りながら浄化されていった。

「ふぅ。最近は肩が重くて仕方なかったからありがとう」

綺麗な銀色の髪を振り払い、全く心がこもってない返事をした。

「あれがおばけ?じゃぁ、私が見たのは?」

シルビアは不思議そうな顔をした。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る