第2話 魔王様は町に行く

ルスワルド王国の北の外れの町ベイルッカ 

北の大地である為、春夏が短く作物があまり育たずおもな産業は町の周りにある木材と木材加工である。

その町に唯一ある道具屋の前に魔王様、いやダリウスはいた。

ダリウスが店の扉を開ける前に扉が開いた。

店の前にいるのがわかると店主は店の扉をあける。大歓迎で店内にダリウスを引き入れた。

「いっらっしゃーい。ダリウス君」

「こんにちは。ジェフさん」

優しい笑顔を向ける。

何度もきているので店主から何か言われなくてもダリウスは店のカウンターにもってきた小箱を2箱を置く。

店主のジェフは手をもみながら小箱のふたを開ける。

その中身は赤いガラス玉と青いガラス玉で小箱の中にぎっしりと詰まっていた。

「助かるよ」

店主はその赤いガラス玉をじっくりみる。

「最近は魔法使いが少くなくなっただろ。しかも魔法が使えるやつはみんな王都にいってしまった。王都からここにくるガラス玉なんてカスみたいなものしかまわってこない」

後にある棚から数個の赤いガラス玉と灰皿をとりだしその中の1個に玉子をわる要領で衝撃をあたえ解呪した。そして炎がでてきたがとても小さくすぐ消えてしまった。

「ひどいですね」

ダリウスは顔をしかめる。最近の魔法使いは質が悪いな。

「こんなんじゃ、商品ならない。木材を切りに行くのにこんな炎では暖もとれないしめしも作れない」

ダリウスがもってきた箱から赤いガラス玉を一つ取り出し衝撃をあたえる。火が生まれ炎として灰皿に残る。その炎は灰皿からはみでることなく一定の大きさを保ち続けていた。

「本当に綺麗ですばらしい。青いガラスはたまに水がでる量が多いものがあるが量が少ないって物がないからね。入荷するとすぐ売り切れてしまう」

ジェフが目をキラキラさせてダリウスのガラス玉を誉めるのでダリウスは照れてしまった。

「ありがとうございます」

ジェフはダリウスの顔をみる。

「そんな事をいっておいてなんだけどダリウス君は王都にいかないのかい?」

「この町の近くにいてはだめですか?」

「いてくれた方が絶対いいにきまってるんだけど、こんな辺鄙な所にいたって対して稼げないだろうしいい職にもありつけないよ」

「僕はこの町が好きですし大勢家族がいるので置いていきたくないんです」

ダリウスはミノタウロスやケルベロス、体の大きなキュプロスを思い出す。無理だし、ここから出たくないな。

ダリウスが思いだしてる家族とはかけ離れているとは知らず幼い兄弟がいる家族像を想像しジェフはうんうんとうなずく。金貨20枚の依頼仕事を金貨30枚はいった袋をダリウスに渡す。

ダリウスは受けっとた袋の中身を確認する。

「え。ジェフさん。10枚多いです」

ジェフはそのダリウスの正直さも気にいっていた。

「いい商品をもってきてくれるボーナスだ。家族にうまいもの食べさせてやりな」

量が少なくてケルベロスの真ん中の頭がほとんど食べると左右の顔が嘆いていたなとぼんやりとダリウスは思い出した。

「ありがとうございます。これで肉を買ってかえります」

その言葉を聞き店主は感動する。

「でわ。ありがとうございます」

そして店内を出ようととするとジェフに呼び止められた。

「今、この町でちょっと話題になっているんだ」

ジェフから1枚のチラシを渡された。

「・・・」


広告の内容

みんなぁ!魔王城にいきたいか!

おぉー。

みんなで魔王倒そう!


「嘘ですよね」

ダリウスの背中に悪寒が走る。

「うーん。僕も嘘だとは思うだけど下の方にかなり大きな金額で前金もだすって書いてあるから、もし本当だったらこの町で魔法を使える人はいないからダリウスくんならえらばれるんじゃないかと思ってね」

ダリウスは広告の下のを読む。


3カ日後にベイルッカ中央公園に集合。

前金1168枚 魔王を倒せばもっといっぱい。

依頼者 聖女シルビア

「1168枚。聖女シルビア…」

ダリウスは昨日の事を思い出す。3人でテーブルを囲みながらガラス玉を作っていた時の事を。

「ダリウス様~。最近銅貨が1000枚超えました。なんと1168枚になりました」

「結構たまったね。何に使うんだい?」

「それは秘密です」小さな声でダリウス様の為に使うんですと聞こえた。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る