第21話 遥華様は問い詰めたい ②

「お疲れ様!ち〜ちゃん!!」


「た、只今戻りました遥華様…。わ、わたくしなどをお出迎えしてくださるとは大変恐縮でございます…」


「うん!ち〜ちゃんとは話したい事がた〜っくさんあるんだから急いでお稽古を終わらせてここでち〜ちゃんが帰ってくるのをず〜っと待っていたんだよ〜?今から私の部屋でたっぷりお話ししようね〜?【ゴゴゴ…】」


腕組みをして千翼を待ち構えていた遥華の口調は一見普段と同じように聞こえるが明らかにいつもとは違うのだった

千翼の長年の付き合いからの経験と直感が察しているのだった

間違いなく遥華は怒っている それもちょっとどころの騒ぎでは無い

その証拠に遥華は今とても笑顔で話しかけてきているのだが目が全く笑っていないのだった

背中からは取り憑かれているんじゃないかと心配になる程ドス黒いオーラに覆われていたのだった


「お、お話でしたら夕飯の後でわたくしの方からお伺いしてゆっくりとしたほうが……」


「聞こえなかった?い・ま・か・ら!って言ったはずだよ〜?」


千翼の言い分に遥華は全く聞き入れない

何があっても今から尋問して話を聞き出すまで千翼を解放する気はないようだ


「で、でも!それだと執事長がお仕事をしていないわたくしを探しに来られると思いますよ!そうしますと話の良いところで釘を刺されてしまい話がうまく進まないと思いま…!」


ドスッ ドスッ


「うおぉ!?あっぶなぁ!!」


千翼の苦しい言い訳を述べている最中、千翼の足元の絨毯に2本のナイフが突き刺さった

そして遥華の手にはいつ用意したのか数十本ものナイフが握られておりウル◯ァリンの様に構えていた


「うふふ、あまり同じ事言わせないで欲しいかな?【ニコッ】頭のいいち〜ちゃんならすぐ理解できるでしょ?」


「……【こくこくこく】」


ウル◯ァリン化した遥華の圧力に屈した千翼はパンクロック並みに首を縦に振ったのだった

そのまま千翼は腕を手錠で拘束され首に付けられた首輪に繋がったリールに引きずられながら遥華の部屋へと向かったのだった《連行された》


「あっ、意外と早かったですねお嬢様!お疲れ様です〜。」


遥華の部屋では従者で最近遥華と仲良くなった鈴が待っていた


「まぁ…、なんとなくこうじゃないかなって思っていましたけど想像通りで逆に引きましたよ……。」


部屋には人を拘束する椅子に対面している椅子の横にはペンチやメスなどがたくさん並べられており明らかに尋問するんだろうなと一眼見れば分かるセットに仕上がっていた

そしてその奥にはカメラ機材や照明機材が撮影スタジオ並みに整っていた恐らく鈴が遥華が千翼を尋問する様子を撮影するのだろう


「幾ら何でも機材整いすぎてませんか?前やった時はこんなになかったじゃないですか!!」


「そうだよ〜?あの時の機材じゃ千翼くんの勇姿を120%も撮れないから貯金を削りに削って整えたのよ〜」


鈴はカメラや照明を頬ですりすり撫でながら自身の努力を説明した

機材などに詳しくない千翼が見ても合計したら何十万、もしかしたら何百万もするのだろうなと想像がつく


「ふふ、ち〜ちゃんには今後私以外の女に靡かない様、浮気をする度にこうやってち〜ちゃんの悪行を動画に撮って記録に残そうと思うの!そうすれば絶対に浮気しないでしょ?」


遥華は千翼の繋がったリードをクイッっと引っ張り自分の顔近くに千翼の顔を引き寄せ今回の尋問の意図を話した

相変わらずだが目のハイライトが消え黒いオーラを纏った彼女の笑顔が最高に怖かった


「ちょっと待ってて!今回の件はお前も知ってる事だしそれに対してのご褒美はちゃんと用意しただろ!?」


遥華は今回の罰清掃を見逃す代わりに千翼は【遥華の言う事を出来る限り聞く】と言うご褒美を提案し遥華はそれで承諾したのだった


「うん。確かにご褒美の件を踏まえてち〜ちゃんが萌奈もなちゃんとお掃除してもいいって言ったよ?」


「だろ!?別に萌奈もなとは何もしていないんだからこんなことする必要ないだろ!!」


「……【スッ】」


遥華はスマホをささっと操作した後千翼に画面を見せると千翼は目をガン開きになり背中には滝の如く汗が流れ出たのだった

そこには萌奈もなに頬をキスされている千翼の写真が写っていたのだった


                            〜つづく〜


今回も読んでいただき誠にありがとうございました!!

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次回もお楽しみに!!



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